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風邪
しおりを挟むゴホッゴホと咲羚が咳き込んでいる。風邪かなにかだろうか?
「風邪ですか?」
「この頃咳が酷くてな、風邪にでもなったのだろう」
そんなのありえない。龍族は普通の人間よりも丈夫な身体を持つはず!
先々代の龍帝は多くの妻を持ち後宮を広げた張本人だ。
先々代龍帝十五で即位し他の龍帝よりも長く、四十年も在位したため子は多かった。二十人ほどいたと聞く。
だが、突然この国で病が流行った。
流行病のせいでほとんどの皇子や公主がお隠れになり、先代龍帝だけがいきのこったと。子供の龍族が流行病にかかったのは大人ほど体が出来上がっていないからだと思う。父さんも言ってたし。
流行病か何かの後遺症か?それとも金色の瞳のせいで弱いか。
「少し喉を拝見してもよろしいでしょうか?」
「あ、あぁ」
咲羚の喉は赤く腫れていた。
「いつからですか?」
「何がだ?」
「咳がではじめたのはいつですか?」
「先週くらいからだな」
ただの風邪にしては長い。このまま放っておけば肺炎になるかもしれない。肺炎は老人がよくかかる。死に至ることもある。
「今日は何を食べました?」
「朝に果実をいくつかだな」
「では、昨日は?」
「朝餉に果実、昼餉に芋の羹、夜に野菜を食べただけだな」
そんな食生活じゃ、治るもんも治らないわ。
「食生活を正しましょう。後運動もしてなさそうなので、運動もしましょう」
「そなた薬師みたいだな」
「えぇ、私の父は薬師をしております。私も将来は薬師になるつもりでしたので、父に師事していました。なので病など多少は詳しいです」
「そうか、面白いなお前、いや柃菊」
「左様ですか。私が期間限定ではありますが、貴方の薬師になって絶対に貴方の風邪を治し、健康そのものにしてみせます」
薬師魂が刺激されるから。
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