えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
360 / 821
4章 三国鼎立

第二次倉亭新城の戦い(急)

しおりを挟む
 曹操軍が倉亭新城の中に雪崩れ込んできた。
 逢紀「袁譚様、最早、これまでかと」
 袁譚「逢紀、お前が残ってくれて助かったぜ」
 逢紀「前までの粗暴な貴方様ならこんなこと絶対になかったでしょうな」
 袁譚「そうか。ところで叔父上は何してる?」
 逢紀「高幹殿なら、可愛い甥のためだ。などと言いながら城の外に行きましたが」
 袁譚「逃げたかもな」
 逢紀「いやいや。ここまで囲まれて逃げるところなんてないでしょう」
 ???「袁譚様、報告。曹操軍が城壁を占拠。呂威璜様・眭元進様・韓莒子様・趙叡様、揃って討ち死にとのこと。ですが曹操軍にも北側と南側で甚大な被害を与え、尚も一進一退とのこと」
 袁譚「汪昭オウショウ、報告御苦労」
 汪昭「はっ」
 袁譚「呂威璜・韓莒子・眭元進・趙叡、先にそっちで待っていてくれ。俺ももうすぐ行く。皆でいつか来る袁尚や袁煕を待とうじゃねぇか。グビグビ」
 逢紀「袁譚様、どうしても死なれるおつもりですか?」
 袁譚「当然だ。だからこうして、最後の酒を喰らっている。尚や煕は、無事であろうか。もう曹操領を抜けた頃だよな。そうであってくれよ。何年もこうして俺が耐えた意味を活かしてくれよ。グビグビ」
 逢紀「もう夜も更けてきました。無理をして夜襲をしてくることはありますまい。明日が最終決戦となりましょう」
 袁譚「あぁ。俺の最後の見せ場だ。グビグビ」
 その頃、曹操軍の陣営。
 曹操「子桓よ。お前は俺の命令を無視して幽州を奪取して、まだここに居たのか。お前の役目は洛陽を守ることであろう。とっとと帰るが良い!」
 曹丕「父よ。私が幽州を落とさねば、ここまで袁譚を追い詰められたであろうか?」
 曹操「命令を無視した分際で、生意気な口を聞くな!」
 曹丕「父よ。そうやって怒るのは、図星を突かれたからであろう?」
 曹操「生意気に育ちおって、司馬懿よ。とっとと連れていけ」
 司馬懿「曹操様、お待ちください。このまま馬超も関羽も抱えて、明日も攻城戦をするつもりですか?」
 曹操「何か問題でも?」
 司馬懿「華北を制した後は、南の劉備か涼州の馬超となります。どちらも名の知れた猛将。味方であると信じている今の間に殺すのが良いかと」
 曹操「!?」
 賈詡「殿、司馬懿殿の言に一理あるかと。今なら戦の最中に討たれたということにして処理もできるでしょうしな」
 曹操「ならん。関羽は義侠溢れる漢だ。何としても配下に迎えたい。殺すなど許さん!」
 程昱「関羽は劉備の義兄弟として忠誠を誓っております。配下に加えるなどとてもとても無理なことかと」
 曹操「軍神などと言われていても関羽とて人の子だ。金品財宝には心も揺れよう」
 郭嘉「うーん。少し難しいんじゃないかなぁ。関羽は金品財宝よりも劉備を選ぶそういう漢だと思うなぁ」
 曹操「その通りよな。だが、だとしても関羽は絶対に配下に欲しい人材だ。殺すことは許さん。わかったな司馬懿よ」
 司馬懿「曹操様の前で出過ぎた真似を失礼しました」
 曹操「わかれば良いのだ。もう下がれ。今回の件、咎めはせぬ。確かに子桓の言う通りのところもある。従軍を許してやろう。この言葉が欲しかったのであろう?」
 曹丕「父よ。感謝する」
 司馬懿「曹操様、失礼致します」
 夜が明けると曹操は、全軍に突撃を指示した。
 曹操「長かった。実に長かったがようやくこの日を迎えることができた。今日、倉亭新城を落とす。全軍突撃」
