237 / 821
4章 三国鼎立
官渡前哨戦 白馬の戦い(前編)
しおりを挟む
行動を起こした曹操だったが袁紹の動きの方が早く、東郡太守を務める劉延の治める白馬に攻め込む袁紹軍の先鋒を務める淳于瓊・郭図・呂威璜の三将軍。袁紹は文醜の子供である文良や顔良の子供である顔醜のことは、顔良・文醜ほど信頼しておらず後方の自身の後継者である袁尚の備えに加わらせていた。そのため、ちょっと頼りない面々に見えるがこの三将軍が白馬攻めを担当することとなる。この動きに対して、曹操は青州方面から鮑信。兗州方面からは于禁と楽進に袁紹軍本隊の牽制を任せ、夏侯惇と曹洪と史奐と韓浩を白馬の援軍に派遣した。
劉延「袁紹軍め。何と素早い進軍だな。皆の者、白馬は曹操様にとって大事な要所である。決して抜かれてはならぬ。至急、防備を整え、籠城するのだ。皆の者、案ずるな。必ず曹操様は援軍を送ってくださる。我々は耐えれば良いのだ」
白馬の民「劉延様のために俺たちもできることをやるだ」
白馬の兵「太守様を討ち取らせてはならぬ。我々が死んでも守るぞ」
劉延は、漢室の血脈である劉家の血を引いているのだが傲慢でも無ければそれを鼻にかけることもなく畑を耕したり、頑張る兵たちの俸禄を増やしてあげたりと民や兵たちにとても愛されていた。それゆえ、皆が皆、白馬を守るというよりも劉延を守るため士気が異常に高かった。
淳于瓊「白馬なぞ。すぐに落としてくれるわ」
呂威璜「久々の戦だから。張り切っちゃいますよね~」
郭図「我が策の通り動けば、白馬はすぐに落ちるでしょう。狙うは劉延の首です」
いやいやいや、劉延の首なんて狙ったら兵も民も死兵と化す。そんなこともわからない。なんと呑気な郭図の策なのだった。
一方、こちらは白馬に袁紹軍の先鋒が攻撃してきたという報告を聞いた曹操軍本隊の様子。
伝令「報告します。袁紹軍先鋒、白馬に迫っております」
曹操「本初の奴め。中々やる。先ず、東郡の白馬を狙ってきたか。青州の鮑信に袁紹軍本隊の牽制をするように伝えるのだ。于禁・楽進、我が隊からはお前たち2人に袁紹軍本隊を牽制してもらう」
于禁「この于文則にお任せを」
楽進「1番槍って事ですね。チャチャっと牽制しちゃいますよ」
曹操「全く頼もしい2人だ。元譲・子廉・史奐・韓浩の4名は、軽装騎兵にて白馬を救援するのだ」
夏侯惇「孟徳、こちらは任せておけ。お前も無理はするなよ」
曹洪「やれやれ、曹軍の矛としての力見せつけてやりますか」
史奐「殿の従者から1将軍として取り立ててもらった恩に報いるためにも必ずや敵を排除する」
韓浩「夏侯惇様に取り立ててもらい。今や一軍を預かる将。必ずや白馬を救援致します」
曹操「白馬はお前たちにかかっている。頼んだぞ」
4人が臣下の礼を取ると各々が準備を整え白馬へと向かっていった。
こちらは青州を任されている鮑信の様子。
伝令「殿から、鮑信様に」
鮑信「何、殿の方で何かあったのか!すぐに拝見する。ふむふむ。相わかった。鮑鞱、至急兵を纏め、冀州を攻める素振りを見せよ」
鮑鞱「兄貴、了解した」
そしてここは、曹操本隊から飛び出した楽進・于禁、青州より冀州を狙う動きを見せる鮑鞱の対応に追われる袁紹の様子。
袁紹「孟徳のやつめ仕掛けてきおったか。それもよりによって楽進と于禁とはな。ここに顔良と文醜が居ないことが悔やまれるわ。劉備の奴め全く余計なことをしてくれたものだ。全軍、進軍を停止し、迎え撃つのだ」
逢紀「お待ちください。この数で進軍したのです。立ち止まらず一思いに飲み込むのが良いかと」
辛評「いえ、ここは袁紹様のおっしゃる通り立ち止まり迎え撃つのが上策です」
審配「、、、(何か言えば俺まで処分の対象となろう。逢紀殿、すまぬ)」
袁紹「逢紀よ。貴様は、この戦いで何度も何度も進言をしおつて、黙ってワシに従えぬのなら投獄だ」
袁尚「父上、お待ちください。確かに逢紀は父上に楯突いてばかりで怒るのも無理はありません。では、私と同じ後方待機にすれば良いかと」
袁紹「おお。可愛い尚や。お前はこんな前線に出て来ずとも良いのだぞ。ワシが守ってやるでな。袁譚・袁煕、とっとと左翼と右翼を纏めぬか馬鹿者」
袁譚「父上、申し訳ありません。すぐに」
袁煕「はぁ。やってるんですが足並みがそろわないんですよ」
袁紹「言い訳など要らん。逢紀よ。命拾いしたな。尚に免じて、許してやろう。お前の軍権は剥奪だ。後方で大人しくしているがいい」
逢紀「了解しました。もう何もいうことはないでしょう」
スタスタと去っていく逢紀の背中に毒付く袁紹。
袁紹「役に立たぬ軍師など必要ない。お前のような一言多い馬鹿など特にな」
辛評「(逢紀殿、これも袁家のため。我慢してくだされ)」
審配「(長年仕えた重臣に対して、この扱い。仕えるべき主を見誤ったか)」
陳琳「袁紹様、このことも書き残しておきますかな?」
袁紹「あぁ。そうだな。逢紀、無駄な策を進言して、袁紹の怒りを買うとでも書いておけ」
