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4章 三国鼎立
馬超への出陣要請
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簡雍から交州での反乱の詳細が語られるのを聞く義賢。
簡雍「と、まぁ、こんなところさ」
義賢「そこまで内部情報がわかっているのか」
簡雍「荀彧の賜物さ。各国に斥候を放って、正確な情報の確保に注視しているよ」
義賢「流石、王佐の才と呼ばれた男だな。全く頭が下がるよ。それにしても、孫堅殿が孫策ではなく兄上を頼るとは、何か魂胆があると見る方が良いだろうな。漢王室をお救いするという志は同じだが、孫堅殿には何かもう一つ別の狙いがあると見ている。そうでもなければ8歳の娘に武装した侍女と兵を与えて、兄上に嫁がせないだろう」
簡雍「そこは諸葛亮の奴も警戒していたね。だが、義賢さんや。孫尚香の歳は10歳さ。もう嫁いで4年経ってるからねぇ」
義賢「そうだったか、、、時が経つのは早いものだ」
簡雍「次はお前さんも気になってたんじゃないかい?馬超の話をしてやるとしようかね」
義賢「馬超殿に何かあったのか?」
簡雍「少し前に献帝の命で馬騰が許昌に送られたのさ。恐らく人質だろうねぇ」
義賢「馬鹿な!?(馬騰が許昌に送られるのはもっと後のはず)一体何が!?」
簡雍「義賢、落ち着かないと話せないねぇ」
義賢「すまない」
簡雍「曹操の幕臣である鍾繇が涼州にて、馬超の動きを封じてるみたいでねぇ。その一貫した涼州姿勢として、馬騰に官職を与えるという名目で許昌に招聘したのさ」
義賢「それは、馬騰殿の御子息である馬休殿や馬鉄殿も一緒か?」
簡雍「いや、供をしたのは2人だけと報告を受けたねぇ。確か、姜冏と傅幹だったかな」
義賢「姜冏?傅幹?確か、馬騰の軍師を務めている2人だったな」
簡雍「あぁ。3人とも涼州に帰ることは許されず許昌にある仮住まいに押し込められたそうだ。丁重に扱っていると言っているがね」
義賢「全く、酷いことをする。それで、あの馬超殿が黙っているわけがないだろう?長安を攻撃したのか?」
簡雍「流石に馬超もそこまで馬鹿では無かったようだねぇ。怒りを抑えて、華北戦線に援軍を送ったそうだよ」
義賢「馬超殿が?(あの短期で有名な馬超殿が父である馬騰の幽閉に報復をせず曹操に援軍を送ったというのか?何が起こっている?一体どこから全く知らない三国志の世界へと突入した。この先、俺の知っている歴史が役に立つことなどあるのだろうか?)」
簡雍「それも自らさ。涼州のことは妻である王異・楊笙鈴に任せたそうだよ」
義賢「馬超殿自ら?何を考えているんだ?」
簡雍「その辺りの詳しいことを話してやろうかね」
【1年前 涼州 天水 馬超の本拠地】
馬超「では行って来る。王異・笙鈴、涼州のことは任せるぞ」
王異「馬超様、くれぐれもお気をつけくださいませ。曹操のこと、馬超様を背後から。きゃっ」
馬超が王異を抱き寄せる。
馬超「そう心配ばかりするな。俺はお前を置いて先に死なん」
王異「笙鈴も見ていますから。もう離して」
馬超「恥じらいでいる姿も可愛いなぁ王異」
王異「ポッ。じゃなくて、馬超様、くれぐれも油断はなさいませんように」
楊笙鈴「馬超様、王異様と共に帰りをお待ちしております」
馬超「あぁ。頼んだぞ。休・鉄・柳・雲緑・馬岱・龐徳、世話をかける」
馬休「何をいうんだ兄上。俺たちは父上から兄上を支えるようにとキツく言われてんだ」
馬鉄「そうだよ馬超兄さん、ううん大兄上」
馬雲緑「また、馬超兄様と一緒に戦えるなんて、楽しみ」
馬柳「に、に、兄さん、ぼ、ぼ、僕も、が、が、頑張るよ」
馬岱「馬柳殿、そんなに緊張してると先が思いやられるよ。ほら、笑って笑って。それに若を守るのは、俺の役目だからね」
龐徳「友として、孟起を助けよう」
