浮気相手に悪口を言っていた元婚約者は、「酷い男だ」と社交界で白い目で見られている。

浮気相手に悪口を言っていた元婚約者は、「酷い男だ」と社交界で白い目で見られている。

私の姉・ヒルトルートには、イケメンの婚約者がいる。

その婚約者の名前は、ボニファース。伯爵令息だ。

茶髪でタレ目の可愛らしい顔立ちだが、肩幅が広くてがっちりとした体格をしている。
優しそうな印象があるボニファース。


しかし、彼は浮気をしていたのだ。

浮気相手は伯爵令嬢・マレイケ。
マレイケは綺麗な女性なのだけど、性格が悪いという噂が立っている女性だった。

浮気が分かったのは、ボニファースの家でマレイケと鉢合わせしたためである。

その場で三人で話し合うことになり、ボニファースと姉は婚約破棄せず、マレイケとは別れてもらうということで話し合いが終わりそうになったその時。

マレイケが爆弾発言したのだ。

「ボニファース様は、あなたの悪口を言っていましたよ。気が強いとか、小物のセンスが悪いとか、散々悪口を言っていました！」
「いや、そんなことは言っていない」

ボニファースが否定する。

「何よ！私だけ悪者にする気？！言っていたじゃない！ベッドの上で！」

と、マレイケが叫ぶ。

「本当なの？」

と姉が聞いたところ、ボニファースは小さく頷いた。

「はぁ、信じられない。もう婚約破棄で」

そう姉が呆れ、婚約は破棄となった。



姉は友人たちにボニファースのことを『婚約者』として紹介していた。
そのため、姉は友人たちに、

「実はボニファースが浮気していたの。しかも、浮気相手に私の悪口を言っていたのよ。だから、婚約は破棄になりました」

って報告した。
「酷いわね」
「良かったわ。結婚前に気付けて」

などと友人たちに言われたそうだ。


その後、「マレイケとの浮気で婚約破棄になった」「ボニファースは酷い男だ」という噂が広まり、ボニファースとマレイケは社交界で白眼視されているらしい。