召喚された聖女はバリたちイケボなおねにぃさんでした

1·聖女様降臨

「美しい····」

　私の婚約者がそう呟いた。

　魔王を倒すべく召喚された聖女様は
　黒髪ロング、色白にやわらかそうな頬、黒い瞳に少しタレ目の涙袋が印象的、小さくてぷっくりとした唇の変わった服を着た小柄な美少女だった。


　聖女様はここは何処だろうと冷静な瞳で周りを見渡し立ち上がる。

「おぉ、聖女よ！よくぞ我が声に答えてくれた！！」


　ここは神殿の聖女召喚の儀式を行う為の場所。

　数百年に一度世界が滅亡に導かれる時、この場で聖女を召喚の儀式を行う。
　まさに今日、私達はその聖女を召喚したのだ。


　ご挨拶申し遅れたわ。
　私【ドリーマー・カヌレット】公爵令嬢。
　今日聖女様召喚の儀式に参加したクズタリアン第一王子の婚約者ですわ。


「何と愛らしく美しい娘なんだ。私はひと目で恋に落ちてしまった」

　そして空気も読めない腐ったチ〇コの持ち主だ。
　そのまま落ちてしまえばいいのに。

　あら、失礼。
　ついつい、お言葉が悪くなってしまいましたわ。


「ドリーマー！今からお前との婚約は破棄する！！」








　········






　··············







　・・・・・・・・・・͡° ͜ ʖ ͡° ) what？





「で····殿下？」

　お前は突然どうしたの？




　What's the matter?




「私はこの聖女に一目惚れをしてしまった！」


　本来なら聖女は王族と結婚するという定義があると。
　そして次期王太子である殿下が相応しいと。


　あのね殿下。

　私達の婚姻はお家柄の事であって勝手に婚約破棄できるものじゃないんですよ？

「分かっている！しかし、そなたに気持ちを隠したまま夫婦になりたくない！」

　それにこれから聖女と共に魔王討伐をすると言う目標もある。
　これからもっと聖女と親密になっていくだろう。
　だから婚約破棄をしてくれとアホ····

　一応婚約者が言ってくる。

「··············」



　もう、空いた口が塞がらなかった。





「聖女よ！名をなんというのか教えてくれ」

　放心する私を無視して先程から傍観を決めている聖女様にアホ····殿下が名を聞く。

　顔だけはイケメンだ。

　きっと聖女も悪い気はしないだろう。


「伊達信定だ(低音ボイス)」



　・・・・・・・・・。





　聖女様のお声はとても低い色気のある素敵な男性の声でした