152 / 821
3章 群雄割拠
蘆江を巡る戦い(承)
しおりを挟む
【劉丁軍本陣】
孫策軍が引き分けで、1日の終わりを宴で楽しんでいる時、劉丁軍では、次なる作戦が進行していた。
義賢「太史慈殿、先ずは、相手の挑発に乗った一騎討ち、ありがとうございました」
太史慈「あれでよかったのですか?」
王允「えぇ、あれで孫策軍は、こちらに知恵者が居らず連れて来た猛将の中で強い者を小覇王と称される孫策に充てたと考えたはず。その隙に乗じてこちらは。ゴホゴホ。失礼しました。また痰が絡んでしまいましたな」
呂布「しかし、張遼を貸して欲しいと言われるとは」
義賢「張遼殿と甘寧殿による夜襲にて、孫策軍に少し痛手を与えておきたくてね」
呂布「何故、張遼なのだ?」
義賢「何となくではありませんよ。勿論、夜襲とは少数の兵を率いて、仕掛けるのです。当然、バレれば死ぬという不安を兵士たちは抱くでしょう。しかし、張遼殿は、兵たちの人望もさることながら大将として率先して動くことからも兵たちに安心感を与えられると判断したのです」
呂布「成程な」
黄忠「では、何故甘寧なんじゃ?」
義賢「甘寧殿は、元海賊です。元々、少数精鋭を率いて動き回ることを得意としています。奇襲の効果を存分に発揮してくれるかと」
黄忠「成程のぅ。して、我らは休んで良いのか?」
義賢「えぇ、明日の朝、張遼殿と甘寧殿には休んでもらうので、今我々が寝ることが重要です。孫策軍に疲れを蓄積させるのです」
趙雲「了解した」
そう、義賢は、孫策軍へ疲れの蓄積も兼ねて、昼夜問わず奇襲にて、攻め立てることにした。一度奇襲すれば、次の日も来るかもしれないと落ち落ち寝られないはずだ。対して、向こうは、こちらに奇襲を仕掛けられない。奇襲が来るかもしれないと考えながら相手側に奇襲部隊を送ることなどできるだろうか。そう、もう心理戦は、始まっているのだ。夜は平地だから攻撃が無いだろうと油断した孫策軍に戦慄が響き渡る。
【孫策軍本陣】
張遼「手筈はわかっているのだろうな」
甘寧「まぁな。俺が兵糧に火を付け回って、張遼殿が暴れ回るだろ?」
張遼「理解はしているようだな」
甘寧「俺が元海賊だから馬鹿だとでも思ってんのか?」
張遼「違うのか?」
甘寧「こう見えても昔は良いとこの坊ちゃんよ。読み書きは当たり前にできるし、自分で考えて行動してるつもりだ」
張遼「そうか、失礼した」
甘寧「気にすんな。じゃあ、いっちょ孫策軍に恐怖を植え付けてやるとしますか」
張遼「うむ」
宴を終えた孫策軍の面々が眠りに付いている頃、火薬壺が兵糧を積んでいた荷車に投げ入れられる。突然の襲来に驚き起き上がる孫策軍の面々。
孫策「何だ。何が起こってる!?」
孫権「兄上、御無事でしたか。どうやら劉備軍が夜襲を仕掛けて来たようです」
孫策「何だと!?権、相手の兵数は?」
孫権「暗くてよくわかりません」
周瑜「やられた!?昼間の奴らの力攻めは、見せかけだったのか!剛の者しか連れて来ていないと我らに思わせるための!くそっ劉備如きにしてやられるとは!」
呂範「凌操殿が、劉備軍の者を捕捉し、追っていきました」
孫策「何!?どっちに向かった」
呂範「劉備軍の本陣方面に」
周瑜「馬鹿な釣り出しだ!すぐに凌操を呼び戻せ。手遅れになる前に」
張遼の刃が混乱している孫策の弟孫権の眼前に迫る。その刃を受け止めたのは、周泰であった。
張遼「張文遠、推参。孫策軍の者共よ。戦の最中に呑気に宴とはな」
孫権「ヒィーーーーーーーー。うわぁ」
孫権は、あまりの恐怖で尻餅をついた際に漏らしてしまった。
周泰「、、、主には、手を出させぬ」
周瑜「孫権様!それに張遼だと!?呂布軍の猛将がどうして!?まさか、呂布も来ているのか!?」
孫策「そんなことよりも権、無事か?」
孫権「何とか」
孫策「周泰、権のこと感謝する」
周泰「、、、主を守るのが影の務め」
