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Chapter6 憤怒の髪
第61話 諸行無常
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激昂するなら髪を逆立て天を突け。その髪は、全てを切り裂く無数の刃となるだろう。
*
諸行無常。
それは、この世に存在するものにおいての一種の真理である。
生ある者は必ず滅し、形ある物は必ず壊れる。確かにその通り、反論の余地もない。
不老不死なんてものはおとぎ話でしかないし、どれだけ硬度が高く密度の高い物体でも、それを壊す方法はいくらでも存在する。
しかしながら、それは結果論である。
滅する、壊れる、それらは最終的に辿り着く言わば本の最終ページのようなものであって、その中身ではないのだ。では、中身はどうなっているのか。それも諸行無常と言えるだろうか。
諸行とは、この世の万物、事物であり行為のこと。
そして無常とは常に一定であるものは存在しない、という意味合いだ。
結果的には、先述の通り全てのものは変化するわけだが、その過程において、つまり人間に置き換えると、人は生の中でも常に変化し一定に留まってはいないということだ。
けれど、どうだろう。本当にそれは確かだと言えるだろうか。
いや――言えない。
人間には存在するのだから。死ぬまで変わらず、一定のまま存在するものが。
そんな事はない、変化している、と言うのなら、それはただ気付けていなかっただけのこと。
全ての人間が生まれながらにしてそれはそこにあって、変わらずずっと潜んでいるのである。
気付かないだけで、ずっとそこにある変わらないもの。
それは――人間性。その者の持つ本質である。
良く耳にする言葉に【あの人は変わった】なんて言葉がある。けれど、そうじゃない。
変わったのではなく、その者は気付いたのだ。
本当の自分に、自分の根底にある本質に気付いただけのことなのだ。本当の自分はこうなのだと、根底にあったそれに準じて動き出しただけなのである。
しかしそれは、誰もが気付くことではない。
本当の自分に気づけず、それを探すために一生を費やす者もいるだろう。
だから。
本当の自分に気づけるきっかけが出来たなら、それはなんとしても追いかけ掴みとるべきなのである。
ホテルを飛び出し、数軒先の別のホテルに向かい走っている黒時のように、必死になって追いかけるべきなのである。
*
諸行無常。
それは、この世に存在するものにおいての一種の真理である。
生ある者は必ず滅し、形ある物は必ず壊れる。確かにその通り、反論の余地もない。
不老不死なんてものはおとぎ話でしかないし、どれだけ硬度が高く密度の高い物体でも、それを壊す方法はいくらでも存在する。
しかしながら、それは結果論である。
滅する、壊れる、それらは最終的に辿り着く言わば本の最終ページのようなものであって、その中身ではないのだ。では、中身はどうなっているのか。それも諸行無常と言えるだろうか。
諸行とは、この世の万物、事物であり行為のこと。
そして無常とは常に一定であるものは存在しない、という意味合いだ。
結果的には、先述の通り全てのものは変化するわけだが、その過程において、つまり人間に置き換えると、人は生の中でも常に変化し一定に留まってはいないということだ。
けれど、どうだろう。本当にそれは確かだと言えるだろうか。
いや――言えない。
人間には存在するのだから。死ぬまで変わらず、一定のまま存在するものが。
そんな事はない、変化している、と言うのなら、それはただ気付けていなかっただけのこと。
全ての人間が生まれながらにしてそれはそこにあって、変わらずずっと潜んでいるのである。
気付かないだけで、ずっとそこにある変わらないもの。
それは――人間性。その者の持つ本質である。
良く耳にする言葉に【あの人は変わった】なんて言葉がある。けれど、そうじゃない。
変わったのではなく、その者は気付いたのだ。
本当の自分に、自分の根底にある本質に気付いただけのことなのだ。本当の自分はこうなのだと、根底にあったそれに準じて動き出しただけなのである。
しかしそれは、誰もが気付くことではない。
本当の自分に気づけず、それを探すために一生を費やす者もいるだろう。
だから。
本当の自分に気づけるきっかけが出来たなら、それはなんとしても追いかけ掴みとるべきなのである。
ホテルを飛び出し、数軒先の別のホテルに向かい走っている黒時のように、必死になって追いかけるべきなのである。
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