私を邪魔な存在と言った元夫から、復縁したいという手紙が届いたんだけど。

私を邪魔な存在と言った元夫から、復縁したいという手紙が届いたんだけど。

私は昔からずっと好きだった人と結婚した。

彼の名前はアドリアン。
切れ長のヴァイオレットの瞳が魅力的なイケメンである。

そして、今夜はアドリアンと結婚して初めての夜。

同じ寝室で、同じベッドに入る。

しかし……。

「おやすみ」

そう言ってアドリアンは私に背を向けてしまった。

「おやすみなさい」

私は戸惑いながらも、返事をした。

初夜なのに、何もしないのだろうか。

そう思っても彼には聞けなかった。



一緒のベッドで寝るだけの日々が続き、気づけば結婚して三カ月過ぎていた。

もしかして、ずっとこのままなのだろうか。
それだけは嫌だ。私は彼との子供を生んで育てたい。

しかし、私から誘うのはどうなのか。はしたないと思われないか……などとぐるぐる考えて、何も行動できないでいる。

そんなある日。
彼から、

「君と離縁したい」

と切り出された。

「な、なぜですか？」

「僕は秘密を抱えたまま、君と結婚してしまったんだよ。実はね、僕は君と結婚する前から好きな女性がいたんだ。その女性と今良い雰囲気になってて、君の存在が邪魔になってね」

目の前が真っ暗になる。

「そんな……酷すぎます……！」

「僕の気持ちは変わらないから。明日にはこの家から出て行ってくれるかな」

冷たい目で私を見下ろす彼。


私はこの次の日、無理やり家から追い出されて離婚となった。





それから数カ月後。
アドリアンから手紙が来た。

『理想の女性と結婚したと思っていたんだが、現実は厳しかった。彼女が性悪でメイドをいじめるような女性とは思っていなかったんだ。僕は今になって、君のすばらしさに気づいたよ。僕ともう一度一緒にならないか？』

と書かれていた。

好きな女性と結婚したが、その女性は性悪いじめっ子だったと。
だから、私と復縁したいと。

そんなの了承できるわけない。

だから、

『私はあなたよりも素敵な人に出会い、婚約しました。ご自分の見る目のなさを恨んでくださいね』

と返事を書いた。


実際、私は離婚後に出席したパーティーで素敵な男性と出会った。

私がアドリアンのことを話すと「酷い男がいたものだね」と呆れていたし、アドリアンよりも優しく接してくれた。

その男性と婚約しているのだから、アドリアンと復縁などするわけがない。