菊の花は闇夜に狂い咲く

柚麟

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龍帝

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わたしは、龍帝がいるという、謁見の間に連れていかれた。謁見の間の扉は両開きのとても美しいものだった。とても機能的でなかなか丈夫そうである。
ギィーという音はならずスーっと扉が両端の武官に開けられると、なかの床から少し上がった所に、銀糸のような髪に夕暮れの色をした瞳を持つ、とても美しく神秘的な人いや龍がいた。きっとその方が龍帝なのだろうその帝の威厳を肌でひしひしと感じる。
私は、ここに来る前星家で習った礼として少し進んだところでひれ伏した。
龍帝は威厳があり低くよく通る声で
「おもてをあげよ」
その通りに私達は顔を上げた。
改めて見ると目を奪われてしまった。
気を取り直して自己紹介をしなければ。
「星柃菊と申します。以後お見知り置きを」
「よい下がれ」
龍帝は私の顔をちらりと見ると言った。
私がそんなに綺麗じゃないのは知ってるわ!それで謁見の間を出ると、数人の侍女が前に出てきて私がこの宮殿にいる間滞在する、部屋に連れていってくれた。
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