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私は伯爵に好印象を持ったので、

「二人だけでお話したいです。もっと伯爵のことが知りたいです」

と彼に伝えた。


彼と二人で会うようになり、伯爵と話すうちに彼のことが好きになっていった。

それは彼も同じだったようで。

「僕は君の可愛い笑顔に心を奪われて、二人だけで話すうちに好きになった。君のことを愛している。結婚しよう」

いつものように二人だけで話していた時、彼が頬を赤く染めつつ、伝えてくれた。
私は胸がいっぱいになって、目頭が熱くなるのを感じた。

「私も同じ気持ちです。よろしくお願いいたします」
「良かった。凄く、嬉しい」

彼が私を抱きしめる。宝物のように私に触れる手。
私も彼を抱きしめた。


私と伯爵は互いの両親に挨拶して、婚約し、結婚した。

結婚してからは、幸せでほかほかとした温かい毎日を送っている。




 
エルミニオとアリナは婚約したものの、結婚とはならなかった。

アリナの友人により、アリナが「身籠った」と嘘をついたのが分かったからだ。

妹がそんな嘘をついたのは、私からエルミニオを略奪したかったから。

いずれバレる嘘なのに、なぜそんなことを言ったのだろうか。

エルミニオを想うあまり、正常な判断ができなかったのかもしれない。

嘘がバレたことによって、エルミニオとアリナは破談になった。


その話を聞いた時、私は伯爵に夢中だったし、何も思わなかった。

エルミニオとの婚約破棄があったからこそ、伯爵に出会えたのだ。

そう思うと、婚約破棄された時に負った心の傷なんて小さなものだから。



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