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4章 三国鼎立
官渡前哨戦 烏巣の戦い(破)
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偶々、この烏巣に三国志の正史の世界で天才軍師を苦しめた防戦の天才がいた。この時、16歳。その男の名を。
???「淳于瓊殿だっけ?」
淳于瓊「ん?どうして、ここに子供が?」
???「こっ子供!?たっ確かに小さいし童顔だけど。これでも16歳なんだぞ。ゴホン。確かに最大の兵糧拠点であるここが燃やされたら終わりだね。でもさ、ありったけの水集めたからって守れるわけじゃないよ。確かに火は消せるかもね。でもさ、相手は夜襲を仕掛けてくるんだよ。火を消してる間に近付かれたら斬られて終わりだよ。そもそも、間違ってるんだ。入られる前提なのがね。幸い、ここは要塞砦だ。ならどうするか。簡単だよ。相手を中に入れない。藁に水を染み込ませるってのは良いね。火矢を防げる。ちょいと工夫をしたらもっと完璧な要塞にできると思うけど。騙されたと思って僕の案に乗ってみるってのはどうかな?」
淳于瓊「成人していたのか。これは失礼した。しかし、何処の馬の骨かもわからぬ者の言葉を間に受けることなど」
???「そうだね。信頼関係を築くには先ず名前からだったね。僕の名前は、性は郝、名は昭、字を伯道って言うんだ。生まれは并州の太原郡だよ」
淳于瓊「并州太原郡の郝昭!?まさか、殿がその若さで類稀な防戦技術と統率能力を買い、配下に加えたいと召集したが断られたあの郝昭!」
郝昭「ハハハ。そういうこともあったね。死んだ人のことを悪くいうつもりはないけれど、袁紹さんに華北は重かったんじゃないかな。特に烏桓や鮮卑と仲良くしてたのに、この異民族と深く繋がっている公孫度さんを責めるなんて愚の骨頂だよ。仕えるに値しないかな。だから僕は袁紹軍に仕えるんじゃなくて、君に仕えるんだ淳于瓊殿」
淳于瓊「何故、俺に?袁紹様よりも遥かに劣る俺に?」
郝昭「ハハッ。人は中身だよ。淳于瓊殿は、袁紹さんが討たれたって聞いても動揺を見せず。孤立してしまったこの烏巣の皆んなを励ましていた。それに袁紹さんを殺して勢いに乗る曹操軍相手にも一歩も引かない胆力もある。そんな君もここで死なせるのは惜しいと思ってね」
淳于瓊「なんか死ぬ前提なのは気に食わないのだが。まぁ良いだろう。この烏巣を救えるというのなら。お前の案に乗ってやろうではないか」
郝昭「じゃあ、先ずは、ありとあらゆる藁に水を染み込ませること。次に藁束の中の地面を掘って、そこに兵糧を埋めること。藁束が良い標的になってくれるからね。この烏巣の拠点の周りを掘ってそこに水を流すこと。4箇所に橋をかけて出入りを制限すること。城壁の上に土嚢を高く積むこと」
淳于瓊「すっすぐに取り掛かろう」
郝昭は、烏巣という要塞砦をより強力に改造しようとしていた。先ず堀の建設だ。これは、敵の侵入を防ぐと共に攻め口を制限する。次に藁束の中にあると思っている兵糧を相手に燃やしたと思わせるために地面に穴を掘りそこに埋める。目印のようにそこに土を盛って置くことで後で安全に兵糧を回収するためだ。城壁の上に土嚢を積んだのは、弓兵のいないこちらを相手が一方的に攻撃できる状態を防ぐため城壁の高さを傘増しするためだ。全て単純作業ゆえ人数がいればできないことはない。こうして、曹操に寡兵で攻めたことを後悔させる烏巣砦ができた。
一方同じ時、曹操より烏巣の急襲を任された曹純・曹休の率いる曹操軍精鋭騎馬隊の虎豹騎隊は、烏巣より数里のところで野営を建設していた。
曹純「殿が、許攸とやらから聞いた情報によると烏巣は要塞砦などと名ばかりの平城らしい」
曹休「それで、足の速い虎豹騎隊だけでの制圧を命じたのですね叔父上は」
