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第三章
第17話 心半ばに散った勇者達 後半
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再び、女将が話しかけてきた。
「そうそう、草原に黒い悪魔が出たらしいよ、そいつはとんでもなく危険なやつでね、たしか、あんたも草原に行くって言ってなかったかい?」
女将が草原で起った事を話し出した。予言に出てくる三匹の黒い悪魔によって、剣星のマーカス、自由騎士オルステッド、山田太郎の三英雄が殺されてしまったとか……
「黒い悪魔か、ああ、あれか、たしかに3匹いたな。もう倒したぞ」
「馬鹿な冗談はやめときな、さすがの私も怒って殴るよ?」
殴るよじゃなく、殴ってるだろが。
女将の無拍子による突きを俺は避けた。気配を消した予備動作なしの突きだ。俺じゃなかったら、顔面に風穴が空いてるぞ。
「手加減したといえ、あれを避けたのかい、へぇ、あんた、意外とやるねぇ」
「このくそばばぁがぁ……」
『それって……まさか』
エスカーナ、どうしたんだ?
『なんでもないですよ?』
そうか……
「まぁ、あんたも黒い悪魔には気をつけな、こんなときにハワードは一体何をしてるんだろうね」
「ハワードって誰だ?」
「へぇ、あんたは知らないのかい、この国の勇者様のことさ。殺された方の方じゃないよ、あれは女癖が悪い、あんまりいい噂がなかった教会の勇者だしね。ハワードは文武両道でできた好青年さ、ほら、あそこに写真があるだろう。銀色の髪をした赤い瞳の子がいるだろう、うちの国の代表で、あれは、たしか闘技大会に優勝した頃の写真だね」
「真の勇者は俺のはずだが?」
「あははは、あんた、冗談がうまいね、あんたはまず、まともな人間になってちゃんと働きな」
肩を思いっきり叩かれた。思いのほか痛いぞ。しかも、思いっきし、笑いやがって、このくそばばぁ。
『はて、ハワードですか、どこかで……』
知っているのか?
『あっ、思い出しました。竜也さんが持っている異次元袋(大)があるじゃないですか』
あれか、生きているモノ以外1000個までアイテムが収納できる。スラッキーと野盗どものアイテムを回収するのに便利だったあれか。
『そうそう袋の隅のほうに、たしか名前が……』
ああ、確かに名前が書いてある、ハワードだな。それがどうした?
『いえ、なんでもないんです。きっと、きのせいですよ』
そうか。
その時、壁を修理している親父が、
「ハワードのやつ、カーナの森に聖剣を取りに行くって言ってたぞ」
「そうだったのかい? いつ戻ってくるんだろうね」
俺は背中に背負った聖剣エスカーナを見つめた。
『えへへ』
俺は、袋から『まいぺーん』を取り出し、ハワードの名前を塗りつぶした。これで大丈夫だ。
『さすが、竜也さん、さりげなく証拠隠滅しましたね』
この袋、道具屋で20000Gはするからな。ハワードとやら、安らかに眠ってくれ。これは俺が有効活用してやる。そうだな、暇なときにでも森に行くとするか、墓石でもたててやろう。勇者ハワード、ここに眠るってな。
『そうですね。綺麗なお花がいっぱい咲いてますから見に行きましょうね』
俺たちは、心半ばに散った勇者に哀悼の意を捧げた。
「そうそう、草原に黒い悪魔が出たらしいよ、そいつはとんでもなく危険なやつでね、たしか、あんたも草原に行くって言ってなかったかい?」
女将が草原で起った事を話し出した。予言に出てくる三匹の黒い悪魔によって、剣星のマーカス、自由騎士オルステッド、山田太郎の三英雄が殺されてしまったとか……
「黒い悪魔か、ああ、あれか、たしかに3匹いたな。もう倒したぞ」
「馬鹿な冗談はやめときな、さすがの私も怒って殴るよ?」
殴るよじゃなく、殴ってるだろが。
女将の無拍子による突きを俺は避けた。気配を消した予備動作なしの突きだ。俺じゃなかったら、顔面に風穴が空いてるぞ。
「手加減したといえ、あれを避けたのかい、へぇ、あんた、意外とやるねぇ」
「このくそばばぁがぁ……」
『それって……まさか』
エスカーナ、どうしたんだ?
『なんでもないですよ?』
そうか……
「まぁ、あんたも黒い悪魔には気をつけな、こんなときにハワードは一体何をしてるんだろうね」
「ハワードって誰だ?」
「へぇ、あんたは知らないのかい、この国の勇者様のことさ。殺された方の方じゃないよ、あれは女癖が悪い、あんまりいい噂がなかった教会の勇者だしね。ハワードは文武両道でできた好青年さ、ほら、あそこに写真があるだろう。銀色の髪をした赤い瞳の子がいるだろう、うちの国の代表で、あれは、たしか闘技大会に優勝した頃の写真だね」
「真の勇者は俺のはずだが?」
「あははは、あんた、冗談がうまいね、あんたはまず、まともな人間になってちゃんと働きな」
肩を思いっきり叩かれた。思いのほか痛いぞ。しかも、思いっきし、笑いやがって、このくそばばぁ。
『はて、ハワードですか、どこかで……』
知っているのか?
『あっ、思い出しました。竜也さんが持っている異次元袋(大)があるじゃないですか』
あれか、生きているモノ以外1000個までアイテムが収納できる。スラッキーと野盗どものアイテムを回収するのに便利だったあれか。
『そうそう袋の隅のほうに、たしか名前が……』
ああ、確かに名前が書いてある、ハワードだな。それがどうした?
『いえ、なんでもないんです。きっと、きのせいですよ』
そうか。
その時、壁を修理している親父が、
「ハワードのやつ、カーナの森に聖剣を取りに行くって言ってたぞ」
「そうだったのかい? いつ戻ってくるんだろうね」
俺は背中に背負った聖剣エスカーナを見つめた。
『えへへ』
俺は、袋から『まいぺーん』を取り出し、ハワードの名前を塗りつぶした。これで大丈夫だ。
『さすが、竜也さん、さりげなく証拠隠滅しましたね』
この袋、道具屋で20000Gはするからな。ハワードとやら、安らかに眠ってくれ。これは俺が有効活用してやる。そうだな、暇なときにでも森に行くとするか、墓石でもたててやろう。勇者ハワード、ここに眠るってな。
『そうですね。綺麗なお花がいっぱい咲いてますから見に行きましょうね』
俺たちは、心半ばに散った勇者に哀悼の意を捧げた。
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