えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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3章 群雄割拠

仲国攻略作戦リベンジ(承)

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 趙雲が美女と気絶している2人の将を連れて、戻ってきた。
 田豊「趙雲殿、そちらの女性と捕虜は誰ですかな?」
 樊玉鳳「申し遅れました劉備軍の皆々様、この度、趙雲殿の妻に迎え入れてもらいました樊玉鳳と申します。気楽に樊氏とお呼びください。気絶している2人は、鮑隆と陳応、腕は立ちますが普段は猟師をしています。今は気にすることはありませんよ」
 張飛「おいおい、戦場で女を口説くなんてやるじゃねぇか子龍」
 趙雲「たまたまですよ張飛殿」
 張郃「その出たちに樊玉鳳?まさか、血塗れの玉鳳!」
 樊玉鳳「あら、懐かしいですわね。その名で呼ばれるのは」
 麴義「よもや実在したとは。女性でありながら戦場にて鬼神の如き活躍をする女傑。兵士の返り討ちに染まった絹織物を羽織っていることから血塗れと呼ばれた。そのような御方を妻に迎えるとは、天下に並ぶものなき槍術を持つ趙雲殿らしいか」
 趙雲「そんなに煽てないでください」
 樊玉鳳「ゴホン。今回の遠征軍は、劉表軍ということはご存知ですか?」
 田豊「やはりそうなのですな」
 樊玉鳳「知っていらしたのですか?」
 沮授「うむ。ここにおられぬが我らが殿の弟君で、軍師を統括している劉丁殿から軽く聞いていた」
 樊玉鳳「まさか、我らを劉表軍と見抜いている方がいられたとは、全く恐ろしいですわね劉備軍は、なら話は早いです。荊州にある四つの郡をご存知ですか?」
 田豊「桂陽・長沙・零陵・武陵でしたな」
 樊玉鳳「えぇ、今回表向きには劉表軍に加入していないことになっているこの四つの郡の連合軍です。そこで、提案なのですがいっそのこと、劉表軍から劉備軍にこの四郡を鞍替えさせませんか?」
 沮授「しかし、劉丁殿は、確か我らの武を徹底的に知らしめておくようにと」
 樊玉鳳「クスクス。全く、どこまで先の見えている御方なのでしょう。そうです。そのために今徹底的に反抗的な将を討ち取り、劉備様側に付かせるのです」
 田豊「よもや武だけでなく智まで兼ね備えているとは、趙雲殿は良い奥方を得られましたな」
 趙雲「恐縮です」
 樊玉鳳「フフッ。話を続けます。金旋軍にいる息子の金禕キンイは、父と違い聡明で、献帝を意のままに操る曹操を嫌っています。そして、鞏志は、今回の遠征に反対的でした。狙い目と言えるでしょう。金旋をこの戦いで完膚なきまでに叩き、権威を失墜させることができれば、自ずと武陵は劉備様の手に入るでしょう」
 田豊「聞きましたね張飛殿」
 張飛「おぅ。要は、立ち直れないぐらいの敗北を味合わせてやりゃ良いんだな。任せろ」
 樊玉鳳「話のわかる方々ばかりで助かります。次に韓玄軍ですが劉表軍から左遷されてきた黄忠、そして、南の蛮族の血が少し入っている魏延を毛嫌いしています。ですがどちらも優秀な方々です。是非、配下に加えるべきでしょう。そのため2人に持たせれば良い兵の多くを楊齢という猪武者に持たせています。弟の韓浩が曹操に仕えている縁で、曹操とも懇意な関係です。排除しておいて、損はないでしょう。劉表は、魏延のことを信頼していますので、自ずと魏延が長沙の太守となりましょう。後は、時が来た時にこちらに付いてもらうために説得すれば良いのです」
 沮授「総大将殿、聞きましたか?」
 関羽「うむ。しかしあの黄忠殿が劉表に冷遇されて左遷されていようとは」
 樊玉鳳「知っているのですか?」
 関羽「うむ。反董卓連合の際、あの呂布を捕らえるべく協力してもらった間柄だ」
