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5章 天下統一
許昌にて危機に瀕する曹操
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伏寿のクーデターと時を同じくして、この男も動き出す。司馬仲達、曹操よりも御し易い曹丕を当主に据えることで、虎視眈々とその座を狙う男。この男にとって、今最も、邪魔な男が許昌に幽閉した先代、曹孟徳である。曹家ではなく司馬家に忠誠を誓ったものと共に、許昌を包囲していた。対する曹孟徳の手勢は、腹心の夏侯惇・夏侯淵を筆頭に2人の成人した息子たち軍師の郭嘉。親衛隊の典韋。さらに曹孟徳の息子である曹昂。甥の中でただ1人結婚しておらず守るべきものもなかったため叔父と最後を共にすると決め駆け付けた曹安民。奇しくも、ここで正史における宛城で、曹孟徳を守った勇士たちが集まってしまった。差し詰め許昌の戦いといったところだろうか。
司馬懿「これはこれは曹操殿。このような歓迎、痛み入ります。死ぬ覚悟は出来ましたか?」
曹操「我が子を誑かした貴様だけは絶対に許さん。例え、ここで俺が死のうとも貴様だけは、道連れにしてくれる!」
夏侯惇「この陪臣如きが大層な夢を持ったこと、この俺が後悔させてやる」
夏侯淵「なぁ、司馬懿よ。殿を殺さなきゃならんのか?どうしてこうなっちまった?そんなに殿が憎いか?」
司馬懿「憎いか?いやいや、憎いどころか俺のことを遠ざけてくれて感謝すらしています。そのお陰で、我が野望に近付いたのですから。そろそろ邪魔になりつつある曹操殿にはこの世からの退場をと思いましてな」
曹昂「曹丕は、純粋だった。俺のことを慕ってくれていた。そんなアイツを歪めたお前を俺は絶対に許さない!次期、曹家の当主として、貴様を討つ」
司馬懿「成程、成程。司隷は曹昂殿のお膝元でしたな。これは、これは。我が君が幽閉したと言っても曹操殿の勢力がそれ程小さくならなかったわけだ。甘さは捨てるようにと常々、言ったのですがね。任せるところは任せたつもりでしたが、やれやれあの馬鹿に任せたのは、失敗でしたな」
曹安民「流石、叔父上たちから人質を取るなどせこい真似をした奴だ。曹丕すら捨て駒の1人か。この外道が!」
司馬懿「五月蝿い小蝿が吠えるな。人質を取られても曹操殿に忠誠を尽くした者もいる。所詮、奴らは捨てきれなかっただけのこと。心の何処かで、我が君。いやあの馬鹿の方が曹操殿より上と考えただけのことであろうが!」
曹操「子考たちを馬鹿にするのはやめよ司馬懿!人の気持ちのわからぬ貴様に子考たちの気持ちなど理解できようはずもない。時間稼ぎなどせずにとっととかかって来い。簒奪者!」
司馬懿「簒奪者ときましたか。俺に簒奪されるような国作りをした貴方に1番の問題があるんですよ曹操殿。劉備なんぞに徐州で何度も負け。劉備の国力増強に一躍買うなどという体たらくな君主にな」
司馬懿の言葉のすぐ後、司馬懿の率いた総勢10万の大軍が姿を見せた。これを迎え撃つ曹操の兵力は、多く見積もって、5千。20倍の差である。しかし、曹孟徳という男は、劣勢に立ってこそ進化を発揮する男である。不敵に笑う。
曹操「フッ。これこそ昔に戻ったようだな元譲・妙才!」
夏侯惇「孟徳、お前の背中は俺が守る。さぁ、孟徳最後の戦だ」
夏侯淵「殿、弓はありったけ用意してんだ。射抜いて射抜いて射抜いてやるぜ」
夏侯覇「ちょっと父さん。俺がいることも忘れないでくれるかい?俺は父さんみたいに弓はからっきしなんだからさ」
夏侯淵「おぉ、息子よ。心配すんな。俺の弓の腕前だと前に立たれようが避けて、敵を射抜いてやるからよ」
夏侯覇「いや、それは。化け物だと思うよ。ってイテェんだけど」
夏侯淵「親父を化け物だなんて言う息子に愛の鉄拳だ」
夏侯覇「ヘイヘイ」
典韋「アッシも燃えやすぜ殿。最後まで、側を守りやすから」
