えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
366 / 821
4章 三国鼎立

鬱林の惨劇

しおりを挟む
 劉備軍が初めの攻略指定先に選んだのは南海でも蒼梧でもなく鬱林だった。孫策と揉めている以上、揚州へ逃げる可能性はあり得ない。追い込み先に南海を選んだのだ。鬱林から交阯、交阯から益州方面へ逃げられるよりも逃げ道のない南海へ追い込むためでもあった。そして、士徽たちは、そんなことも知らず南海で、劉備軍を迎え撃つ準備を整えていた。
 士徽「士祇の兄貴、士幹と士頌も南海に呼んだ。本当にここが劉備軍が1番に攻めるってのか?」
 士祇「あぁ、この南海は要所。何としても欲しいはずだ。交阯こうし九真きゅうしん日南じつなんの兵は、合浦がっぽに送っておけ、民どもに通達しろ。劉備軍は噂と違い残忍な奴らの集まり。民といえど捕まったら殺される。どうせ死ぬなら死に物狂いで戦えとな」
 士幹「了解した士祇にぃさん」
 士頌「叔父上たちは皆、父上に付くとのことで、地下牢に幽閉しました。暫く飯も与えておりません。そろそろ根をあげるかと」
 士祇「交州を奪取した以上、叔父どもも父も。もう用はない。そのまま餓死させよ。あっ民たちには、劉備に暗殺されたと言っておけ。とことん劉備に嫌悪感を抱かせるためにな」
 士徽「全く容赦ないねぇ。それが兄貴の良いところだけどよ」
 桓発「士徽様、劉備軍がここ南海ではなく鬱林に現れたとの報告。鬱林には、雁門を置いていますが少数では長くは持たないでしょう」
 士徽「ぐっ、雁門を救いに行くか」
 士祇「雁門に伝令を出せ。兵と民を皆殺しにして、ここ南海に来いと。劉備が攻めてきたのは好都合。劉備軍が残虐な奴らの集まりってことを民どもに見せてやれ」
 士徽「全く躊躇ないなぁ兄貴は」
 士祇「劉備も馬鹿よな。素直にここ南海を攻めて、死ねばよかったものを」
 劉備軍の迫る鬱林を守る雁門に士徽から手紙が届く。
 雁門「成程、策のためにな。確かに劉備軍とやり合うなら民たちの協力は欠かせん。彭虎、協力を頼めるか」
 彭虎「このようなことを本気で」
 雁門「目的のために手段を選んではならない。それが士祇様が全て即断即決できる所以だ」
 彭虎「しかし、これは」
 雁門「ここに残った兵と民は、士燮のことを信じている奴らだ。所謂、コイツらが劉備軍に殺されることで、他の民たちの考える力を削ぐ狙いがあるのだろう」
 彭虎「だが民であろう?」
 雁門「山越よりも孫策を推す民だが」
 彭虎「よし、殺そう。敵になるのなら今殺すのも後で殺すのも一緒だ」
 雁門「(全く扱いやすい男で助かる。孫策の話を出せば、ここまで考えを変えてくれるのだからな)」
 雁門は顔を隠し、彭虎率いる山越は、騎馬に跨り、民たちを殺して回る。
 山越兵「劉備様のお通りだ。どけどけクソども」
 民男「噂に聞く劉備様が我らを助けに。ぎゃ、どうして?」
 民女「いやぁーーーーー」
 山越兵「へへへ。逃げんなよ。オラァオラァ」
 民女「やめてやめて。こんなの劉備様が許すわけない」
 彭虎「・・・・・・やれ」
 山越兵「はっ劉備様」
 民女「こんな、こんなことって、これが仁君と言われている劉備様なの。いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 女は身包みを剥がされ、山越兵に犯し尽くされ、失意のまま殺され。男は、容赦なく首を刎ねた。そして、兵たちも。
 鬱林兵「うぐぐ。雁門、何故?」
 雁門「お前たちが士燮にまだ想いが残っていることを知らなかったとでも?」