孫権の護衛として数多の戦にでて傷を増やすことになる周泰と孫権による絆の始まりであった。張遼は、闇夜に乗じてまた姿を消した。
孫策「クソっ。どこに行った?」
周瑜「まずいな。兵たちも恐れ慄いている。張遼が来たとそこら中から」
呂範「これでは、今日は誰も眠る事はできないでしょう」
周瑜「ぐぬぬ」
一方、火をつけて回っていた男を追いかけた凌操は、ようやく追いつく。
凌操「もう逃げられんぞ。観念せい盗人め」
甘寧「いやぁ。まさか本当にここまで追ってくるなんてな。オッサン、わかってんのか。ここ俺らの本陣」
凌操の周りを取り囲む甘寧の精鋭部隊の錦帆賊。
凌操「何と!?誘い込まれたのは、ワシの方であったか。こうなっては、やむおえん貴様を倒して、突破させてもらう」
甘寧「やれるもんならやってみなってな」
凌操は、近距離戦闘を好んでいた。対する甘寧が今日持って来た武器は、中距離戦闘だ。近距離を好む凌操が近づく隙を付き、先端に錨の形をした刃が凌操の背中に突き刺さる。
凌操「なんじゃ、その変な武器は?」
甘寧「気にすんなよオッサン。かかって来な」
凌操「舐めおって、小僧が」
甘寧「この辺りだな」
凌操「どこを狙っている?おわりじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
甘寧「そして、引き付けるだっけ?」
凌操「何故、背中に。食い込んでくる。グハッ(孫策様、申し訳ありませぬ。凌統、父の死を超えて強く生きるのだぞ)」
甘寧「良い武器だな。初見殺しってやつだな。外したと思うもんな普通、その後、引き付けた時に背中に刺さるって、完全な奇襲用の武器だな。本陣近くに置いとくのはダメだな。運んでやる」
この夜、甘寧により燃やされた兵糧・そして猛将の凌操の死、張遼により、徐逸・李術・祖郎の3将が討ち取られ、多くの兵を失うこととなる。孫策軍にとって痛い一撃となった。
孫策軍が引き分けで、1日の終わりを宴で楽しんでいる時、劉丁軍では、次なる作戦が進行していた。
義賢「太史慈殿、先ずは、相手の挑発に乗った一騎討ち、ありがとうございました」
太史慈「あれでよかったのですか?」
王允「えぇ、あれで孫策軍は、こちらに知恵者が居らず連れて来た猛将の中で強い者を小覇王と称される孫策に充てたと考えたはず。その隙に乗じてこちらは。ゴホゴホ。失礼しました。また痰が絡んでしまいましたな」
呂布「しかし、張遼を貸して欲しいと言われるとは」
義賢「張遼殿と甘寧殿による夜襲にて、孫策軍に少し痛手を与えておきたくてね」
呂布「何故、張遼なのだ?」
義賢「何となくではありませんよ。勿論、夜襲とは少数の兵を率いて、仕掛けるのです。当然、バレれば死ぬという不安を兵士たちは抱くでしょう。しかし、張遼殿は、兵たちの人望もさることながら大将として率先して動くことからも兵たちに安心感を与えられると判断したのです」
呂布「成程な」
黄忠「では、何故甘寧なんじゃ?」
義賢「甘寧殿は、元海賊です。元々、少数精鋭を率いて動き回ることを得意としています。奇襲の効果を存分に発揮してくれるかと」
黄忠「成程のぅ。して、我らは休んで良いのか?」
義賢「えぇ、明日の朝、張遼殿と甘寧殿には休んでもらうので、今我々が寝ることが重要です。孫策軍に疲れを蓄積させるのです」
趙雲「了解した」
そう、義賢は、孫策軍へ疲れの蓄積も兼ねて、昼夜問わず奇襲にて、攻め立てることにした。一度奇襲すれば、次の日も来るかもしれないと落ち落ち寝られないはずだ。対して、向こうは、こちらに奇襲を仕掛けられない。奇襲が来るかもしれないと考えながら相手側に奇襲部隊を送ることなどできるだろうか。そう、もう心理戦は、始まっているのだ。夜は平地だから攻撃が無いだろうと油断した孫策軍に戦慄が響き渡る。
【孫策軍本陣】
張遼「手筈はわかっているのだろうな」