曹操「うむ。始めよう。曹孟徳、最後の大戦を」
郭嘉「やれやれ、劣勢をひっくり返すのは軍師の質ってね。司馬懿、どこまでやれるか見させてもらうよ。先ずは、東門から来るよ。攻城兵器を近づかさせないように、頼んだよ夏侯充」
夏侯充「はっはい。父の働きに負けないように務めます」
司馬懿は相手に郭嘉がいることを厄介に思っていた。
司馬懿「ちょっとの動きで我が弟の東門からの主攻を読まれたか。ならそれを助功に代えるまでのこと。師に号令をかけよ」
司馬師「成程、父も考えたな。司馬孚叔父上の主攻を読まれたことを逆手にとって、すかさず助功に転じ、こちらに兵を送ったか。なら動かなければな。胡遵・諸葛誕・王昶、我が南軍も出るぞ」
胡遵「成程、主攻の交代ですな。任されよ」
諸葛誕「諸葛家でありながら司馬師様に重用してもらっている恩をお返しするのだ」
王昶「我らの方が向こうより数は多いですが被害は最小限にですな」
敵の動きの速さに少し翻弄される郭嘉。
郭嘉「今度は、南門かな。読まれたから手を変えたわけだね。でも、そこは打ち破らせないよ。油壺で迫り来る衝車を焼いてくれるかい夏侯楙」
夏侯楙「ヒョエー。む、む、む、無理ですよぅ」
郭嘉「君は、いざ戦いが始まったら怯えてばかり、何をしにここに来たんだい?」
夏侯楙「父の付き添いで」
郭嘉「君自身はどうしたいんだい?父の付き添いとはいえ、ここにきた時点で、負けたら君も司馬懿には許してもらえないよ。処刑されちゃうかもね。それがお望みなのかい?」
夏侯楙「ヒョエー。アワワワワ。降伏、降伏」
郭嘉「甘ったれないでくれるかな!父親がいつまでも守ってくれると思ってるのかい君は?夏侯惇殿とて、殿を守るためにその命を削っているんだ。君は、そんな夏侯惇殿の息子だろう!覚悟を決めるんだ」
夏侯楙「僕には、僕には、無理だ。無理だ。むりだよぉ」
郭嘉「はぁ。もう良い。役に立たないなら民たちと一緒に家の中で閉じ困ってると良いよ。夏侯覇殿、南門の抑えを頼めるかい?」
夏侯覇「任されました。父さん、ちょっと行ってくるよ」
夏侯淵「息子よ。俺より先に死ぬんじゃねぇぞ」
夏侯覇「ハハハ。まだ、可愛い甥?じゃないか。月姫の子供たたの顔を一度も見てないからね。死ねないよ」
夏侯淵「違いねぇや」
こうして、許昌における曹操vs司馬懿の戦いは、始まったばかりである。
司馬懿「これはこれは曹操殿。このような歓迎、痛み入ります。死ぬ覚悟は出来ましたか?」
曹操「我が子を誑かした貴様だけは絶対に許さん。例え、ここで俺が死のうとも貴様だけは、道連れにしてくれる!」
夏侯惇「この陪臣如きが大層な夢を持ったこと、この俺が後悔させてやる」
夏侯淵「なぁ、司馬懿よ。殿を殺さなきゃならんのか?どうしてこうなっちまった?そんなに殿が憎いか?」
司馬懿「憎いか?いやいや、憎いどころか俺のことを遠ざけてくれて感謝すらしています。そのお陰で、我が野望に近付いたのですから。そろそろ邪魔になりつつある曹操殿にはこの世からの退場をと思いましてな」
曹昂「曹丕は、純粋だった。俺のことを慕ってくれていた。そんなアイツを歪めたお前を俺は絶対に許さない!次期、曹家の当主として、貴様を討つ」
司馬懿「成程、成程。司隷は曹昂殿のお膝元でしたな。これは、これは。我が君が幽閉したと言っても曹操殿の勢力がそれ程小さくならなかったわけだ。甘さは捨てるようにと常々、言ったのですがね。任せるところは任せたつもりでしたが、やれやれあの馬鹿に任せたのは、失敗でしたな」
曹安民「流石、叔父上たちから人質を取るなどせこい真似をした奴だ。曹丕すら捨て駒の1人か。この外道が!」
司馬懿「五月蝿い小蝿が吠えるな。人質を取られても曹操殿に忠誠を尽くした者もいる。所詮、奴らは捨てきれなかっただけのこと。心の何処かで、我が君。いやあの馬鹿の方が曹操殿より上と考えただけのことであろうが!」
