えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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3章 群雄割拠

小沛城リベンジ

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 諸葛瑾からの指示を受け、物資の強奪に現れるであろう姜鄭義賊団を待ち伏せしている小沛守備軍。
 諸葛瑾「それにしても劉丁殿は、不思議なお方ですね」
 華雄「うむ。まるで先が見えているかのように迅速な指示をなさる」
 徐栄「ひょっとして、経験してるなんてことないですかね」
 華雄「徐栄にしては、笑えない冗談だ」
 李儒「それにしても現れませんな。これではワシの罠が機能しませんぞ」
 華雄「そう言うな李儒」
 やがて女の人影が多数現れる。それはまっすぐに小沛守備軍の防衛を掻い潜り、物資を運搬していた。だが、掴んだ物資の中身は全て空だった。
 姜「どういうこと?ここに蓄えられてるじゃ無いの?」
 鄭「姐様、ひょっとして、罠なんじゃ」
 李儒「せいかーい。かように可愛い賊とは、思いませんでしたぞ」
 姜「くっ。みんな逃げるよ」
 諸葛瑾「どこにいくおつもりですか?」
 鄭「そんなこっちにも」
 華雄「子猫ちゃんたちにしっかりと躾してあげないとな」
 徐栄「グヘヘヘヘ」
 民男「全く見てらんねぇぜ。それぐらいにしといてやんなよ。華雄さん」
 華雄「おぅ。今から釣りか?」
 民男「おぅよ。良いの釣れたらまた持ってくるからよ」
 華雄「良いって良いって。ちゃんと金払うからよ」
 民男「なーに言ってんだ。俺たちがこうして豊かな暮らしできてんのは劉備様のおかげなんだからよ。これぐらい返しとかねぇとバチが当たるってもんよ」
 華雄「あんがとよ。気を付けてな」
 民女「全く華雄さんったら美人ならここにもいるわよ」
 華雄「ホントだ。ってやめろやめろ。今から仕事か?」
 民女「えぇ、今日は酒造りよ。また持ってくわね」
 華雄「張飛殿がガブガブ飲むからよ。禁酒令出そうかって話してんだ。でも美味い酒だからなぁ。ちょびっと貰うぜ」
 民女「瓶で持ってくるわよ。劉備様のお陰でこんなにも今平穏なんだから」
 華雄「殿だって、好きでやってんだ。そんなことされたら倍返しされるぞ」
 民女「きゃーどうしましょう。嫁にとか言われたら」
 華雄「ハッハッハ。気を付けてな」
 民女「えぇ」
 諸葛瑾「見ましたか?この姿を見ても我々が悪者だと思いますか?姜鄭義賊団の皆様」
 姜「偽情報を掴まされたってわけね」
 鄭「姐様、私たちはとんでも無いことを」
 姜「えぇ、どう償えば良いのかしら」
 華雄「何を言っているのだ?お前たちは民が虐げられているかもと思い行動に移しただけであろう。それにどういうわけか奇跡的に被害もない。全くどういうわけかわからぬが」
 姜「ププ。アーハッハッハ。久々にこんなに笑っちまったよ。アンタ良い男だね。決めたよ。姜鄭義賊団は、受けた恩をキッチリ返すって決めてるのさ。なんでも良いな」
 華雄「なんでも良いのか?」
 姜「女に二言は無いよ」
 華雄「じゃあ、俺の妻になってくれ」
 姜「はっ?えっええええええ!?えっえっえええええ!?」
 徐栄「おいずりぃぞ華雄。俺の嫁になってくれ」
 鄭「えっ?ええええええ!?」
 華雄「ダメか?やっぱりこんなオッサン嫌だよな。忘れてくれ」
 姜「男なら言った言葉を曲げるんじゃ無いよ。分かったよ。あんなに熱烈なプロポーズされちゃあね。でも義賊から足を洗うつもりはないよ。構わないかい?」
 華雄「勿論だ。むしろどんどん悪いやつからは盗んでやってくれ。そんなお前らがいることが民の救いにもなるだろう」
 姜「ホント、おかしな男だね。大胆なのか肝が小さいのかよくわかんないよ。でもこれから宜しくね。アンタ」
 華雄「あぁ姜」
 徐栄「無理か?」
 鄭「あのそのあの。あわわわ」
 姜「すまないね。アタイらはこういう仕事をしていたものでね。男から告白されるなんてことなんて無かったからさ。おーい鄭」
 鄭「姐様、告白されました。私告白されました」
 姜「そうだね」
 鄭「あれっ姐様も告白されていた」
 姜「受けたよ」
 鄭「それじゃあ姜鄭義賊団は?」
 姜「勿論、続けるさ」
 鄭「そうですわよね家庭に入るんですものね。当然解散ですわよねってえええええ!?続ける!?」
 徐栄「勿論、お前も俺と結婚しても続けてくれて構わない」
 鄭「えっええええ!?結婚!?」
 ドサっと倒れる鄭。
 姜「アチャー。こうなると当分起きないねこりゃ」
 徐栄は鄭を運ぶと責任を取り看病していた。
 姜「あの男も良い男だね」
 華雄「惚れたか?」
 姜「妬いちゃったかい?」
 華雄「少しな」
 姜「可愛いところがあるもんだね。安心しな。アンタだけだよ」
 華雄「今日は寝かさないぜ」
 諸葛瑾「我々は何を見せられているのでしょう」
 李儒「女に飢えて、拗らせた男の恋愛。まぁ良いでは無いか。2人とも性しか名乗ってないことの方が問題だと思うが」
 徐栄も鄭と結ばれることとなり、物資の略奪が起こらなかった小沛城に袁紹も公孫瓚を攻め切れていないことも重なり、これ以降何かあるということはなかった。一夜明け、スッキリした顔の華雄と徐栄と打って代わり、歩き方ががに股になっている姜と鄭を見て、どんだけやったんだあの馬鹿どもはと諸葛瑾と李儒は呟きながら政務を取り行っていたそうだ。
 華雄「聞いてくれ、俺の妻なんだがホントは、姜藍キョウランっていうらしい。ずっと姜だと思ってたのに藍だったんだよ」
 徐栄「聞いてくれ、みんな。俺の嫁なんだがホントは、鄭弥テイビっていうらしい。ずっと鄭だと思ってたけど弥だったんだよ」
 諸葛瑾と李儒は思った。2人とも性しか名乗ってなかったやろがとそれに盗賊なんだから姓名で活動しとるかボケと。だが口には出さなかった。2人ともへーと言いながら拍手していた。そんなこんなで小沛城は、今日も平和です。
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