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元婚約者と再会し、私は幸福を手に入れました。

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私の婚約者は伯爵令息でかっこいい

彼の青くて宝石みたいな瞳が好き
ピュアそうな笑顔が好き

こんな素敵な人と結婚するんだ

考えるだけで胸が弾む
両手をまっすぐ上にあげて
万歳したいくらい

彼は
私に
「好きだ」と
言ってくれた

ちゃんと大事なことは言葉にしてくれる人なんだ

私も
「好き」
と言葉にした

その音がふわふわと舞う

夢見心地だ

彼の腕の中で夢を見ているみたいだ

彼と結婚式を挙げて
一緒に住んで
子供を産んで

幸せに暮らすのだと信じて疑わなかった



現実は上手くいかない
上手くいかないのが現実なのかもしれない


彼は浮気していた

浮気相手は
侯爵夫人

彼より十歳以上年上の女性だ
既婚者だ

侯爵の妻に手を出したのだ

彼は社交界から追放された

勿論
婚約も破棄


みんな私を慰めてくれた

可哀想だと

確かに私は可哀想だ
浮気され
婚約破棄されたから



私は彼と結婚したかったのに

私は好きじゃない人と結婚させられるはめになった

夫と仲良くなれなかった
夫は好きじゃないから

好きじゃない人と一緒に暮らすのは
苦痛だ


浮気されても
彼が良かった



ある日
道を歩いていた時
みすぼらしい人とすれ違った

その人は私の名前を呼んだ

その人は私の元婚約者だった

凄く好きだった彼だ


私は彼の家に行った
実家から勘当されて
自分で働いて稼いでいるらしい

立派だと思った

私は夫に「離婚します」
って手紙を書いた

そして、彼と暮らし始めた

贅沢な暮らしとはいかないけど
幸福である


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