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5章 天下統一
人質を救出するための作戦
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助けを求める曹泰に救いの声が差し伸べられる。
???「その願い叶えてやろうか?」
曹泰「うっ。うぅ。だ、誰だ?」
???「我が名は、鷂と申す。貴殿の声に導かれし者だ。貴殿が望むのなら助けよう。如何する?」
曹泰「ほ、本当に助けてくれるの?そ、それならぼ、僕だけでなくみんなのことも助けて欲しい!」
鷂「その願い、聞き届けたり。これより、丙の日、寅の時を待て、その日必ず皆のことを助けよう」
丙の日とは、3日後。
寅の時とは、深夜3時から5時のことである。
曹泰「わ、わかった。それまで、大人しく身体を休めておく」
鷂「フッ。そうしておけ。肝心な時に逃げられないと見捨てていくことになるからな」
曹泰「そ、それはう、嘘だよね?」
鷂「さぁな」
曹泰「ちょっと、ねぇ。もう居ないの?」
曹泰の声に反応する声は聞こえない。
ところで話は、少し前に遡る。
許貢が作った闇夜団の面々は、許貢亡き後、孫策に復讐を誓い、行動を起こしたが于吉にその心を利用され、良いように使われていた。
その状況から助けてくれ、復讐以外の道を示してくれた張角に世話になっていたのだが荀彧に請われる形で、蜀漢の密偵として諜報活動を担うこととなった。
早くからこの長安にて潜伏して、諜報活動を行う男がいる。
それがこの鷂である。
鷂「梟の兄貴、俺にそんなことをやれと?」
梟「うむ。劉丁様が言うには子供は自分を救ってくれる英雄を求めているものなのだとのことだ」
鷂「まぁ。それは、百歩譲って、わかったとしてだ。俺にその英雄とやらを演じろと?」
梟「不服か?」
鷂「嫌か嫌じゃ無いかで言えば、嫌になるな。そんな回りくどいことしなくてもすぐに救い出せば良いだろう?」
梟「長安は仮にも魏の首都だ。人の往来も激しく警備を掻い潜るのも一苦労だ」
鷂「兄貴もそれを、何年も続けている俺の前でよく言えたな」
梟「影が薄く目立ちにくいお前だからこそ務まるのだ」
鷂「それはそれとしてだ。ガキなんて、邪魔だろ。本当に救う価値なんてあるのか?」
梟「劉丁様は、これが蜀漢のためになると仰せだ」
鷂「はぁ。まぁ、やれと言われれば仕事として、割り切ってやるがよ。騒ぎを起こして、隙は作れても流石にガキの逃走経路まで準備できねぇぞ。その辺りはどうなんだよ?」
梟「その辺りのことは、田豊殿と沮授殿に任せているとのことだ。お前の役目は、人質となっている子供達に英雄を装って言伝をすること。そして、長安で騒ぎを起こして、隙を作ることだ。やってくれるな鷂?」
鷂「まぁ、仕事として、割り切ってやりゃ良いんだろ。相変わらず兄貴は、人使いが荒いってんだよ」
梟「嫌々でも、きっちり仕事をこなすのがお前だ」
鷂「ヘイヘイ。報酬は期待してるからな兄貴」
梟「ぜ、善処しよう」
鷂「さては、また俺をタダ働きさせようとしてたのかよ。ったくよ」
梟「そ、そうでは無いが。あ、後は任せたぞ」
鷂「おい、兄貴、本当に頼むぜ。おーい」
そこに衛固がやってきた。
衛固「おい、貴様。誰と話していた!さては、間者だな。こっちにこい」
鷂「これは、勘違いさせてしまったようで、すいやせん。こりゃ~たまげた。よく見たら長安一の色男、衛固様じゃ無いですかい。これ、お近づきの印に」
鷂は懐から賄賂をチラつかせる。
衛固「おっおぅ。俺は、そんなに有名か。ガハハハハ。こりゃ、こっちもその気じゃなかったんだけどよ。悪りぃな。こ、こんなに良いのかよ?」
鷂「ヘイ。迷惑をかけてしやったアッシの心ばかりの気持ちでやす」
衛固「おっ。おぅ。あんまり怪しまれる動きすんじゃねぇぞ」
鷂「ヘイ」
衛固「で、何してやがったんだ?」
鷂「アッシは、猫専門の商人でやして、大事な商品を御者に盗まれちまいやしてね。追いかけてたんでやすが逃げられちまいやして、叫んでたところでやした」
衛固「猫ってのは、巷で有名になってる愛玩動物のか?」
鷂「ヘイ」
衛固「成程な。身分の高そうな奴らが連れてるのを見たから、羽振りが良かったわけだ」
鷂「いやぁ。今日の売り上げの全てでやすよ」
衛固「ほぉ~。商売が成功することを祈っているぞ」
鷂「ありがとうごぜぇやす」
衛固は、金づるを見つけたように口角をニヤリと上げ、その場を去った。
鷂「(なんとかごまかせたみてぇだがありゃ味をしめやがったな。クソッ。兄貴、追加で請求するから覚えてろよ。ガキの英雄に俺がね。はぁ。気は乗らねぇが仕方ねぇ)」
そして、それから毎日稼いだ金を衛固に毟り取られながら梟から田豊と沮授の準備が整ったことを知らせる手紙を受け、行動に移した。