曹純「しかし、失敗するわけにはいかない。気を引き締めて、兵糧を焼くことに集中せねばな」
曹休「心得ました」
そして、意気揚々と夜を待ち夜襲を仕掛ける面々を驚かせるものがそこにあった。
曹純「なんだ!?この要塞は!」
曹休「周りを堀で囲み、城壁の上には土嚢を高く積み、これでは松明を投げ入れることすら困難」
曹純「殿が許攸から情報を聞いて、そんなに時間は経っていないぞ。こんなものを一瞬で建設したというのか!袁紹が亡くなったという情報にも動揺せずに?この烏巣を一大砦に変貌させたというのか!これでは、火を投げ入れることすら困難と言わざるおえん」
曹休「曹純殿、城攻めに切り替えますか?」
曹純「うむ。やむおえん。攻城兵器はないが門の一つでも破れれば、兵糧を焼くことだけはできよう」
曹休「それが良いでしょう」
曹純「いや待て、兵糧を焼くだけならまだ方法はある!」
曹休「どういうことですか曹純殿?」
曹純「何、日が登ってから商人を装い中に入る」
曹休「成程、孤立しているからこそ不足している物資もあると。そこに付け入るわけですね」
曹純「うむ。華北の制圧に時をかけるわけにはいかない。恐らくこれが華北を巡る最後の戦いとなろう。この兵糧さえ焼け切れば、殿の勝ちは決定的よ」
曹休「では、不足していそうなものを見繕っておきます」
曹純「うむ。此度はこれにて一時野営地に撤退するぞ」
それを障壁の土嚢の隙間から見ている淳于瓊と郝昭。
淳于瓊「何故、敵は仕掛けてこない?」
郝昭「ハハッ。付いてましたね。敵はどうやらここをまだ平城だと思っていたようです」
淳于瓊「ん?」
郝昭「攻城兵器の類を持ってきてなかったんですよ。それどころか弓すらね。そもそも夜襲の混乱で焼くつもりだったんだよ。取り敢えず初戦は制したかな」
淳于瓊「初戦?」
郝昭「次は、こっちの物資不足の穴を突いて、商人でも送り込んでくるんじゃないかな」
淳于瓊「先程、お前が言っていた通りではないか」
郝昭「じゃあ、次はわかってるよね」
淳于瓊「うむ、手筈通りに」
烏巣を巡る攻防の行方はいかに。
???「淳于瓊殿だっけ?」
淳于瓊「ん?どうして、ここに子供が?」
???「こっ子供!?たっ確かに小さいし童顔だけど。これでも16歳なんだぞ。ゴホン。確かに最大の兵糧拠点であるここが燃やされたら終わりだね。でもさ、ありったけの水集めたからって守れるわけじゃないよ。確かに火は消せるかもね。でもさ、相手は夜襲を仕掛けてくるんだよ。火を消してる間に近付かれたら斬られて終わりだよ。そもそも、間違ってるんだ。入られる前提なのがね。幸い、ここは要塞砦だ。ならどうするか。簡単だよ。相手を中に入れない。藁に水を染み込ませるってのは良いね。火矢を防げる。ちょいと工夫をしたらもっと完璧な要塞にできると思うけど。騙されたと思って僕の案に乗ってみるってのはどうかな?」
淳于瓊「成人していたのか。これは失礼した。しかし、何処の馬の骨かもわからぬ者の言葉を間に受けることなど」
???「そうだね。信頼関係を築くには先ず名前からだったね。僕の名前は、性は郝、名は昭、字を伯道って言うんだ。生まれは并州の太原郡だよ」
淳于瓊「并州太原郡の郝昭!?まさか、殿がその若さで類稀な防戦技術と統率能力を買い、配下に加えたいと召集したが断られたあの郝昭!」
郝昭「ハハハ。そういうこともあったね。死んだ人のことを悪くいうつもりはないけれど、袁紹さんに華北は重かったんじゃないかな。特に烏桓や鮮卑と仲良くしてたのに、この異民族と深く繋がっている公孫度さんを責めるなんて愚の骨頂だよ。仕えるに値しないかな。だから僕は袁紹軍に仕えるんじゃなくて、君に仕えるんだ淳于瓊殿」
淳于瓊「何故、俺に?袁紹様よりも遥かに劣る俺に?」