陳琳「かしこまりました」
袁紹「圧倒的兵力差を前に猛将が死に行く様をそこで見ているがいい孟徳よ。フハハハハ」
曹操の策にまんまとハマり進軍を止めた袁紹。人を信じぬ袁紹と適材適所で人材を使う曹操との圧倒的人材登用術の差がここに出ていた。
劉延「袁紹軍め。何と素早い進軍だな。皆の者、白馬は曹操様にとって大事な要所である。決して抜かれてはならぬ。至急、防備を整え、籠城するのだ。皆の者、案ずるな。必ず曹操様は援軍を送ってくださる。我々は耐えれば良いのだ」
白馬の民「劉延様のために俺たちもできることをやるだ」
白馬の兵「太守様を討ち取らせてはならぬ。我々が死んでも守るぞ」
劉延は、漢室の血脈である劉家の血を引いているのだが傲慢でも無ければそれを鼻にかけることもなく畑を耕したり、頑張る兵たちの俸禄を増やしてあげたりと民や兵たちにとても愛されていた。それゆえ、皆が皆、白馬を守るというよりも劉延を守るため士気が異常に高かった。
淳于瓊「白馬なぞ。すぐに落としてくれるわ」
呂威璜「久々の戦だから。張り切っちゃいますよね~」
郭図「我が策の通り動けば、白馬はすぐに落ちるでしょう。狙うは劉延の首です」
いやいやいや、劉延の首なんて狙ったら兵も民も死兵と化す。そんなこともわからない。なんと呑気な郭図の策なのだった。
一方、こちらは白馬に袁紹軍の先鋒が攻撃してきたという報告を聞いた曹操軍本隊の様子。
伝令「報告します。袁紹軍先鋒、白馬に迫っております」
曹操「本初の奴め。中々やる。先ず、東郡の白馬を狙ってきたか。青州の鮑信に袁紹軍本隊の牽制をするように伝えるのだ。于禁・楽進、我が隊からはお前たち2人に袁紹軍本隊を牽制してもらう」
于禁「この于文則にお任せを」
楽進「1番槍って事ですね。チャチャっと牽制しちゃいますよ」
曹操「全く頼もしい2人だ。元譲・子廉・史奐・韓浩の4名は、軽装騎兵にて白馬を救援するのだ」
夏侯惇「孟徳、こちらは任せておけ。お前も無理はするなよ」
曹洪「やれやれ、曹軍の矛としての力見せつけてやりますか」
史奐「殿の従者から1将軍として取り立ててもらった恩に報いるためにも必ずや敵を排除する」
韓浩「夏侯惇様に取り立ててもらい。今や一軍を預かる将。必ずや白馬を救援致します」
曹操「白馬はお前たちにかかっている。頼んだぞ」
4人が臣下の礼を取ると各々が準備を整え白馬へと向かっていった。
こちらは青州を任されている鮑信の様子。
伝令「殿から、鮑信様に」
鮑信「何、殿の方で何かあったのか!すぐに拝見する。ふむふむ。相わかった。鮑鞱、至急兵を纏め、冀州を攻める素振りを見せよ」
鮑鞱「兄貴、了解した」
そしてここは、曹操本隊から飛び出した楽進・于禁、青州より冀州を狙う動きを見せる鮑鞱の対応に追われる袁紹の様子。
袁紹「孟徳のやつめ仕掛けてきおったか。それもよりによって楽進と于禁とはな。ここに顔良と文醜が居ないことが悔やまれるわ。劉備の奴め全く余計なことをしてくれたものだ。全軍、進軍を停止し、迎え撃つのだ」
逢紀「お待ちください。この数で進軍したのです。立ち止まらず一思いに飲み込むのが良いかと」
辛評「いえ、ここは袁紹様のおっしゃる通り立ち止まり迎え撃つのが上策です」
審配「、、、(何か言えば俺まで処分の対象となろう。逢紀殿、すまぬ)」
袁紹「逢紀よ。貴様は、この戦いで何度も何度も進言をしおつて、黙ってワシに従えぬのなら投獄だ」
袁尚「父上、お待ちください。確かに逢紀は父上に楯突いてばかりで怒るのも無理はありません。では、私と同じ後方待機にすれば良いかと」
袁紹「おお。可愛い尚や。お前はこんな前線に出て来ずとも良いのだぞ。ワシが守ってやるでな。袁譚・袁煕、とっとと左翼と右翼を纏めぬか馬鹿者」
袁譚「父上、申し訳ありません。すぐに」
袁煕「はぁ。やってるんですが足並みがそろわないんですよ」
袁紹「言い訳など要らん。逢紀よ。命拾いしたな。尚に免じて、許してやろう。お前の軍権は剥奪だ。後方で大人しくしているがいい」
逢紀「了解しました。もう何もいうことはないでしょう」
スタスタと去っていく逢紀の背中に毒付く袁紹。
袁紹「役に立たぬ軍師など必要ない。お前のような一言多い馬鹿など特にな」
辛評「(逢紀殿、これも袁家のため。我慢してくだされ)」
審配「(長年仕えた重臣に対して、この扱い。仕えるべき主を見誤ったか)」
陳琳「袁紹様、このことも書き残しておきますかな?」
袁紹「あぁ。そうだな。逢紀、無駄な策を進言して、袁紹の怒りを買うとでも書いておけ」
陳琳「かしこまりました」
袁紹「圧倒的兵力差を前に猛将が死に行く様をそこで見ているがいい孟徳よ。フハハハハ」
曹操の策にまんまとハマり進軍を止めた袁紹。人を信じぬ袁紹と適材適所で人材を使う曹操との圧倒的人材登用術の差がここに出ていた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる