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王立貴族学院 一年目
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ぞろぞろと廊下を歩く団体が引っ切り無し状態で混雑中。
入学式の翌日、新入生歓迎イベントとして交流会というものが行われている。
交流会と銘打ってるものだからパーティーをイメージしてたんだけど拍子抜け。
蓋を開けてみれば新入生一人に対して無作為の上級生二人組が丁寧に施設案内するってだけ。
そもそも自立の教育方針として一人前の紳士淑女を育てようとする学校だからとにかく大人が関与しない。
この行事自体、社交の一環でもあり、エスコートの練習とかも兼ねてるらしい。
生徒同士だけで、特に上級生は自分で考えて行動する実践のようになってる。
まあ、毎年行われる恒例行事らしいから代々先輩から受けたことを行なってるぽいけど。
とにかく学年をまたいで男女二人の先輩が案内して、移動中の談笑は学園に関しての情報に事欠かないよう徹底してる。
さすが社交練習といえども、話題の提供にも工夫されているんだね。
「こちらは図書館よ。王立図書館よりは規模が小さいけれども、学院の図書館では割と品揃えも豊富ですの。市井で取り寄せるよりは入荷も早くて素晴らしいの」
わたし担当の先輩は3年生の女子と2年生の男子。もちろんエスコートは男子の役目だけど、3年生が陰ながら仕切ってる。
3年生を敬いつつも男性を立てるという互いの高度の技、さすが貴族。
案内された図書館はとにかく広かった。次から次へと上級生に連れられたグループが入ってきても余裕があるくらい広い。
館内はきちんと整理された本が綺麗に並んで本棚の途切れた場所に机や椅子がある。
現在、ひと気がないものの、カウンターがあってそこで本が借りられるらしい。
本来、図書館の開放時間は昼休み以降だとか。
今は午前中だけどオリエンテーション期間だから特別に空けてるらしい。
「では次へ参りましょう」
2年生が優雅にわたしの手を取る。うう、お貴族様、身のこなしがすごいね。
平然を装いつつ、二人に微笑みかける。脇汗が半端ない。”貴族らしく”がただ頭に過ぎるのみ。
それから入学式の行なわれた講堂、別棟にある特別教室やら先生方のいる研究棟、これまたレストランかというような食堂やらに案内され、校内をくまなく回って終了。
「ごきげんよう」
「では失礼します」
それなりに緊張した時間が無事終了し、ほっと一息。
教室に戻ると決まった席に着いて周囲を見回す。
幾人かの生徒は戻ってるみたいだけど、まだその他の方々は探索中らしい。
例の注目株、オーラ組もまだいないようだしね。
そこに赤ピンク髪を揺らしながらマリアさんが教室の前方から戻ってきているのが見えた。
二つ結びの髪を両肩に垂らし、両腕に書類を抱えながら微笑みつつ、自分の席に近づいている。
ん? マリアさんが歩みを進めるつど、何かが動く気配を感じる。
そしてその気配が下へと滑っていって落下する。
マリアさんが歩いてきた床を見ると何かが落ちているのだ。
目を凝らせばペンなどの筆記用具っぽい。
当の本人は落とし物をしたことには全く気付いていないらしい。
これは教えてあげなければと思い、席を立とうとしたその時、
「マリア嬢、また落としてるぞ」
力強いけど優しい声がマリアさんの背後から響く。
見るといつの間にか教室に戻ってきた攻略対象であろう一人、オレンジ色の短い髪をした騎士くんがいた。
骨太な大きな手にはマリアさんの落としたと思われるペンが握られている。
「えっ? 私ったら……。ごめんなさい」
マリアさんが咄嗟に目を見開き、しゅんと落ち込みながら目を伏せる仕草が可愛い過ぎる!
「いいんだ、気にするな。気を付けるといい」
マリアさんと向き合いながら優しく微笑む騎士くん。
ペンを渡しながら肩をポンと叩く動作が何となく親しげな雰囲気を醸し出す。
「マリア! 何をしたの!?」
するとどことなく暖かい空気に包まれた気配を掻き消す声が響いてきた。
声の主は交流会から戻ってきたらしいソフィアさんだった。
瞬時にマリアさんに詰め寄ってくるソフィアさん。
騎士くんが宥めるように説明してもその興奮が収まる様子がない。
確か姉だと言っていたのにどっちが上なのか本当にわからない関係。
ただマリアさんがペンを落としたのを拾ってあげただけ、なのに。
マリアさんはソフィアさんに対して申し訳なさそうにただ謝っているだけだった。
……なんだ、この光景は。また既視感がする。
マリアさんとソフィアさんの間に騎士くんの構図。
まるで騎士くんを巡ってヒロインと悪役令嬢がバトルってるような。
途端、ゾゾっと寒気がする。自分があの位置にいたらどうなるんだ、と。
もちろんゲームなんかに参加するつもりもないし、絶対に擬態してやる!