甘寧「まぁな。俺が兵糧に火を付け回って、張遼殿が暴れ回るだろ?」
張遼「理解はしているようだな」
甘寧「俺が元海賊だから馬鹿だとでも思ってんのか?」
張遼「違うのか?」
甘寧「こう見えても昔は良いとこの坊ちゃんよ。読み書きは当たり前にできるし、自分で考えて行動してるつもりだ」
張遼「そうか、失礼した」
甘寧「気にすんな。じゃあ、いっちょ孫策軍に恐怖を植え付けてやるとしますか」
張遼「うむ」
宴を終えた孫策軍の面々が眠りに付いている頃、火薬壺が兵糧を積んでいた荷車に投げ入れられる。突然の襲来に驚き起き上がる孫策軍の面々。
孫策「何だ。何が起こってる!?」
孫権「兄上、御無事でしたか。どうやら劉備軍が夜襲を仕掛けて来たようです」
孫策「何だと!?権、相手の兵数は?」
孫権「暗くてよくわかりません」
周瑜「やられた!?昼間の奴らの力攻めは、見せかけだったのか!剛の者しか連れて来ていないと我らに思わせるための!くそっ劉備如きにしてやられるとは!」
呂範「凌操殿が、劉備軍の者を捕捉し、追っていきました」
孫策「何!?どっちに向かった」
呂範「劉備軍の本陣方面に」
周瑜「馬鹿な釣り出しだ!すぐに凌操を呼び戻せ。手遅れになる前に」
張遼の刃が混乱している孫策の弟孫権の眼前に迫る。その刃を受け止めたのは、周泰であった。
張遼「張文遠、推参。孫策軍の者共よ。戦の最中に呑気に宴とはな」
孫権「ヒィーーーーーーーー。うわぁ」
孫権は、あまりの恐怖で尻餅をついた際に漏らしてしまった。
周泰「、、、主には、手を出させぬ」
周瑜「孫権様!それに張遼だと!?呂布軍の猛将がどうして!?まさか、呂布も来ているのか!?」
孫策「そんなことよりも権、無事か?」
孫権「何とか」
孫策「周泰、権のこと感謝する」
周泰「、、、主を守るのが影の務め」
孫権の護衛として数多の戦にでて傷を増やすことになる周泰と孫権による絆の始まりであった。張遼は、闇夜に乗じてまた姿を消した。
孫策「クソっ。どこに行った?」
周瑜「まずいな。兵たちも恐れ慄いている。張遼が来たとそこら中から」
呂範「これでは、今日は誰も眠る事はできないでしょう」
周瑜「ぐぬぬ」
一方、火をつけて回っていた男を追いかけた凌操は、ようやく追いつく。
凌操「もう逃げられんぞ。観念せい盗人め」
甘寧「いやぁ。まさか本当にここまで追ってくるなんてな。オッサン、わかってんのか。ここ俺らの本陣」
凌操の周りを取り囲む甘寧の精鋭部隊の錦帆賊。
凌操「何と!?誘い込まれたのは、ワシの方であったか。こうなっては、やむおえん貴様を倒して、突破させてもらう」
甘寧「やれるもんならやってみなってな」
凌操は、近距離戦闘を好んでいた。対する甘寧が今日持って来た武器は、中距離戦闘だ。近距離を好む凌操が近づく隙を付き、先端に錨の形をした刃が凌操の背中に突き刺さる。
凌操「なんじゃ、その変な武器は?」
甘寧「気にすんなよオッサン。かかって来な」
凌操「舐めおって、小僧が」
甘寧「この辺りだな」
凌操「どこを狙っている?おわりじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
甘寧「そして、引き付けるだっけ?」
凌操「何故、背中に。食い込んでくる。グハッ(孫策様、申し訳ありませぬ。凌統、父の死を超えて強く生きるのだぞ)」
甘寧「良い武器だな。初見殺しってやつだな。外したと思うもんな普通、その後、引き付けた時に背中に刺さるって、完全な奇襲用の武器だな。本陣近くに置いとくのはダメだな。運んでやる」
この夜、甘寧により燃やされた兵糧・そして猛将の凌操の死、張遼により、徐逸・李術・祖郎の3将が討ち取られ、多くの兵を失うこととなる。孫策軍にとって痛い一撃となった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる