三題噺×140字小説×5作

かみき

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三題噺×140字小説×5作

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【うさぎ・金庫・ストレス】
私は飼いうさぎをとても大切にしていた。
しかし、うさぎは人より早く死ぬ。
ストレスでおかしくなった私は金庫を買い、うさぎを中に閉じ込めた。
扉を開けない限り、私が何歳になってもうさぎは中で生きている。

【月・スマホ・眠れる】
月の女神は眠れる美青年を今夜もスマホで撮影した。
カメラロールは彼の写真でいっぱいだが、どれもこれも変わりばえしない。
老いもせず起きもしないようにしたのは女神自身だが、時々ふと無性につまらなくなる。

【魚・強い・ランキング】
海の中は強い魚ランキングで盛り上がっていた。
大から小まで魚が集まり、皆の口から出た泡が勢いよく海水に弾ける。
白熱する魚達は気づいていなかったが、彼らの傍には巨大なシャチがゆっくりと忍び寄っていた。

【大家族・はじめて・金星】
大家族がはじめて旅行した先は、空が分厚い雲に覆われていた。
雨は地上につく前に消え、降っているのか降っていないのかわからない。
「合羽を着とけよ」
親が声を張り上げた。
「金星は地球とは違うんだからな」

【※お題無し】
今すぐ桜を咲かせてほしいという依頼に対し、老爺は準備が難しいからと断った。
「樹と犬と木臼だけでは?」
老爺は首を振る。
「意地悪な隣人が必要です。飼い犬を殺す隣人ってなかなか見つからないものですよ」
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