 鬱林兵「ふぐぅ。まさか、これを士祇が?」
 雁門「あぁ、お前たちの死を劉備の残虐性の証明に使うつもりらしい」
 鬱林兵「ハァハァ。お前ら地獄に落ちるぞ。グフッ」
 雁門「良し、ここに劉備軍が来る前に南海へと向かう」
 彭虎「この借りは高く付くぞ雁門」
 雁門「わかっている」
 その後、すぐ鬱林に到着する劉備軍。
 劉備「何があった?この村に何があったと言うのだ?誰か、口を聞けるものは居ないか?どうして、こんなことに」
 民女「り、ゅ、う、び、に、し。ガハッ」
 劉備「私がどうしたのだ?死ぬな!死ぬんじゃない!ダメだ亡くなっている」
 民男「ゆ、る、さ、ね、ぇ、り、ゅ、う。ゴフッ」
 魏延「おい、気をしっかり持て、死ぬな!誰を許さないんだ。おい。クソッ。こっちもダメです殿」
 男児「ぱ、ぱ、い、た、い、よ。カハッ」
 趙雲「こんな子供まで、何故こんなことに」
 樊玉鳳「子龍、貴方まで気を落としてどうするのです。このようなことになった原因を少しでも探すのです」
 趙雲「あぁ、そうだな玉鳳」
 女児「お、な、か、に、は、い、っ。カハッ」
 張郃「お嬢ちゃん、大丈夫。もう何も入ってないから。だから、安心して。こんな小さな女の子にまで」
 高覧「張郃、気持ちはわかるが。これが戦場だ」
 張郃「戦場なら小さな女の子であっても犯されるのが当然だと!?高覧、見損なったわ!暫く、話しかけてこないで!」
 高覧「犯された?いや、待て、そんなつもりじゃ。俺は巻き込まれたもんだとばかり」
 老人「うぅ。う、わ、さ、と、こ、こ、ま、で。ゴフゥ」
 孫堅「噂とここまで?その後を教えてくれご老人。事切れている。だが、この傷でまだ生きていたことを考慮すれば、この惨事があったのはついさっきなのでは?」
 老婆「し、ん、じ、て、い、た、フボッ」
 諸葛亮「信じていた?おばあさん、まだ逝ってはなりません。まだ。ダメですか。よく頑張りましたね。ゆっくりお休みください」
 集められた話をまとめる諸葛亮。
 諸葛亮「りゅうびにし。ゆるさねぇりゅう。ぱぱいたいよ。おなかにはいっ。うわさとここまで。しんじていた。これらをまとめると。劉備に死を。許さねぇ劉備。パパ痛いよ。お腹に入って気持ち悪い。噂とここまで違うとは。信じていたのに。といったところでしょうか」
 劉備「ここの民たちはこんな間に合ったのが私のせいだと恨みながら亡くなっていったのだな。私が戦を選んだばかりに」
 孫堅「そうではなかろう」
 諸葛亮「えぇ、恐らくこれは我が殿に罪を着せるための実演といえます」
 趙雲「殿に罪を着せるためにこんなことをしたと?」
 張郃「誰がこんなことを。許せません!」
 孫堅「そんなの自分の父親を躊躇なく追い落とした士祇を置いて他にない」
 劉備「こんなことを?士祇は絶対に許せん!いや、士燮殿には悪いが士祇たちには死んで償ってもらうぞ」
 士祇の残虐性。劉備の怒り。劉備軍の団結。しかし、劉備は優し過ぎた。殺され打ち捨てられていた民たちを1人づつ集めて、穴を掘り、埋めて、供養した。このようなことをしている間にも、他の郡で同じことが起こっているとも知らずに。そう士祇が見捨てた南側のほとんどが士燮の治世が良かった士祇ではダメだと裏で反乱軍を組織しようとしていた。だが、こういう奴らの監視用に士祇は自身の手の者をこっそりと紛れ込ませて、まとめて排除していた。そして、自身のお膝元である南海は色んな郡から集めた民を労働力に借り出して、要塞化を進めたのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...