えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
411 / 821
4章 三国鼎立

孫権の処遇

しおりを挟む
 文聘が捕らえた孫権は捕虜として丁重に扱われていた。そこに孫尚香が訪ねてくる。
 孫尚香「御苦労様。少し良いかしら?」
 門番「これは奥方様!はい、勿論です」
 扉が開かれて中に入っていく孫尚香。
 孫権「フン。すっかり簒奪者の嫁と成り下がったな尚香」
 孫尚香「権兄様、どうしてわかってもらえないのです。玄徳様と戦をするなど無駄なことです。父上も共存を願って私を玄徳様の元に」
 孫権「煩い!父上を長沙から追い出したのは誰だ。劉備だ。兄上が血を流してまで守り抜いた長沙を簡単に手放したんだぞ!我ら兄弟はそのことを知っている。お前もそこにいたではないか!」
 孫尚香「えぇ。でも、あの後袁術の本隊が来てたら母様や叔母様は連れていかれたかもしれないわ。そしたら袁術の尖兵にされて父上が命を失っていたかもしれない。そんなことがわからない権兄様じゃないでしょう!」
 孫権「そんな起こってもいないことを申して、何の意味がある。結果が物語っているでは無いか。劉備は徐州を取り、揚州の北部を袁術から強奪し、そして此度は交州をも奪ったのだぞ!」
 孫尚香「違うわ!玄徳様はどこも奪ってなんか居ない!徐州は曹操の虐殺から民を助けるため。揚州北部は、悪戯に皇帝を名乗り民を混乱させた袁術を討つため。交州は、助けを求めた父様を助けるためよ!簒奪なんて酷い言い方しないで!」
 孫権「すっかり毒されたみたいだな。お前も父上も家族を裏切ったのだ!兄上だけが家族を守ろうと頑張っているのだ!」
 孫尚香「それは違う!家族を守ろうとして玄徳様と戦ってどうなった?権兄様だってこうやって今捕まってるじゃない!殺すこともできるのにどうして殺されないと?」
 孫権「兄上が交渉しているからに決まっているだろう。で、俺の釈放はいつだ」
 孫尚香「何も連絡なんか来てないわよ!玄徳様が私と父様のために、処罰しないで待ってくれてるからよ!」
 孫権「そんなのは嘘だ。そうかそうか今度は俺を抱き込むつもりか。劉備め。俺は絶対に屈さぬぞ」
 孫尚香「どうしてわかってくれないのよ!家族が争って何の意味があるのよ!」
 孫権「お前など家族ではない!俺の家族は、兄上と弟たちだけだ!さぞかし劉備との夜が気持ちよかったのであろうな。この売国奴が!」
 孫尚香「まだ、まだやってないわよ!玄徳様は誠実な方なの権兄様と違ってね。そっ、私のことをそんな風に思ってたのね。聞いたかしら練師」
 歩練師「はい。姫様」
 孫権「その綺麗な女性は誰だ?」
 孫尚香「私の侍従を務めてくれているの」
 歩練師「歩練師ホレンシと申します。お見知り置きくださいませ」
 孫尚香「もう、違うでしょ。私と同じく玄徳様の」
 歩練師「姫様、それはまだその。姫様がまだですので、私なんかが」
 孫尚香「もう可愛いんだから。どう歩練師は?あらあら見惚れちゃって、権兄様の好みよね。でもね権兄様は何一つ手に入れられないの。だって、男として魅力的じゃ無いんですもの。全部全部、玄徳様に取られちゃうのよ。だって玄徳様は男として権兄様なんかよりも何倍も優秀なんだから。でもねそれじゃあ可哀想でしょ。だから権兄様に提案なんだけど。玄徳様の義息子にならない?」
 孫権「何を言っている?劉備が俺より何倍も優秀だと。そんなことはありえん!ふざけるなこの売女が」
 孫尚香「あらあら妹に対して売女だなんて酷いじゃない。あっ、もっと心を折らないとダメかしら。そうね。じゃあ、権兄様の前で玄徳様に初めてを奪ってもらうのも良いかもね。好みの女性と妹が目の前で散らされる姿。男としてこれ以上の屈辱は無いでしょ。でも玄徳様ってものすごい優しい御方だから」
 歩練師「姫様。それならゴニョゴニョしては如何ですか?」
 孫尚香「それ最高よ練師」
 孫権「何を企んでいる」
 孫尚香「楽しみにしててね権兄様。家族じゃないって言ったことを死ぬ程後悔させてあげるから。それが嫌ならわかってるわよね。答えが出たら言いなさい」
 歩練師「姫様を怒らせすぎましたね。それでは」
 2人が出ていくと項垂れている孫権。
 門番「全く姫様もお人が悪いですなぁ」
 孫尚香「そう。これも紅ちゃんのためだから。あんな男でも好きな人がいるんだから仕方ないじゃない。それに、お似合いでしょ袁術の娘で玄徳様の養女なんだから。しっかり見張ってるのよ黄蓋」
 門番に変装していた黄蓋が現れる。
 黄蓋「まぁ、それは殿にもキツく言われてますからな。ですが、あそこまで心を折らなくても良かったのではないですかな?」
 孫尚香「もう2度と家族が争ってほしくないのよ。そのためなら心を鬼にもするわ」
 歩練師「流石、姫様です。男としての尊厳も踏み潰しちゃいましょう」
 孫尚香「そうならないことを祈りたいものね。父様は、また祖茂のところかしら?」
 黄蓋「えぇ、一命を取り留めたとはいえ、復帰できるまでには暫くかかるでしょうからな。ですが無事でこちらも安堵致した」
 孫尚香「そうね。ところで父様が交州を任されることになって、玄徳様に仕えるという話は本当なの?」
 黄蓋「お耳が早いですなぁ。残りの人生を漢室復興に捧げるためには劉備殿と協力するのが1番だと御心を決められたようですな」
 孫尚香「そう。貴方たちはどうするの?」
 黄蓋「我々は殿の行くところが居場所ですからな。劉備殿に仕えるというわけではなく。あくまで殿の臣下として供をしようかと」
 孫尚香「それは心強いわ。これからも宜しくね」
 黄蓋「はっ」
 孫尚香が去っていって、孫権の返答を待って、数ヶ月立っても、孫策から捕虜となっている孫権のことについて接触はなかった。これは孫権の心を完全に折るには十分な時間であった。孫権は、孫策に見捨てられたと絶望し、同等の力を持ちながら劉備の臣下となった父孫堅と劉備の正妻の1人で妹の孫尚香を通して劉備に頭を垂れることとなる。何故、孫策が行動を起こさなかったか。それは、揚州が大きく割れていたからである。意識を取り戻さない孫策を巡って、武断派と文治派による争いを誰も止めることができなくなっていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...