夫から「君とは別れる」と言われて、家を追い出されました。

夫から「君とは別れる」と言われて、家を追い出されました。

「好きな女性ができたんだ。だから君とは別れる」

突然そう言った夫のウーゴ。

彼と結婚したのは二年前。
ウーゴはスサノヴァ伯爵令息でかっこ良くて、優しい人だった。

夫婦仲は良いと思っていたから、彼の言葉はまさに青天の霹靂だったんだ。

「君の私物はメイドにまとめさせて、実家に送る。だから、すぐに出て行ってくれ」

なんて身勝手なんだろう。

「そんな……嫌です！」

当然、私は拒否した。

だが、夫はため息をつくばかり。

すると、メイドが私の腕を掴み、無理やり家を追い出した。

すぐドアに鍵がかけられ、中に入られなくなってしまった。


仕方なく、実家に帰る。

両親からは驚かれた。

「あの方には他に好きな女性がいるそうなの。だから、君とは別れるって言われて……」

事情を話したら、両親がウーゴを説得しに行ってくれた。

だが、もうすでにその家には他に女性がいたらしい。
その女性がウーゴのいう『好きな女性』なのだろう。
両親は説得を試みたが、何を言っても無駄だったそうだ。

彼は何としても私と別れ、その女性と結婚したいのだろう。

それなら仕方ない。
私は別れを受け入れた。



それから数か月後。
ウーゴから手紙が来た。

なんと、私と復縁したいそうだ。

ウーゴは好きな女性と結婚したそうだが、彼女は不倫していたという。

心が揺らいだけれど、頭をブンブンと振って気持ちをかき消した。

無理やり家から追い出したのに、今更そんなことを言われても了承できるはずがない。


手紙はゴミ箱に捨てた。



ウーゴと離婚して数年後、私はパーティーで知り合った男性と結婚することになった。

男性は穏やかで誠実な性格の人だ。

「絶対に幸せにします」

と彼に言われた時、ウーゴからそんなことは一言も言われたことがなかったことに気づいた。

彼の言葉を信じて、ついていこうと思った。