郝昭「ハハッ。人は中身だよ。淳于瓊殿は、袁紹さんが討たれたって聞いても動揺を見せず。孤立してしまったこの烏巣の皆んなを励ましていた。それに袁紹さんを殺して勢いに乗る曹操軍相手にも一歩も引かない胆力もある。そんな君もここで死なせるのは惜しいと思ってね」
淳于瓊「なんか死ぬ前提なのは気に食わないのだが。まぁ良いだろう。この烏巣を救えるというのなら。お前の案に乗ってやろうではないか」
郝昭「じゃあ、先ずは、ありとあらゆる藁に水を染み込ませること。次に藁束の中の地面を掘って、そこに兵糧を埋めること。藁束が良い標的になってくれるからね。この烏巣の拠点の周りを掘ってそこに水を流すこと。4箇所に橋をかけて出入りを制限すること。城壁の上に土嚢を高く積むこと」
淳于瓊「すっすぐに取り掛かろう」
郝昭は、烏巣という要塞砦をより強力に改造しようとしていた。先ず堀の建設だ。これは、敵の侵入を防ぐと共に攻め口を制限する。次に藁束の中にあると思っている兵糧を相手に燃やしたと思わせるために地面に穴を掘りそこに埋める。目印のようにそこに土を盛って置くことで後で安全に兵糧を回収するためだ。城壁の上に土嚢を積んだのは、弓兵のいないこちらを相手が一方的に攻撃できる状態を防ぐため城壁の高さを傘増しするためだ。全て単純作業ゆえ人数がいればできないことはない。こうして、曹操に寡兵で攻めたことを後悔させる烏巣砦ができた。
一方同じ時、曹操より烏巣の急襲を任された曹純・曹休の率いる曹操軍精鋭騎馬隊の虎豹騎隊は、烏巣より数里のところで野営を建設していた。
曹純「殿が、許攸とやらから聞いた情報によると烏巣は要塞砦などと名ばかりの平城らしい」
曹休「それで、足の速い虎豹騎隊だけでの制圧を命じたのですね叔父上は」
曹純「しかし、失敗するわけにはいかない。気を引き締めて、兵糧を焼くことに集中せねばな」
曹休「心得ました」
そして、意気揚々と夜を待ち夜襲を仕掛ける面々を驚かせるものがそこにあった。
曹純「なんだ!?この要塞は!」
曹休「周りを堀で囲み、城壁の上には土嚢を高く積み、これでは松明を投げ入れることすら困難」
曹純「殿が許攸から情報を聞いて、そんなに時間は経っていないぞ。こんなものを一瞬で建設したというのか!袁紹が亡くなったという情報にも動揺せずに?この烏巣を一大砦に変貌させたというのか!これでは、火を投げ入れることすら困難と言わざるおえん」
曹休「曹純殿、城攻めに切り替えますか?」
曹純「うむ。やむおえん。攻城兵器はないが門の一つでも破れれば、兵糧を焼くことだけはできよう」
曹休「それが良いでしょう」
曹純「いや待て、兵糧を焼くだけならまだ方法はある!」
曹休「どういうことですか曹純殿?」
曹純「何、日が登ってから商人を装い中に入る」
曹休「成程、孤立しているからこそ不足している物資もあると。そこに付け入るわけですね」
曹純「うむ。華北の制圧に時をかけるわけにはいかない。恐らくこれが華北を巡る最後の戦いとなろう。この兵糧さえ焼け切れば、殿の勝ちは決定的よ」
曹休「では、不足していそうなものを見繕っておきます」
曹純「うむ。此度はこれにて一時野営地に撤退するぞ」
それを障壁の土嚢の隙間から見ている淳于瓊と郝昭。
淳于瓊「何故、敵は仕掛けてこない?」
郝昭「ハハッ。付いてましたね。敵はどうやらここをまだ平城だと思っていたようです」
淳于瓊「ん?」
郝昭「攻城兵器の類を持ってきてなかったんですよ。それどころか弓すらね。そもそも夜襲の混乱で焼くつもりだったんだよ。取り敢えず初戦は制したかな」
淳于瓊「初戦?」
郝昭「次は、こっちの物資不足の穴を突いて、商人でも送り込んでくるんじゃないかな」
淳于瓊「先程、お前が言っていた通りではないか」
郝昭「じゃあ、次はわかってるよね」
淳于瓊「うむ、手筈通りに」
烏巣を巡る攻防の行方はいかに。
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