 樊玉鳳「成程、黄忠殿の弓術は、凄まじい技術です。それでもあの天下無双の男とやり合ったとは、後で詳しくお聞きしたいですわね」
 趙雲「ゴホン。私も参加していた」
 樊玉鳳「まぁ。これは、後で詳しくお聞きしないと。それでは、話を戻します。では、長沙の方も問題なさそうですね。厄介なのは、零陵を治める劉度です。息子である劉賢リュウケンは、邢道栄と共に抗戦派で、此度の連合軍も積極的に加入を勧めたそうです。手っ取り早いのは、邢道栄を討ち取るのが良いのですが、そうすると劉賢は、責任の全てを邢道栄に被せるでしょう。邢道栄を操り指示してる人間だけが許されるなど私は我慢なりませんね。なので、ここは劉度の心を折るため劉賢を狙いましょう」
 田豊「張郃殿、可能ですかな?」
 張郃「この河問の張儁乂にお任せを」
 樊玉鳳「邢道栄が立ち塞がると思いますがどちらも捕らえるのが良いでしょう。さすればお互い罵り合い自滅するでしょう。これで零陵も手に入れられるかと」
 張郃「かしこまった」
 田豊「なんと。確かにこの方法なら荊州の南の四郡を労せずして、殿の物とできる。まさかかような策を思い付くとは。劉丁殿も喜びましょう」
 樊玉鳳「私もお会いしたいですわ。我々を劉表軍だと見抜いた。若き才を」
 こうして、樊玉鳳によりもたらされた情報を元に迎撃を開始する。金旋軍は、張飛軍により完膚なきまでに散々に打ち負かされ、金旋は、尚も戦いの継続を良い。息子である金禕の命を受けた鞏志により、討たれることとなった。
 金旋「クソクソクソクソがぁーーーー。まだだ。金禕、兵を持ってこい。今度こそ。あの張飛とかいう猪武者を討ち取ってやるわ」
 金禕「父上、もうお辞めください。我々は負けたのです。これ以上悪戯に兵を減らすべきではないでしょう」
 金旋「親である俺に口答えするな。お前はとっとと言われた通りに兵を用意すれば良いんだ」
 金禕「わかりました(これ以上、兵を減らして、曹操に備えなければならないのに)」
 下がった金禕は、鞏志と共に集めた兵で反乱を起こし、金旋を討ち取る。
 金禕「鞏志、父上を討つと言ったら協力してくれるか?」
 鞏志「若様、いえ殿、協力いたします」
 金旋「なんだ貴様ら。俺が誰だか分かってんのか。金禕・鞏志、どこじゃどこにおる。こやつらを取り押さえぬか」
 金禕「父上、残念です。鞏志」
 鞏志の放った弓により胸を貫かれた金旋は絶命する。
 金旋「金禕、貴様、親を討つというのか。この不忠者が。ガハッ」
 金禕「父上、これも曹操と対するために必要なことなのです。鞏志、ここは任せた。俺は、当主として、責任を取り劉備軍の元に向かう」
 鞏志「かしこまりました。どうかお気をつけください」
 そして、張飛の目の前に縄を後ろ手に縛った状態で金禕が現れる。
 張飛「アンタが金禕か?」
 金禕「いかにも、此度の責任を取るべくこうして、自分に縄をかけ参った。そちらの大将に御目通りできぬであろうか?」
 張飛「おぅ。こっちだついてきな」
 張飛が金禕を関羽の元に案内する。
 関羽「よく参られた金禕殿。兄者より軍を預かり袁術討伐に参った関雲長と申す」
 金禕「貴方が関羽殿。此度の責任を取りに参った次第。いかようにもしてください(なんと勇ましい姿。この方の御助力を得ることができれば曹操軍に対抗できるかもしれん)」
 関羽「では、劉表の元に帰り、時が来るまで金旋の後を継ぎ武陵を治めよ」
 金禕「刃向かい刃を向けた我々を許すと?」
 関羽「うむ」
 金禕「その寛大な処置に応えたいと思います。今はその言を信じ、武陵へと戻ります」
 関羽「またな」
 金禕「またですか。成程、またお会いしましょう」
 関羽「うむ」
 金禕の事実上の降伏の言質を取ることに成功する。
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