 迎え撃つ袁譚軍に残った戦力は、袁譚、袁譚の配下として仕えている汪昭・岑壁シンヘキ彭安ホウアン管統カントウ劉詢リュウジュン、軍師の逢紀である。
 袁譚「さぁ、来やがれ曹操軍。この袁譚が相手してやらぁ」
 ここに倉亭新城における最後の日が始まった。曹操は、降伏した袁尚軍の兵と将を前線に曹仁と夏侯惇がそれらを率いて、城の中へと入る。迎え撃つのは、袁譚の配下の者たちである。
 汪昭「お前らも降っていたとはな。尹楷インカイ高蕃コウバン韓範カンハン張顗チョウギ馬延バエン蘇由ソユウ
 尹楷「逃げた袁尚のことを今まで信じていたなんて俺も馬鹿だった」
 高蕃「何が皆で守ろうだ」
 韓範「心地よい言葉で騙しやがって」
 張顗「この怒りを袁譚にぶつけてやる」
 馬延「そこを退け」
 蘇由「この数を相手に抗うなど馬鹿の所業よ」
 手には槌を持ち、見た目は太っちょの怪力男が遮った。
 ???「待つんだなぁ。オイラ、暇なんだなぁ。久々に暴れるんだなぁ」
 汪昭「なんだこの男は、兵ですら多勢に無勢のこの状態で、このままでは、ガハッ」
 岑壁「これ以上は行かせてはならん。グワァ」
 彭安「この数に雪崩れ込まれたら袁譚様といえど耐えられんぞ。グフッ」
 管統「ここは絶対に通さん。ゴフッ」
 劉詢「我々が最後の砦、ここを抜かれれば、袁譚様が。申し訳ありませぬ。ガハッ」
 数の暴力で全く見せ場もなく踏み潰していく、その先頭には、怪力の太っちょ男がいた。踏み潰すことに関しては定評のある許褚である。汪昭・岑壁・彭安・管統・劉詢は、全く見せ場もなく許褚の槌の餌食となってしまったのだった。
 許褚「つまらないんだなぁ。全く歯応えが無いんだなぁ。袁譚は楽しませてくれると嬉しいんだなぁ」
 典韋「この馬鹿野郎が。とっとと殿のところに戻るぞ。我らは殿の親衛隊なのだからな」
 許褚「典韋、そんなに引っ張らなくてもわかったんだなぁ」
 袁譚の元には曹仁と夏侯惇が先に到着していた。
 曹仁「一応聞くが降伏する意思はあるか?」
 袁譚「そんなんあるわけねぇだろ。土地も民も捨てて逃げた袁尚じゃあるめぇし。御託は良いからとっととかかってきたらどうだ」
 夏侯惇「一つ聞くが、初めは3人仲良く防衛していたのにどうして、追い出した?」
 袁譚「んなもん。俺が当主を奪う野心を捨ててなかったからに決まってんだろ。ここで曹操軍最強の男曹仁と曹操の懐刀の夏侯惇を討てば、ますます俺の名声は上がるなぁ。さぁ、2人まとめてかかってこいよ」
 曹仁「舐められたものだが。せっかくのご厚意だ甘えるとしよう」
 夏侯惇「曹仁、殺してはならんぞ。殿の元に生きて連れて来いとの事だからな」
 曹仁「だから、2人ならそれも楽であろう」
 夏侯惇「成程な。では行くとしよう」
 いかに強くなった袁譚といえど2人まとめて相手にできるわけがない。捕らえられてしまった。
 袁譚「全く情けねぇな」
 曹仁「まだ殺さぬ。安心せよ」
 夏侯惇「お前には聞きたいことが山程あるからな。殿の元に連れて行く」
 袁譚「(俺を捕らえて、尚と煕を誘い出すつもりであろう。曹操には俺の嘘が通用していなかったってことか。全く兄として情けない。こうして、自害を防ぐために口に布を噛まされてしまった。だがどんな拷問にあおうとも口を割ることはない。兄のことは忘れて、遠くの地へ逃げるのだ)」
 倉亭新城は落ちた。袁譚は捕らえられ、甄姫の籠る館の中にいた民たちも降伏した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...