死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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「結ー!」


 最近、姫雛に話しかけられるようになった。

 遠征から帰ってきたばかりの姫雛は次の仕事が決まるまでは暫く屋敷で休暇を取っている。


「何をしているんだい?」

「あ、長さんの着替えを取りに行った帰りです」

 自分はこれくらいしか出来ないからと言う結に姫雛は「わかってんじゃないの」と、心の中で笑う。


 「結」

 結を呼ぶ繋の声。
 呼ばれた結は振り向き後ろにいた繋の元へ駆け寄る。

「この間のペンの試作品なんだが····」

「あー。竹で入れ物を作ったんだ。可愛いかも」

「先端から中々汁が出てこねぇ。拡張すればダダ漏れるし」

「ペン先の中にボール入れてる?」

 何やら最近繋が書き物の道具を作っているとは言っていたが、それに結が関係しているなんて知らなかった。


「成程な。そういう事か」

 ペンの構造に問題があった為もう一度見直すと言った後、繋は「自室に茶を頼む」と、言いその場から立ち去った。



「じゃあ、行ってきます」


 結は姫雛に挨拶をし、湯沸室へと向かった。


「····ふんっ」






 ------






 繋の抱き枕となってどのくらいだろう。
 最近は「私は抱き枕····そう、抱き枕なのだ」と、心の中で呟き心を無にしている。



「最近姫雛とよく一緒にいるな」

 心を無にした結に繋が姫雛のことについて聞いてきた。


「あ、うん。なんか最近話しかけてくれるようになったの」

 初めの頃はあんなに敵意の目を向けていたのにだ。

「仲良くなれたならよかった」と、結は言うが


「··········あんま信用すんなよ」


 何故か姫雛の上司である繋が結に忠告をする。

「ここに来て暫くしてるが、姫雛も妖だ」

 特に姫雛の性格をよく知っている繋は姫雛が簡単に結に懐く事なんて有り得ない事を知っている。


「·····そう、なのかな」


「根はいい奴なんだがな····」

 身内には優しく頼りになる奴なのだが、敵意を向ける相手には容赦がない。

「う~ん····でも···」


 やっぱり仲良くなりたいなと少し困った様に結は笑った。


「····そっか」

「お前は優しいやつだな」と、繋は結に笑いかけギュッと抱きしめた。

「······」

 やはり抱き枕と言ってもこんな状態はなれない。

「結···心臓の音がすげぇ聞こえる」

「え!?」


 そして繋にばれた。
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