馬超「頼もしい限りだ。目指すは、華北の要所、倉亭だ。全軍出陣」
馬超が出陣して数日後、馬超不在のこの好機を虎視眈々と狙っているものがいた。梁双という氐族の者で、王異に惚れていた。同じく王異に惚れている馬超配下の趙昂にこの機に王異を奪う計画を持ちかけていた。
梁双「お前が氐族の交渉担当となってからいろいろ便宜を図ってもらって感謝している。だが、聞くところによると今馬超は居ないそうだな」
趙昂「えぇ、それが何か?」
梁双「王異を奪う好機が巡ってきたと思ってな。あれは良い女だ。馬超には勿体ない。そもそもアイツは、俺たち氐族を見下してやがる。羌族ばかり贔屓にしおって」
趙昂「そのようなことは」
梁双「なんだ、お前も王異に惚れているのではないのか?」
趙昂「そ、そ、そんなことは」
梁双「隠さずともバレバレよ。どうだ、お前が内部から手引きしてくれるのなら氐族が外側から食い潰してやる。王異は俺とお前で折半でどうだ?」
趙昂「わかりました」
梁双「そうかそうかガハハハ」
梁双は上機嫌で帰っていく。
趙昂「お聞きしてもらった通りです。王異様」
王異「やっぱり氐族は反乱を企てていたのね。馬超様のいない隙に、すぐに防衛の準備を整えないと。でも、趙昂、貴方なら話に乗ってしまうんじゃないかと思ったわ」
趙昂「確かに私は王異様に恋焦がれております。ですが、天水を逆賊韓遂から救ってくれたのは馬超様です。大恩ある馬超様を裏切ることなど出来ましょうか」
王異「そういうところが好きだった。でも、ごめん。貴方の気持ちを受け取ることはもうできないの」
趙昂「わかっております。この気持ちは心の奥底に封じ込めておきます」
王異「ごめんなさい趙昂」
天水にいた頃、趙昂と王異は幼馴染だった。趙昂の告白が早かったら。馬超があの戦いで王異を庇っていなければ、ひょっとしたら趙昂の妻となっていた世界線があったのかもしれない。だが、この世界線で王異が支え、守りたい男は馬超なのである。王異は、反乱の鎮圧のため。天水にて兵を取りまとめ、氐族に備えるのだった。
簡雍「と、まぁ、こんなところさ」
義賢「そこまで内部情報がわかっているのか」
簡雍「荀彧の賜物さ。各国に斥候を放って、正確な情報の確保に注視しているよ」
義賢「流石、王佐の才と呼ばれた男だな。全く頭が下がるよ。それにしても、孫堅殿が孫策ではなく兄上を頼るとは、何か魂胆があると見る方が良いだろうな。漢王室をお救いするという志は同じだが、孫堅殿には何かもう一つ別の狙いがあると見ている。そうでもなければ8歳の娘に武装した侍女と兵を与えて、兄上に嫁がせないだろう」
簡雍「そこは諸葛亮の奴も警戒していたね。だが、義賢さんや。孫尚香の歳は10歳さ。もう嫁いで4年経ってるからねぇ」
義賢「そうだったか、、、時が経つのは早いものだ」
簡雍「次はお前さんも気になってたんじゃないかい?馬超の話をしてやるとしようかね」
義賢「馬超殿に何かあったのか?」
簡雍「少し前に献帝の命で馬騰が許昌に送られたのさ。恐らく人質だろうねぇ」
義賢「馬鹿な!?(馬騰が許昌に送られるのはもっと後のはず)一体何が!?」
簡雍「義賢、落ち着かないと話せないねぇ」
義賢「すまない」
簡雍「曹操の幕臣である鍾繇が涼州にて、馬超の動きを封じてるみたいでねぇ。その一貫した涼州姿勢として、馬騰に官職を与えるという名目で許昌に招聘したのさ」
義賢「それは、馬騰殿の御子息である馬休殿や馬鉄殿も一緒か?」
簡雍「いや、供をしたのは2人だけと報告を受けたねぇ。確か、姜冏と傅幹だったかな」
義賢「姜冏?傅幹?確か、馬騰の軍師を務めている2人だったな」
簡雍「あぁ。3人とも涼州に帰ることは許されず許昌にある仮住まいに押し込められたそうだ。丁重に扱っていると言っているがね」
義賢「全く、酷いことをする。それで、あの馬超殿が黙っているわけがないだろう?長安を攻撃したのか?」
