えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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3章 群雄割拠

第二次徐州の戦い(起)

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 曹操として誤算だったのは、劉表の様子見と揚州にて勢力を伸ばしつつあった孫堅の不参加である。そして、吉報は、袁紹の参加である。曹操は、この機に袁紹の力を削いでおきたかった。それゆえ、参加すれば必然的に劉備軍の猛将と交えることとなる。それは、お互い無事ではすまないことを意味していた。この機に劉備軍が袁紹軍を削ってくれれば、河北を制するのが楽になると考えていたのだが郭嘉が従軍を断ったのである。兗州にて怪しい動きがあるため防備を固めるために残ると。それに伴い程昱も残ると。曹操は、これを承諾。夏侯惇に10万の兵を与え、小沛へと攻め込ませることとする。これに対し劉備軍は、小沛の太守を誰にするか話し合っていた。

【曹操軍】

 郭嘉「どうも、胸騒ぎがするんでね。徐州征伐には、今回は参加を見送らせてもらうよ」
 程昱「私も何か胸騒ぎがするので、郭嘉殿と共に兗州にて留守居を務めましょう」
 曹操「郭嘉よ。お前が来ないというのであれば、後任は誰が良いか?」
 郭嘉「賈詡殿なら安心だろうね」
 曹操「うむ。賈詡よ。よろしく頼んだぞ」
 賈詡「はっ必ずや」
 曹操「では、元譲よ。10万の兵を与える。小沛を攻め落とすのだ」
 夏侯惇「孟徳、任しておけ。必ずや豫州制覇のために手始めに小沛を落とすとしよう」
 夏侯惇率いる先鋒10万の大軍が小沛へと迫っていた。

【下邳】

 劉備「まさか帝の詔を用いて、この私を逆賊などと申すとは許せん」
 荀彧「落ち着いてください殿。帝を手に入れた時点で大義名分は作りたい放題、その事に腹を立てても意味はありません。先鋒が夏侯惇ならまだ救いでしょう。夏侯惇を完膚なきまでに叩き潰し、小沛城を守りましょう」
 臧覇と孫観が入ってきた。
 臧覇「殿、彭城と広陵を抑えました」
 孫観「俺たちは、徐州牧となった殿に忠誠を誓います」
 劉備「臧覇に孫観よ。感謝する。そして歓迎する」
 臧覇・孫観「はっ」
 荀彧「これは、吉報です。下邳を攻める進軍路は、瑯琊・東海を通る進軍路しかありません。北の備えは気にする必要はなくなったと言えましょう」
 義賢「えぇ。気にする必要があるのは、小沛ですね。やはり曹操は、豫州制覇にこだわっているようですね。甘寧殿」
 甘寧「えっ俺?」
 義賢「小沛の城主を甘寧殿に任せたいのですが」
 甘寧「はっ!いやいやいや、待て待て待て。マジで」
 荀彧「私も疑問に思っています。どうした甘寧殿を?」
 関羽「うむ。某や翼徳ならまだしも何故甘寧なのだ?」
 義賢「雲長にお聞きします。曹操軍の猛攻にひたすら耐え城を守れますか?攻めが得意な雲長が」
 関羽「ぐっ。確かに、城を守ることには向かない気がしてきましたぞ」
 張飛「俺もだ」
 甘寧「俺なら守れると考えるのは、どうしてだ?」
 義賢「甘寧殿は、海賊上がり。ということは、船という拠点が同じ海賊に襲われた時に守り続けたということでもある。守りに長けていると思ったのです」
 甘寧「船を拠点とはな!面白い表現だ。だが、そういうことなら俺の右に出るものは、居ないんじゃないか?」
 甘寧が辺りを見回すと誰も頷くものはいなかった。
 義賢「我々、劉備軍は、寄る地がなかった。それゆえ、今まで攻めの経験しかないのです。ですが今回は守りが重要となります。特に小沛においては、決して曹操軍を通さず守り続けることが大事なのです。それができるのは、防衛戦の心得を知っている甘寧殿のみ。それに大将として堂々と構えていてもらわねばなりませんからね」
 荀彧「成程、そういうことなら甘寧殿の補佐には、私が付きましょう。袁紹軍でたくさんの防衛戦は、経験していますのでね。それに義賢殿の先程の話ぶりを見る限り、下邳に攻め寄せる袁紹軍には、守りではなく攻撃しようとしてるのかと思いましてね」
 義賢「えぇ、荀彧殿の察しの通りです。前回の第一次徐州征伐の際に奪われた瑯琊と東海を取り戻し、徐州全土を制覇します。そして、そのまま北進し北海を奪取します」
 劉備「何を言っているのかわかっているのか丁!」
 義賢「はい。この戦力なら可能だと考えています」
 張飛「おもしれぇじゃねぇか。俺はそういうことなら袁紹を攻めさせてもらうぜ」
 関羽「翼徳、勝手に話を進めるでない」
 義賢「いえ、それで構いません。袁紹軍の相手は、雲長を総大将とし、翼徳・張郃殿・華雄殿・鮮于輔殿・太史慈殿にお任せします」
 華雄「久々に攻めに参加できるとは腕がなるぜ」
 張郃「この張儁乂にお任せを」
 鮮于輔「俺がこっちってことは、今回も烏桓を動かして欲しいってことか。了解だ」
 太史慈「承知した」
 黄忠「ワシは甘寧が心配なのでな。小沛に向かわせてもらうぞい」
 義賢「えぇ。弓が得意な黄忠殿には、弓兵隊を率いて、甘寧殿を援護してあげてください。趙雲殿も一軍を率いて小沛に向かってください」
 趙雲「はっ了解しました」
 張繍「俺も小沛にて、曹操軍を迎撃させてもらう」
 徐盛「俺も今回は、甘寧殿の小沛で戦いてぇんだ。もう徐州の民にあんな思いをさせたくねぇからな」
 義賢「わかりました。ですが2人とも勝手な真似はせず荀彧殿の指示に従ってください」
 張繍・徐盛「あぁ」
 義賢「寿春の守備は、紀霊殿。広陵の守備は臧覇殿。彭城の守備は、孫観殿に引き続きお願いします」
 3人とも返事をして、退出する。
 劉備「我々は、下邳にて、じっとしていて良いのだろうか?」
 義賢「兄上我々は、この機に反乱分子を一掃するのです。陶謙軍の中で、表向き兄上に従ったふりをしていた者は、これを好機と捉え、反乱を起こすでしょう。この守りの薄くなった下邳にて。ですがこちらには、陳到殿と精鋭の白毦兵が居るのです」
 荀彧「成程、確かに白毦兵の恐ろしさを身をもって体感したものとしては、十分でしょうね」
 義賢「まだいたのですか荀彧殿!ちょうどよかった。悩んでいることが」
 荀彧「袁紹と曹操のことですね。1つ策を思い付きまして、戻ってきたのです」
 荀彧の話を聞く義賢。
 義賢「それは面白い。成功すれば、遠くない未来、袁紹と曹操は仲違いしますね」
 荀彧「えぇ。だからくれぐれも北海は」
 義賢「わかっています雲長に伝えておきましょう」
 荀彧「では、失礼致します」
 第二次徐州の戦いにおける諸将の動きを決定させた。この戦いの肝は、瑯琊と東海への逆侵攻である。
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