えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

懐かしい人たちとの再会

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 一夜明け、魏延殿たちが帰った後、誰かが扉を叩く音がする。
 ???「ごめんください。劉丁様は居られますか?」
 董白「どうぞ、空いていますよ」
 ???「失礼します。お久しぶりです劉丁様。徐州牧であった父陶謙が長子陶商です」
 義賢「陶商殿!?これは懐かしい。もう何年になるでしょうか?」
 陶商「劉備様が徐州牧に就任されてからになりますからもう6年は経つでしょうか」
 義賢「お変わりないようで安心しました。徐州にて商人として呂布殿を支えてくださっていると聞いています」
 陶商「はい。此度、取引先である益州巴郡を治めていらっしゃいます趙筰様のところから戻ってきたのですが。ちょっと見てもらいたいものが」
 義賢「わかりました」
 陶商「こちらです」
 陶商の案内で、荷馬車の方に向かうと。目の前で男が子供達と戯れていた。
 ???「兄貴、コイツら可愛くてよ」
 子供A「陶応のおじちゃん、次はあれやって」
 陶応「いやいやあれはやばいんじゃねぇか」
 子供A「あれやりたい。風車」
 陶応「わかったからやめろって。もう可愛い奴らだ」
 陶応が子供を抱えて、ぐるぐると回る。
 子供A「キャッキャ。たのし~い」
 陶応「うっ目が回ってきたぜ」
 義賢「(コイツが陶応?俺、コイツに殺される未来もあったんだよなぁ。懐かしい。でも変われば変わるもんだ。子供好きだったなんてな。でもなんだこの子供達、数にして、10や20なんてものじゃない。50人ぐらい居る。まるで一つの村の規模ぐらいの子供だ)ゴホン。陶応殿、お久しぶりです」
 陶応「うおっ。劉丁、急に話しかけんじゃねぇよ。危うく子供を落としそうになっちまっただろうが。怪我させたら責任取れんのか!あぁ」
 義賢「しっ失礼した(相変わらず呼び捨て。まぁ好かれてないのはわかってるけどさ)」
 陶商「陶応、劉丁様にその口の聞き方はなんですか。僕まで悪い印象が持たれるでしょう。訂正してください」
 陶応「わかったよ兄貴。久しぶりだな劉丁殿」
 義賢「構いませんよ。陶応殿からしたら俺も兄上も徐州を乗っ取った簒奪者でしょうから」
 陶応「ん?何言ってんだお前。劉備様は立派に国治めてるってんだ。俺が気に食わないのはお前だけだ」
 義賢「へっ?」
 陶応「あんな美人な嫁さん許せる訳ねぇだろ!」
 義賢「そっそっち!?」
 陶応「フン。兄貴、さっさと話してやれよ」
 陶商「そうだね。実は、この子供達と一緒に女の人が1人居るんだ。出てきても良いよ。ここはもう安全だから」
 ???「お助けくださりありがとうございます。芽衣と申します」
 義賢「なんだ。この、この世のものとは思えない程の綺麗な人は!?」
 芽衣「あの、そんなに私の姿は美しいのでしょうか?その、この目は光を映さないので」
 義賢「えっ?」
 芽衣「幼い時に目の前で両親が死ぬのを観た日から私の目は何も映さなくなってしまったのです」
 子供達が我先にとこの綺麗な人の手を引っ張る。
 子供B「貞の女神様ー。こっちだよ。これ触って」
 芽衣「これは花ですね?」
 子供C「うん。これをこうして髪の毛に刺すの」
 陶応「あっダメだ危ないだろう」
 芽衣「良いのです。心配してくださりありがとうございます陶応様」
 陶応「俺みたいなもんに様なんて付けんじゃねぇよ。嬉しくねぇぞこんちくしょー」
 芽衣「それは失礼しました」
 義賢「いや、今のは照れ隠しってやつですよ。様付けて呼ばれるのが気に入っているってことです。そうですねゴニョゴニョ」
 芽衣「えっ。そのようなこと本当に喜ぶのですか?」
 義賢「えぇ、恐らく」
 芽衣「ア・ナ・タ、子供達のことを見てくださりありがとう」
 陶応「俺がア・ナ・タだって、恥ずかしすぎんだろうがよ」
 芽衣「あのこれは、やっぱり失礼が」
 義賢「いいえ。それより芽衣さんでしたっけ?」
 芽衣「はい」
 義賢「陶応殿の事好きでしょ?」
 芽衣「はわわ。そっそのようなこと。私はこの通り目も見えませんし、釣り合いませんよ」
 義賢「そうでしょうか。彼の貴方を見つめる目は恋慕の目とみました。案外お似合いの2人かもしれませんよ」
 芽衣「そんなこと。私には」
 義賢「では目がまた見えたとしたら付き合うのですか?御自身の身体を付き合えない理由にしてはいけません。その目だからこそ人の内面をよく見れるのではないでしょうか。貴方は陶応殿の心の優しさを心の目を通して見て、好意を抱いたのではありませんか。益州の巴郡から徐州での仕事を終えて、荊州へ。その旅路の中で」
 芽衣「そうかもしれません。それにしても凄い人ですね。陶商様が貴方なら力になってくれると言っていた意味がよくわかりました。お話ししたいことがあります」
 義賢「そうでしたね。まだ名前を名乗っていませんでしたね。劉玄徳が弟、劉義賢と申します」
 芽衣「話に聞いていた仁君劉備様の弟君だったのですか!?これは失礼な態度を申し訳ございません。そのような御方に話など」
 義賢「構いません。今はしがない村人ですよ。役職全てを解雇されてしまいましたから。ハッハッハ」
 芽衣「笑い事ではない気がするのですが、それなら聞いてください。私は益州漢中郡南鄭県にある貞の村出身です。統率された何者かに襲われ、逃げてきました。どうか、仁君と名高い劉備様に匿っていただきたいのです」
 義賢「兄上は困っている民を見捨てたりしません。その願いは聞き届けられるでしょう」
 芽衣「ありがとうございます」
 陶応「劉備様に俺が世話するってことにしてくれねぇか?」
 義賢「それは図々しいかと。ですが、兄上は許すでしょう」
 陶応「なっ!?お前は一言多いから嫌いなんだ」
 義賢「好きなら好きと言わないと誰かに取られますよ」
 陶応「うっせぇ。けどよ。そのあんがとな。さっき、芽衣しゃんに耳打ちしてたろ」
 義賢「見てたのかよ」
 陶応「好きな女のことは目で追っちまうんだから仕方ねぇだろ!」
 義賢「ウブだねぇ」
 陶応「うっせぇよ」
 こうして、陶商の率いる商人たちの預かりとして子供と芽衣は徐州の村で生活することとなった。
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