君との恋の物語-mutual dependence-

日月香葉

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新生活準備中

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大学卒業後の春休みはとても短い。

社会人になったんだから、当たり前なんだけど。

就職先にもよるけど、私の場合は入社式もまだなのに既に研修は始まっていた。

まぁでも、これは私にとっては全然苦痛ではなかった。

だって、やりたい仕事に就けたんだから。

それに、詩乃に至っては在学中から働いてたんだし、私もちょっと忙しいくらいでちょうど良いと思う。



私が研修中にやることは、主に広報活動だった。

飽くまで手伝いではあったけど、結構な量のタスクはあったし、わからないことだらけで先輩達にはたくさん迷惑かけたけど、めげることはなかった。

むしろやりがいがあって良いと思っていた。

2月3月というのは新規の生徒さん募集にすごく力を入れるのだ。

私も目一杯頑張った。

だって、この活動がきっかけで入ってくれたらとっても嬉しいでしょう?

その生徒さんはもしかしたら将来私が見るかもしれないし!

なんて思ったらわくわくした!

卒業式後からいきなりだったけど、気持ちが勝手に切り替わるくらい、初日から大変だった。

でも、一生懸命やった甲斐はあって、先輩達からお褒めの言葉をたくさんいただいた。

嬉しい。素直に嬉しい。

私は、もっともっといろんなことをできるようになって役に立ちたいと思った。




2週間にわたる研修期間を終えたらやっと春休みがきたような感覚になった。

今日は、詩乃も仕事にひと段落ついたみたいなので、泊まりに行くことになった。

駅からのいつもの道のりは、社会人になった自覚のせいなのか、それとも季節がらなのかわからないけど、いつもより鮮やかに見えた。

通い慣れたはずのこの道のちょっと別の面を見つけたみたいな、そんな感じ。

うまく言葉にできなんだけど、私は、この気持ちを無くしたくないと思った。

学生の頃は、やっぱりタイムリミットがあった。

どんなに仲良くなっても、卒業する日は絶対にくるってこと。

逆に、人間関係がうまくいかなくなってしまったとしても、卒業まで我慢すれば…。

でも、社会人てそうはいかないでしょう?

同期や先輩との人間関係ももちろんだけど、仕事に向かう姿勢だってそう。

頑張っても結果が出せなかったり、ミスが続いてしまったからって逃げることはできない。

もちろん、どうしても不向きだと思えば転職することだってできるけど、私はそうはなりたくない。

今は、誰もが好きな仕事に就けるほど景気も良くない。

そんな中、私は好きなことを仕事にできるんだもん。

嫌なことや辛いことがあっても負けたくないし、苦手なことは克服したい。

そうやって、会社の役に立ちたい。もっと言えば、子供達の役に立ちたい。

うん。こういう気持ち。

このいつもより鮮やかに見えた景色と今の気持ちを忘れずに、頑張っていこう。

なんて、ちょっと真面目なことを考えながら歩いていたら、あっという間に到着した。


今はもう、インターフォンは押さない。

合鍵をもらってるから。

合鍵を挿し込む直前、ふとある考えが浮かんだ。

なんでだろ?

んーこれも、社会人になった自覚がそうさせるのかな?

えっと、全然具体的な予定はまるでないんだけど、何故か今

「私、将来ここに一緒に住むのかな?」

って思ったの。

いや、同棲の話は詩野から前にも聞かされてるし、むしろそれを前提にこの部屋を選んだって言ってたから、当然と言えば当然なんだけど。

ちょっと、ドキッとした。

1人で勝手にw

同棲って大変だと思うけど、これも新しいことだし、ドキドキわくわくできるなら、前向きに考えても良い頃かも。

んーでもまずは、仕事に慣れる方が先かな。

入社後の研修が終わって、配属先でしっかりと仕事を始めるのが半年後くらいだから、そのあたりかな?

なんて思いながら、私は鍵を開けて詩野の部屋に入って行った。
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