バンキシャ部!

マムシ

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第二フェイズ

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 いよいよ本作戦の核となるデータを手に入れた一行。元アニメ部の三人組は今回も雷伝宅に集合した。これが最後の会議である。この会議を終え、無事に作戦を実行できれば、もうわざわざ遠い雷伝宅にお邪魔する必要もない。
 学校の教室に堂々と『バンキシャ部』という部室を構えることが出来る。
 雷伝は二人を前にして、胸ポケットから一枚のSDカードを出した。

「これが例のブツである」

 二人から歓声が上がる。

「あの生徒会長の秘蔵映像。是非ご拝見を!」

 岩寺がそう言って、カバンからプロジェクターを取り出した。今回も妙に大きなカバンを持ってきたと思ったが、そのためだったのか。
 その上、スクリーンと間接照明、さらにはポップコーンまで持ち込んでいる。

「さぁさぁ早く観ましょう」

 ソファに座り、ポップコーンを頬張る岩寺。だがそのソファごと廊下に出された。

「イヤァァァァ! ずるいですよ、二人とも!! あんなに協力したじゃないですか! 青橋星美のパンチら率は……」

 ――バタンッ

 岩寺の心の叫びを遮るように扉を閉めた。

「お前はダメだ岩寺」

「な、なんでですか~」

 廊下に泣き叫ぶ声が響き渡った。それを無慈悲にも無視しして、鍵を掛ける。

「部長殿はもう拝見したのですか」

 手をはたき力仕事を二人で終えた爽快感で戻ると、一風がそう言った。

「いやそれがまだ見ていない」

 SDカードの中身は確認せずにいた。どうしてもたった独りきりで見るのは気が引ける。

「では見ますか……」

「ああ」

 雷伝は静かにSDカードをカメラに差し込み、パソコンでその映像を確認する。
 映像は思いのほか綺麗だった。あまり乱れも無いし、影で隠れている部分も無い。設置してから数十分が経過すると、続々と女子生徒が入ってきた。ロッカーの隙間から微かにそれが見え隠れする。
 そしてついにロッカーの扉が開けられる。
 大当たりだ。岩寺の予想通り、青橋はこのロッカーを使用した。まぁ使用したからロングタオルが入っていたのだが。
 制服を脱ぎ始める青橋。その姿をこんな近くで撮影しているとは思うまい。隠すことなく着替えを進める。

「……こ、これは凄い」

 ブラウスのボタンを外すと、パソコン画面いっぱいに青橋の爆乳ボディが広がる。カメラの角度も完璧でむしろ本当はバレているのではないかと疑いたくなるほど鮮明だった。
 このデータを学校の裏サイトで売れば、どれだけの高値が付くか……これならいける。不安は確信に変わっていた。
 赤頭がいくら硬派だったとしても、あいつも男であることに変わりない。これをうまく編集し、丁度いい場面を隠しながら、サンプルを制作すれば……
 どんな男でも冷静な思考が出来るとは思えない。

「これなら行けますね」

 一風もそう言って、深く頷いている。

「よし、あとはどこで赤頭を誘い込むかだな」

 映像の確認を終えた雷伝はパソコンを閉じてから言った。立ち上がり、部屋の扉を開錠する。

「もう入ってきていいぞ」

 扉を開けると同時に部屋の中に転がり込んできた岩寺。どうやら扉に耳を付け、音を聞き取っていたらしい。だが小型カメラにはマイクが付いていないため、更衣室内の音声は何も拾われていない。
 どこまでもエロに執着する岩寺を見ていると、今回の作戦が失敗する未来が見えてこない。いやこの男は少し特別か。

「で、どうでした青橋の魅惑的ボディーは……?」

「使えそうだ」

「酷いですよ、追い出すなんて。僕だって紳士です。その映像に私情を一切挟んでおりません」

 と鼻の下を伸ばしながら言う岩寺。誰が信じるというのだ。

「ですが、問題はむしろここからですね」

 岩寺が眼鏡を直して言った。ノートパソコンを立ち上げ、テーブルの上に置く。

「赤頭は常に青橋の隣にいます。これは僕がまとめたデータですか、赤頭と青橋はクラスも同じで、休み時間も昼休みも常にそばを離れません。これでは付け入るすきもないでしょう。青橋の目の前で堂々と口説くわけにもいきませんし、どうすることも」

 この三人は自分たちが学校生活に置いてあまりにも独りでいる時間が長いから気が付かなかった。
「学校に通っている一般生徒はそんなに孤立していることはない」ということに。それが一人の女に恋をしている男とあらば猶のことだ。常に副会長として青橋の周りについている赤頭がそう簡単に離れるわけがない。
 岩寺が作った二人の行動パターンを見ると、ほぼ同じ場所にいる。というよりは赤頭が付きまとっているように見えなくもない。

「まるでストーカーだな……」

 雷伝が呟いた。

「これではあまりにも隙がありません……」

 二人は深く考え込んだ。だがどうすることもできない。強引に引きはがしては怪しすぎる。この作戦は青橋の見えないところでやらなくては意味がないのだ。
 二人が悩み込んでいると、背後から声が聞こえてきた。

「孤立する時間がないなら孤立させてしまえばいい。そうだろ?」

 そこにはスナイパーライフルを抱える一風が立っていた。そう言えば、姿を見ないと思ったら、そんなものを組み立てていたのか。

「それでどうするんだ灯?」

「やっちまうのさ」

 側頭部を指さす一風。
 まるで西部劇に出てくるような言い回し。
 彼女はどこか不敵な笑みを浮かべていた。





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