曹操「子考たちを馬鹿にするのはやめよ司馬懿!人の気持ちのわからぬ貴様に子考たちの気持ちなど理解できようはずもない。時間稼ぎなどせずにとっととかかって来い。簒奪者!」
司馬懿「簒奪者ときましたか。俺に簒奪されるような国作りをした貴方に1番の問題があるんですよ曹操殿。劉備なんぞに徐州で何度も負け。劉備の国力増強に一躍買うなどという体たらくな君主にな」
司馬懿の言葉のすぐ後、司馬懿の率いた総勢10万の大軍が姿を見せた。これを迎え撃つ曹操の兵力は、多く見積もって、5千。20倍の差である。しかし、曹孟徳という男は、劣勢に立ってこそ進化を発揮する男である。不敵に笑う。
曹操「フッ。これこそ昔に戻ったようだな元譲・妙才!」
夏侯惇「孟徳、お前の背中は俺が守る。さぁ、孟徳最後の戦だ」
夏侯淵「殿、弓はありったけ用意してんだ。射抜いて射抜いて射抜いてやるぜ」
夏侯覇「ちょっと父さん。俺がいることも忘れないでくれるかい?俺は父さんみたいに弓はからっきしなんだからさ」
夏侯淵「おぉ、息子よ。心配すんな。俺の弓の腕前だと前に立たれようが避けて、敵を射抜いてやるからよ」
夏侯覇「いや、それは。化け物だと思うよ。ってイテェんだけど」
夏侯淵「親父を化け物だなんて言う息子に愛の鉄拳だ」
夏侯覇「ヘイヘイ」
典韋「アッシも燃えやすぜ殿。最後まで、側を守りやすから」
曹操「うむ。始めよう。曹孟徳、最後の大戦を」
郭嘉「やれやれ、劣勢をひっくり返すのは軍師の質ってね。司馬懿、どこまでやれるか見させてもらうよ。先ずは、東門から来るよ。攻城兵器を近づかさせないように、頼んだよ夏侯充」
夏侯充「はっはい。父の働きに負けないように務めます」
司馬懿は相手に郭嘉がいることを厄介に思っていた。
司馬懿「ちょっとの動きで我が弟の東門からの主攻を読まれたか。ならそれを助功に代えるまでのこと。師に号令をかけよ」
司馬師「成程、父も考えたな。司馬孚叔父上の主攻を読まれたことを逆手にとって、すかさず助功に転じ、こちらに兵を送ったか。なら動かなければな。胡遵・諸葛誕・王昶、我が南軍も出るぞ」
胡遵「成程、主攻の交代ですな。任されよ」
諸葛誕「諸葛家でありながら司馬師様に重用してもらっている恩をお返しするのだ」
王昶「我らの方が向こうより数は多いですが被害は最小限にですな」
敵の動きの速さに少し翻弄される郭嘉。
郭嘉「今度は、南門かな。読まれたから手を変えたわけだね。でも、そこは打ち破らせないよ。油壺で迫り来る衝車を焼いてくれるかい夏侯楙」
夏侯楙「ヒョエー。む、む、む、無理ですよぅ」
郭嘉「君は、いざ戦いが始まったら怯えてばかり、何をしにここに来たんだい?」
夏侯楙「父の付き添いで」
郭嘉「君自身はどうしたいんだい?父の付き添いとはいえ、ここにきた時点で、負けたら君も司馬懿には許してもらえないよ。処刑されちゃうかもね。それがお望みなのかい?」
夏侯楙「ヒョエー。アワワワワ。降伏、降伏」
郭嘉「甘ったれないでくれるかな!父親がいつまでも守ってくれると思ってるのかい君は?夏侯惇殿とて、殿を守るためにその命を削っているんだ。君は、そんな夏侯惇殿の息子だろう!覚悟を決めるんだ」
夏侯楙「僕には、僕には、無理だ。無理だ。むりだよぉ」
郭嘉「はぁ。もう良い。役に立たないなら民たちと一緒に家の中で閉じ困ってると良いよ。夏侯覇殿、南門の抑えを頼めるかい?」
夏侯覇「任されました。父さん、ちょっと行ってくるよ」
夏侯淵「息子よ。俺より先に死ぬんじゃねぇぞ」
夏侯覇「ハハハ。まだ、可愛い甥?じゃないか。月姫の子供たたの顔を一度も見てないからね。死ねないよ」
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こうして、許昌における曹操vs司馬懿の戦いは、始まったばかりである。
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