地味に目立たず騒がず大人しく、伯爵令嬢として卒業してみせるんだからね!
入学式の翌日、新入生歓迎イベントとして交流会というものが行われている。
交流会と銘打ってるものだからパーティーをイメージしてたんだけど拍子抜け。
蓋を開けてみれば新入生一人に対して無作為の上級生二人組が丁寧に施設案内するってだけ。
そもそも自立の教育方針として一人前の紳士淑女を育てようとする学校だからとにかく大人が関与しない。
この行事自体、社交の一環でもあり、エスコートの練習とかも兼ねてるらしい。
生徒同士だけで、特に上級生は自分で考えて行動する実践のようになってる。
まあ、毎年行われる恒例行事らしいから代々先輩から受けたことを行なってるぽいけど。
とにかく学年をまたいで男女二人の先輩が案内して、移動中の談笑は学園に関しての情報に事欠かないよう徹底してる。
さすが社交練習といえども、話題の提供にも工夫されているんだね。
「こちらは図書館よ。王立図書館よりは規模が小さいけれども、学院の図書館では割と品揃えも豊富ですの。市井で取り寄せるよりは入荷も早くて素晴らしいの」
わたし担当の先輩は3年生の女子と2年生の男子。もちろんエスコートは男子の役目だけど、3年生が陰ながら仕切ってる。
3年生を敬いつつも男性を立てるという互いの高度の技、さすが貴族。
案内された図書館はとにかく広かった。次から次へと上級生に連れられたグループが入ってきても余裕があるくらい広い。
館内はきちんと整理された本が綺麗に並んで本棚の途切れた場所に机や椅子がある。
現在、ひと気がないものの、カウンターがあってそこで本が借りられるらしい。
本来、図書館の開放時間は昼休み以降だとか。
今は午前中だけどオリエンテーション期間だから特別に空けてるらしい。
「では次へ参りましょう」
2年生が優雅にわたしの手を取る。うう、お貴族様、身のこなしがすごいね。
平然を装いつつ、二人に微笑みかける。脇汗が半端ない。”貴族らしく”がただ頭に過ぎるのみ。
それから入学式の行なわれた講堂、別棟にある特別教室やら先生方のいる研究棟、これまたレストランかというような食堂やらに案内され、校内をくまなく回って終了。
「ごきげんよう」
「では失礼します」
それなりに緊張した時間が無事終了し、ほっと一息。
教室に戻ると決まった席に着いて周囲を見回す。
幾人かの生徒は戻ってるみたいだけど、まだその他の方々は探索中らしい。
例の注目株、オーラ組もまだいないようだしね。
そこに赤ピンク髪を揺らしながらマリアさんが教室の前方から戻ってきているのが見えた。
二つ結びの髪を両肩に垂らし、両腕に書類を抱えながら微笑みつつ、自分の席に近づいている。
ん? マリアさんが歩みを進めるつど、何かが動く気配を感じる。
そしてその気配が下へと滑っていって落下する。
マリアさんが歩いてきた床を見ると何かが落ちているのだ。
目を凝らせばペンなどの筆記用具っぽい。
当の本人は落とし物をしたことには全く気付いていないらしい。
これは教えてあげなければと思い、席を立とうとしたその時、
「マリア嬢、また落としてるぞ」
力強いけど優しい声がマリアさんの背後から響く。
見るといつの間にか教室に戻ってきた攻略対象であろう一人、オレンジ色の短い髪をした騎士くんがいた。
骨太な大きな手にはマリアさんの落としたと思われるペンが握られている。
「えっ? 私ったら……。ごめんなさい」
マリアさんが咄嗟に目を見開き、しゅんと落ち込みながら目を伏せる仕草が可愛い過ぎる!
「いいんだ、気にするな。気を付けるといい」
マリアさんと向き合いながら優しく微笑む騎士くん。
ペンを渡しながら肩をポンと叩く動作が何となく親しげな雰囲気を醸し出す。
「マリア! 何をしたの!?」
するとどことなく暖かい空気に包まれた気配を掻き消す声が響いてきた。
声の主は交流会から戻ってきたらしいソフィアさんだった。
瞬時にマリアさんに詰め寄ってくるソフィアさん。
騎士くんが宥めるように説明してもその興奮が収まる様子がない。
確か姉だと言っていたのにどっちが上なのか本当にわからない関係。
ただマリアさんがペンを落としたのを拾ってあげただけ、なのに。
マリアさんはソフィアさんに対して申し訳なさそうにただ謝っているだけだった。
……なんだ、この光景は。また既視感がする。
マリアさんとソフィアさんの間に騎士くんの構図。
まるで騎士くんを巡ってヒロインと悪役令嬢がバトルってるような。
途端、ゾゾっと寒気がする。自分があの位置にいたらどうなるんだ、と。
もちろんゲームなんかに参加するつもりもないし、絶対に擬態してやる!
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