えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

博望坡を制圧せよ(破)

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 張飛は、博望坡で兵糧を運ぶ少数の精鋭の兵を見繕う。その傍には龔都の他に何曼の姿があった。しかし、他の義兄弟である3人の姿は無かった。それは何故か?200年になる少し前のこと。張角から新たな施設である診療所の病室を大幅に増やすことに成功したと手紙が来た。それに伴い人員不足に困っていると。これを受け、張角と少なからず縁のある3人が立候補したのだ。これはその時の話。
 義賢「うーむ。困った。人員不足か。送る人材か。張角診療所は、我らにとっても大事な拠点だ。怪我しても安心できるところがあるってことだからな。にしても送る人材か。困った困った」
 何義「なんだなんだ。悩み事か?」
 劉辟「そんなに頭を抱えるなど軍師殿らしくもねぇ」
 黄邵「いったい、どうされたのか?」
 義賢「あぁ、そうだった翼徳のことで3人を呼んでたんだったな。夏侯月姫殿からな。翼徳が酒を飲み過ぎて、飲み屋のおじさんを困らせてるらしい。済まないが迎えに行ってやってくれるか」
 何義「またですか?ったく懲りない人だ」
 劉辟「平和が似合わない人ですからねぇ」
 黄邵「それにしても、月姫様を困らせるとは」
 義賢「全くだな。翼徳はいつか酒で身を滅ぼしそうだ」
 何義「あり得そうで怖いんですが」
 劉辟「うんうん」
 黄邵「流石にそれは笑えませんよ」
 3人が張飛を飲み屋から連れ出し、家へと運んだ後、もう一度訪ねてきた。
 何義「失礼するぜ」
 義賢「3人ともどうした?翼徳が何かしたか?」
 劉辟「いや。劉丁様が悩んでたからよ。偶には、酒でもどうかと思ってな」
 義賢「気を遣わせたか。酒か。偶には良い。一杯貰おう」
 黄邵「是非是非」
 義賢は、酒もあり張角からの手紙の内容を打ち明けていた。
 何義「なんだ、そんなことで悩んでんのかよ。俺たちが行ってやる。向こうが落ち着くまでな」
 劉辟「張飛様のことは龔都と何曼に任せておけば大丈夫だ」
 黄邵「それに少なからず張角様のことを知ってる人間の方が良いだろう。周倉や廖化は、関羽殿の側近の地位として確立しつつある。そういうことなら俺らしかいない」
 義賢「しかし、お前たちも翼徳の側近としての地位が確立しつつあっただろう。もう少し、こちらで探してみる。お前たちが犠牲になる必要はない」
 何義「おいおい。犠牲って。勘違いしてんじゃねぇよ。死ぬわけじゃねぇ。それによ。俺たちは劉丁様に感謝してんだ。あの時、助けてくれなかったら俺たちは間違いなく死んでた。討伐対象としてな。快く迎え入れてくれて、本当に感謝してんだ。アンタの役に立てんならこれ以上に嬉しいことはねぇよ」
 劉辟「そういうことだ。何曼は寂しがるな」
 黄邵「しばらく我慢して貰うとしよう」
 何義「だな。ハッハッハ」
 義賢「お前たち、、、すまん」
 こうして3人は、しばらくの間張角診療所の防衛に向かったのだった。そして、時間は今に戻る。
 何曼「何義にぃ。劉辟にぃ。黄邵にぃ。いつも3人が俺の前に居てくれたのに、今はこんなに寂しい気持ちだ。でも、安心してくれ。張飛様のことは俺が護るから。だから3人もあっちで頑張ってくれよ」
 龔都「おーい、何曼。その言い方だとアイツらが死んだみたいになるでやしょうが」
 何曼「すいません。龔都にぃ」
 張飛「おいおい。寂しいのはわかるけどよ。しっかりしてくれよ。今日の俺たちは兵糧を守るって大事な役目があんだからよ」
 何曼「はい」
 張飛「それにしても荀攸も心配性だな。俺が失敗するわけねぇってのによ」
 荀攸「えぇ、そうでしょうな。ですが、これは俺が言い出したこと。何かあった時の責任は俺にありますから」
 張飛「そういうのは嫌いじゃねぇぜ。まぁ一緒に大兄者のために頑張ろうや」
 荀攸「そうですな。殿のために」
 張飛たちが博望坡を目指して進む。
 蒯越「あれは、劉備の義弟の張飛?運んでいるのは兵糧か。しかし、何故他の兵が見当たらん。これでは狙ってくれというようなもの。十中八九罠であろう」
 伝令「報告、劉備軍がここ博望坡を無視して、新野へと向かっております」
 蒯越「なんだと!?まさか。ではあれは、新野へと向かった劉備軍へと届けるための兵糧だというのか。舐められたものだな。そういうことならこちらにもやり方がある。火を放ち兵糧を焼くのだ」
 霍篤「あぁ」
 張飛の運ぶ兵糧が火の海に包まれる。
 張飛「クソっ。大兄者から託された大事な兵糧になんて事しやがるんだ。火を消すぞ」
 龔都「張飛様、これ以上はダメでやす」
 何曼「兵の命まで失ったら劉備様に顔負けできねぇ。張飛様、ここは一度撤退を」
 張飛「馬鹿言うんじゃねぇ。兵糧が無かったら大兄者の新野攻めが」
 荀攸「張飛殿、これは全て俺の落ち度。ここは、一度退き。体勢を整え、殿と合流しましょう」
 張飛「クソっ。全員、退却だ」
 張飛軍の退却に蒯越たちの士気は上がる。
 蒯越「良し、これで新野に向かった劉備に大打撃を与えることに成功した。後は良と」
 霍篤「我が弟がなんとかしてくれよう」
 伝令「蒯越様、お逃げください。この崖上に劉備軍が」
 蒯越「なんだと!?いったいどこから」
 霍篤「ここは逃げ道が無い」
 蒯越「まさか、張飛が囮だったのか!」
 霍篤「馬鹿な。してやったつもりがしてやられたと」
 崖上の奇襲を任されたのは、鬼神と称される男の娘。そして、その補佐をしている張遼だった。
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