簡雍「流石に馬超もそこまで馬鹿では無かったようだねぇ。怒りを抑えて、華北戦線に援軍を送ったそうだよ」
義賢「馬超殿が?(あの短期で有名な馬超殿が父である馬騰の幽閉に報復をせず曹操に援軍を送ったというのか?何が起こっている?一体どこから全く知らない三国志の世界へと突入した。この先、俺の知っている歴史が役に立つことなどあるのだろうか?)」
簡雍「それも自らさ。涼州のことは妻である王異・楊笙鈴に任せたそうだよ」
義賢「馬超殿自ら?何を考えているんだ?」
簡雍「その辺りの詳しいことを話してやろうかね」
【1年前 涼州 天水 馬超の本拠地】
馬超「では行って来る。王異・笙鈴、涼州のことは任せるぞ」
王異「馬超様、くれぐれもお気をつけくださいませ。曹操のこと、馬超様を背後から。きゃっ」
馬超が王異を抱き寄せる。
馬超「そう心配ばかりするな。俺はお前を置いて先に死なん」
王異「笙鈴も見ていますから。もう離して」
馬超「恥じらいでいる姿も可愛いなぁ王異」
王異「ポッ。じゃなくて、馬超様、くれぐれも油断はなさいませんように」
楊笙鈴「馬超様、王異様と共に帰りをお待ちしております」
馬超「あぁ。頼んだぞ。休・鉄・柳・雲緑・馬岱・龐徳、世話をかける」
馬休「何をいうんだ兄上。俺たちは父上から兄上を支えるようにとキツく言われてんだ」
馬鉄「そうだよ馬超兄さん、ううん大兄上」
馬雲緑「また、馬超兄様と一緒に戦えるなんて、楽しみ」
馬柳「に、に、兄さん、ぼ、ぼ、僕も、が、が、頑張るよ」
馬岱「馬柳殿、そんなに緊張してると先が思いやられるよ。ほら、笑って笑って。それに若を守るのは、俺の役目だからね」
龐徳「友として、孟起を助けよう」
馬超「頼もしい限りだ。目指すは、華北の要所、倉亭だ。全軍出陣」
馬超が出陣して数日後、馬超不在のこの好機を虎視眈々と狙っているものがいた。梁双という氐族の者で、王異に惚れていた。同じく王異に惚れている馬超配下の趙昂にこの機に王異を奪う計画を持ちかけていた。
梁双「お前が氐族の交渉担当となってからいろいろ便宜を図ってもらって感謝している。だが、聞くところによると今馬超は居ないそうだな」
趙昂「えぇ、それが何か?」
梁双「王異を奪う好機が巡ってきたと思ってな。あれは良い女だ。馬超には勿体ない。そもそもアイツは、俺たち氐族を見下してやがる。羌族ばかり贔屓にしおって」
趙昂「そのようなことは」
梁双「なんだ、お前も王異に惚れているのではないのか?」
趙昂「そ、そ、そんなことは」
梁双「隠さずともバレバレよ。どうだ、お前が内部から手引きしてくれるのなら氐族が外側から食い潰してやる。王異は俺とお前で折半でどうだ?」
趙昂「わかりました」
梁双「そうかそうかガハハハ」
梁双は上機嫌で帰っていく。
趙昂「お聞きしてもらった通りです。王異様」
王異「やっぱり氐族は反乱を企てていたのね。馬超様のいない隙に、すぐに防衛の準備を整えないと。でも、趙昂、貴方なら話に乗ってしまうんじゃないかと思ったわ」
趙昂「確かに私は王異様に恋焦がれております。ですが、天水を逆賊韓遂から救ってくれたのは馬超様です。大恩ある馬超様を裏切ることなど出来ましょうか」
王異「そういうところが好きだった。でも、ごめん。貴方の気持ちを受け取ることはもうできないの」
趙昂「わかっております。この気持ちは心の奥底に封じ込めておきます」
王異「ごめんなさい趙昂」
天水にいた頃、趙昂と王異は幼馴染だった。趙昂の告白が早かったら。馬超があの戦いで王異を庇っていなければ、ひょっとしたら趙昂の妻となっていた世界線があったのかもしれない。だが、この世界線で王異が支え、守りたい男は馬超なのである。王異は、反乱の鎮圧のため。天水にて兵を取りまとめ、氐族に備えるのだった。
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