20 / 20
留学
しおりを挟む
留学最初の1年は、かなり慌ただしく過ぎていった。
勉学に励む前に、まず生活環境を整えた。
それから、今度はこれから生活する環境を知ること。
この大学にはどれほどの学生がいて、皆卒業後はどうしているのか等だ。
本来なら留学前に調べていることだろうが、俺の場合はとにかく時間がなかった。
こちらの環境のことをいくら調べていても、大学に入れなければ意味がない。
そう思って目の前のことに集中してきた。
その反動もあって、こちらに来てから戸惑うことはたくさんあったのだ。
それでも、時間はどんどん過ぎていく。
課題の量も半端ではない。
とても一晩では終わらせられないような量が普通に出る。
だからこそ、大学の研究室や自習室はいつでも明るかった。
俺も、何度も心が折れかけながらも友達や教授、そして結に励まされて頑張ってきた。
漸く慣れてきた頃には1年が過ぎていたが、2年目で課題の量はもっと増えた。
まともな睡眠が取れない日が1週間続いたこともある。
それでも、辞めようとは思わなかった。
どんなに忙しくても学生同士のセッションにはいつも参加していたし、街のライブハウスにもどんどん足を運んだ。
自分の中の音楽が、外部からの刺激でどんどん成長していくのが自分でもわかった。
睡眠など、もったいなくて取っていられないくらいだった。
結果、学内で倒れて運ばれてしまった時には、さすがに結にも怒られた。
自分でももちろん反省した。
さすがに無理をし過ぎたんだ。
倒れたら、その時間も無駄になるので、睡眠だけは1日最低でも4時間は取ることにした。
すると、今度は体のコンディションが良くなってパフォーマンスもかなり上がった。
留学当初は絶対に終わらないと思っていた課題も、自然とこなせるようになった。
そうなると、しっかり体を休める時間を取ってもちゃんと成長できるとわかった。
というタイミングで、留学の終わりが見えてきた。
この辺りから、俺の考えに大きな変化が芽生えてきた。
それは、『アメリカでこれほどの環境下に身を置けているのに、日本に帰る必要はあるのか?』
という考えだ。
これは、結ともしっかり話し合わなければいけないと思った。
留学は基本的に2年だが、1年だけ延長することはできる。
ただし、そうなると日本での大学をどのようにするかを考えなければいけない。
2年で戻るのであれば、日本に戻って、そのまま大学を卒業できるが、1年延長するなら、日本での卒業も1年延ばすか、中退するかだ。
そうなると、そこまでして留学1年延ばす必要が……
いや、あるな。
ある。正直、日本の大学を中退にしてでも、ここに残る理由は、ある。
では、卒業後はどうする?
このままここで演奏活動を続けるのか?それとも日本に戻るのか…?
正直日本では全くと言っていい程実績を残していない。
留学帰りとはいえ、果たして俺に日本での仕事はあるのか?
いや、でも、卒業後もこちらに残るとしたら結は…
結の夢は、吹奏楽団での奏者となるか、あるいは指導者となること。
活動場所は、日本以外は考えていないだろう。
では…別れるのか?
いや、待て、ちょっと落ち着こう。
まずは、留学を伸ばすのか、日本に戻るのかだ。
これを、結と話合おう。
勉学に励む前に、まず生活環境を整えた。
それから、今度はこれから生活する環境を知ること。
この大学にはどれほどの学生がいて、皆卒業後はどうしているのか等だ。
本来なら留学前に調べていることだろうが、俺の場合はとにかく時間がなかった。
こちらの環境のことをいくら調べていても、大学に入れなければ意味がない。
そう思って目の前のことに集中してきた。
その反動もあって、こちらに来てから戸惑うことはたくさんあったのだ。
それでも、時間はどんどん過ぎていく。
課題の量も半端ではない。
とても一晩では終わらせられないような量が普通に出る。
だからこそ、大学の研究室や自習室はいつでも明るかった。
俺も、何度も心が折れかけながらも友達や教授、そして結に励まされて頑張ってきた。
漸く慣れてきた頃には1年が過ぎていたが、2年目で課題の量はもっと増えた。
まともな睡眠が取れない日が1週間続いたこともある。
それでも、辞めようとは思わなかった。
どんなに忙しくても学生同士のセッションにはいつも参加していたし、街のライブハウスにもどんどん足を運んだ。
自分の中の音楽が、外部からの刺激でどんどん成長していくのが自分でもわかった。
睡眠など、もったいなくて取っていられないくらいだった。
結果、学内で倒れて運ばれてしまった時には、さすがに結にも怒られた。
自分でももちろん反省した。
さすがに無理をし過ぎたんだ。
倒れたら、その時間も無駄になるので、睡眠だけは1日最低でも4時間は取ることにした。
すると、今度は体のコンディションが良くなってパフォーマンスもかなり上がった。
留学当初は絶対に終わらないと思っていた課題も、自然とこなせるようになった。
そうなると、しっかり体を休める時間を取ってもちゃんと成長できるとわかった。
というタイミングで、留学の終わりが見えてきた。
この辺りから、俺の考えに大きな変化が芽生えてきた。
それは、『アメリカでこれほどの環境下に身を置けているのに、日本に帰る必要はあるのか?』
という考えだ。
これは、結ともしっかり話し合わなければいけないと思った。
留学は基本的に2年だが、1年だけ延長することはできる。
ただし、そうなると日本での大学をどのようにするかを考えなければいけない。
2年で戻るのであれば、日本に戻って、そのまま大学を卒業できるが、1年延長するなら、日本での卒業も1年延ばすか、中退するかだ。
そうなると、そこまでして留学1年延ばす必要が……
いや、あるな。
ある。正直、日本の大学を中退にしてでも、ここに残る理由は、ある。
では、卒業後はどうする?
このままここで演奏活動を続けるのか?それとも日本に戻るのか…?
正直日本では全くと言っていい程実績を残していない。
留学帰りとはいえ、果たして俺に日本での仕事はあるのか?
いや、でも、卒業後もこちらに残るとしたら結は…
結の夢は、吹奏楽団での奏者となるか、あるいは指導者となること。
活動場所は、日本以外は考えていないだろう。
では…別れるのか?
いや、待て、ちょっと落ち着こう。
まずは、留学を伸ばすのか、日本に戻るのかだ。
これを、結と話合おう。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
『紅茶の香りが消えた午後に』
柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。
けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。
誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる