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私の初恋の先生は、姉の結婚相手。

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初恋は高校の時の先生。

二年生の時の担任の先生で、サラサラした黒髪でメガネをかけていて、そのメガネの奥にある目がキラキラしていた。

生徒の間でも、「かっこいい」「イケメン」って言われている先生だった。


私は可愛くないし、先生を遠くから眺めているだけだった。

派手な感じの可愛い女の子たちが先生にちょっかいをかけ、困っている先生を見て、なんだか可愛いなと思っていた。

それと同時に、女の子たちが羨ましかった。


面談で、先生と二人きりになったことがあった。
その時、

「津田山は真面目にやってるな。成績も良いし、生活態度も良い」

と褒めてくれた。
他の生徒にも言っていることだろうけど。

凄く嬉しかった。

好きだったけど、告白なんてできず高校を卒業した。
卒業しても、先生を忘れることはできなかった。



それなら数年後。

姉から、

「私、結婚することになったの」

と言われた。
結婚相手を紹介したいと言われたので、指定されたレストランへと向かった。

紹介された結婚相手は、私の初恋の先生だった。

先生は、

「まさか、元教え子が義妹になるなんてなぁ」

と笑っていた。

その後三人で話したけど、どんな話をしたのか覚えていない。


家に帰ってから私は、泣いた。
私は告白したり、話しかけたり何の行動も起こしていないし、そりゃ誰かに先生をとられるのは当たり前だろう。

でも、悲しかった。

とめどなく、涙が流れた。


結婚式の日。
私は、姉の隣で幸せそうな顔をする先生を見守った。

姉と一緒にいる先生を見るのはつらい。
けど、受け止めようと私は深呼吸した。

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