えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

官渡前哨戦 白馬の戦い(前編)

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 行動を起こした曹操だったが袁紹の動きの方が早く、東郡太守を務める劉延リュウエンの治める白馬に攻め込む袁紹軍の先鋒を務める淳于瓊・郭図・呂威璜の三将軍。袁紹は文醜の子供である文良や顔良の子供である顔醜のことは、顔良・文醜ほど信頼しておらず後方の自身の後継者である袁尚の備えに加わらせていた。そのため、ちょっと頼りない面々に見えるがこの三将軍が白馬攻めを担当することとなる。この動きに対して、曹操は青州方面から鮑信。兗州方面からは于禁と楽進に袁紹軍本隊の牽制を任せ、夏侯惇と曹洪と史奐と韓浩を白馬の援軍に派遣した。
 劉延「袁紹軍め。何と素早い進軍だな。皆の者、白馬は曹操様にとって大事な要所である。決して抜かれてはならぬ。至急、防備を整え、籠城するのだ。皆の者、案ずるな。必ず曹操様は援軍を送ってくださる。我々は耐えれば良いのだ」
 白馬の民「劉延様のために俺たちもできることをやるだ」
 白馬の兵「太守様を討ち取らせてはならぬ。我々が死んでも守るぞ」
 劉延は、漢室の血脈である劉家の血を引いているのだが傲慢でも無ければそれを鼻にかけることもなく畑を耕したり、頑張る兵たちの俸禄を増やしてあげたりと民や兵たちにとても愛されていた。それゆえ、皆が皆、白馬を守るというよりも劉延を守るため士気が異常に高かった。
 淳于瓊「白馬なぞ。すぐに落としてくれるわ」
 呂威璜「久々の戦だから。張り切っちゃいますよね~」
 郭図「我が策の通り動けば、白馬はすぐに落ちるでしょう。狙うは劉延の首です」
 いやいやいや、劉延の首なんて狙ったら兵も民も死兵と化す。そんなこともわからない。なんと呑気な郭図の策なのだった。
 一方、こちらは白馬に袁紹軍の先鋒が攻撃してきたという報告を聞いた曹操軍本隊の様子。
 伝令「報告します。袁紹軍先鋒、白馬に迫っております」
 曹操「本初の奴め。中々やる。先ず、東郡の白馬を狙ってきたか。青州の鮑信に袁紹軍本隊の牽制をするように伝えるのだ。于禁・楽進、我が隊からはお前たち2人に袁紹軍本隊を牽制してもらう」
 于禁「この于文則にお任せを」
 楽進「1番槍って事ですね。チャチャっと牽制しちゃいますよ」
 曹操「全く頼もしい2人だ。元譲・子廉・史奐・韓浩の4名は、軽装騎兵にて白馬を救援するのだ」
 夏侯惇「孟徳、こちらは任せておけ。お前も無理はするなよ」
 曹洪「やれやれ、曹軍の矛としての力見せつけてやりますか」
 史奐「殿の従者から1将軍として取り立ててもらった恩に報いるためにも必ずや敵を排除する」
 韓浩「夏侯惇様に取り立ててもらい。今や一軍を預かる将。必ずや白馬を救援致します」
 曹操「白馬はお前たちにかかっている。頼んだぞ」
 4人が臣下の礼を取ると各々が準備を整え白馬へと向かっていった。
 こちらは青州を任されている鮑信の様子。
 伝令「殿から、鮑信様に」
 鮑信「何、殿の方で何かあったのか!すぐに拝見する。ふむふむ。相わかった。鮑鞱、至急兵を纏め、冀州を攻める素振りを見せよ」
 鮑鞱「兄貴、了解した」
 そしてここは、曹操本隊から飛び出した楽進・于禁、青州より冀州を狙う動きを見せる鮑鞱の対応に追われる袁紹の様子。
 袁紹「孟徳のやつめ仕掛けてきおったか。それもよりによって楽進と于禁とはな。ここに顔良と文醜が居ないことが悔やまれるわ。劉備の奴め全く余計なことをしてくれたものだ。全軍、進軍を停止し、迎え撃つのだ」
 逢紀「お待ちください。この数で進軍したのです。立ち止まらず一思いに飲み込むのが良いかと」
 辛評「いえ、ここは袁紹様のおっしゃる通り立ち止まり迎え撃つのが上策です」
 審配「、、、(何か言えば俺まで処分の対象となろう。逢紀殿、すまぬ)」
 袁紹「逢紀よ。貴様は、この戦いで何度も何度も進言をしおつて、黙ってワシに従えぬのなら投獄だ」
 袁尚「父上、お待ちください。確かに逢紀は父上に楯突いてばかりで怒るのも無理はありません。では、私と同じ後方待機にすれば良いかと」
 袁紹「おお。可愛い尚や。お前はこんな前線に出て来ずとも良いのだぞ。ワシが守ってやるでな。袁譚・袁煕、とっとと左翼と右翼を纏めぬか馬鹿者」
 袁譚「父上、申し訳ありません。すぐに」
 袁煕「はぁ。やってるんですが足並みがそろわないんですよ」
 袁紹「言い訳など要らん。逢紀よ。命拾いしたな。尚に免じて、許してやろう。お前の軍権は剥奪だ。後方で大人しくしているがいい」
 逢紀「了解しました。もう何もいうことはないでしょう」
 スタスタと去っていく逢紀の背中に毒付く袁紹。
 袁紹「役に立たぬ軍師など必要ない。お前のような一言多い馬鹿など特にな」
 辛評「(逢紀殿、これも袁家のため。我慢してくだされ)」
 審配「(長年仕えた重臣に対して、この扱い。仕えるべき主を見誤ったか)」
 陳琳「袁紹様、このことも書き残しておきますかな?」
 袁紹「あぁ。そうだな。逢紀、無駄な策を進言して、袁紹の怒りを買うとでも書いておけ」
 陳琳「かしこまりました」
 袁紹「圧倒的兵力差を前に猛将が死に行く様をそこで見ているがいい孟徳よ。フハハハハ」
 曹操の策にまんまとハマり進軍を止めた袁紹。人を信じぬ袁紹と適材適所で人材を使う曹操との圧倒的人材登用術の差がここに出ていた。
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