鷂「しかし、この人の多さと広さが隠したいものを逆に隠すことができたのか。潜伏していて、ここに人質がいるなんて、傍目には全くわからなかったが。劉丁殿は、どうやってこうまで確実性の高い情報を仕入れているんだか。俺は、あの人の情報網の方が恐ろしいと思うんだが。やれやれ。情報通りだとここだな。声を変えてと」
鷂は、子供に警戒感を抱かせなような声色で、英雄を演じたのである。
そして、鷂の役目はこれだけでは無い。
3日後、騒ぎを起こして、長安守備隊の動きを制限するという役目が残っていた。
???「その願い叶えてやろうか?」
曹泰「うっ。うぅ。だ、誰だ?」
???「我が名は、鷂と申す。貴殿の声に導かれし者だ。貴殿が望むのなら助けよう。如何する?」
曹泰「ほ、本当に助けてくれるの?そ、それならぼ、僕だけでなくみんなのことも助けて欲しい!」
鷂「その願い、聞き届けたり。これより、丙の日、寅の時を待て、その日必ず皆のことを助けよう」
丙の日とは、3日後。
寅の時とは、深夜3時から5時のことである。
曹泰「わ、わかった。それまで、大人しく身体を休めておく」
鷂「フッ。そうしておけ。肝心な時に逃げられないと見捨てていくことになるからな」
曹泰「そ、それはう、嘘だよね?」
鷂「さぁな」
曹泰「ちょっと、ねぇ。もう居ないの?」
曹泰の声に反応する声は聞こえない。
ところで話は、少し前に遡る。
許貢が作った闇夜団の面々は、許貢亡き後、孫策に復讐を誓い、行動を起こしたが于吉にその心を利用され、良いように使われていた。
その状況から助けてくれ、復讐以外の道を示してくれた張角に世話になっていたのだが荀彧に請われる形で、蜀漢の密偵として諜報活動を担うこととなった。
早くからこの長安にて潜伏して、諜報活動を行う男がいる。
それがこの鷂である。
鷂「梟の兄貴、俺にそんなことをやれと?」
梟「うむ。劉丁様が言うには子供は自分を救ってくれる英雄を求めているものなのだとのことだ」
鷂「まぁ。それは、百歩譲って、わかったとしてだ。俺にその英雄とやらを演じろと?」
梟「不服か?」
鷂「嫌か嫌じゃ無いかで言えば、嫌になるな。そんな回りくどいことしなくてもすぐに救い出せば良いだろう?」
梟「長安は仮にも魏の首都だ。人の往来も激しく警備を掻い潜るのも一苦労だ」
鷂「兄貴もそれを、何年も続けている俺の前でよく言えたな」
梟「影が薄く目立ちにくいお前だからこそ務まるのだ」
鷂「それはそれとしてだ。ガキなんて、邪魔だろ。本当に救う価値なんてあるのか?」
梟「劉丁様は、これが蜀漢のためになると仰せだ」
鷂「はぁ。まぁ、やれと言われれば仕事として、割り切ってやるがよ。騒ぎを起こして、隙は作れても流石にガキの逃走経路まで準備できねぇぞ。その辺りはどうなんだよ?」
梟「その辺りのことは、田豊殿と沮授殿に任せているとのことだ。お前の役目は、人質となっている子供達に英雄を装って言伝をすること。そして、長安で騒ぎを起こして、隙を作ることだ。やってくれるな鷂?」
鷂「まぁ、仕事として、割り切ってやりゃ良いんだろ。相変わらず兄貴は、人使いが荒いってんだよ」
梟「嫌々でも、きっちり仕事をこなすのがお前だ」
鷂「ヘイヘイ。報酬は期待してるからな兄貴」
梟「ぜ、善処しよう」
鷂「さては、また俺をタダ働きさせようとしてたのかよ。ったくよ」
梟「そ、そうでは無いが。あ、後は任せたぞ」
鷂「おい、兄貴、本当に頼むぜ。おーい」
そこに衛固がやってきた。
衛固「おい、貴様。誰と話していた!さては、間者だな。こっちにこい」
鷂「これは、勘違いさせてしまったようで、すいやせん。こりゃ~たまげた。よく見たら長安一の色男、衛固様じゃ無いですかい。これ、お近づきの印に」
鷂は懐から賄賂をチラつかせる。
衛固「おっおぅ。俺は、そんなに有名か。ガハハハハ。こりゃ、こっちもその気じゃなかったんだけどよ。悪りぃな。こ、こんなに良いのかよ?」
鷂「ヘイ。迷惑をかけてしやったアッシの心ばかりの気持ちでやす」
衛固「おっ。おぅ。あんまり怪しまれる動きすんじゃねぇぞ」
鷂「ヘイ」
衛固「で、何してやがったんだ?」
鷂「アッシは、猫専門の商人でやして、大事な商品を御者に盗まれちまいやしてね。追いかけてたんでやすが逃げられちまいやして、叫んでたところでやした」
衛固「猫ってのは、巷で有名になってる愛玩動物のか?」
鷂「ヘイ」
衛固「成程な。身分の高そうな奴らが連れてるのを見たから、羽振りが良かったわけだ」
鷂「いやぁ。今日の売り上げの全てでやすよ」
衛固「ほぉ~。商売が成功することを祈っているぞ」
鷂「ありがとうごぜぇやす」
衛固は、金づるを見つけたように口角をニヤリと上げ、その場を去った。
鷂「(なんとかごまかせたみてぇだがありゃ味をしめやがったな。クソッ。兄貴、追加で請求するから覚えてろよ。ガキの英雄に俺がね。はぁ。気は乗らねぇが仕方ねぇ)」
そして、それから毎日稼いだ金を衛固に毟り取られながら梟から田豊と沮授の準備が整ったことを知らせる手紙を受け、行動に移した。
鷂「しかし、この人の多さと広さが隠したいものを逆に隠すことができたのか。潜伏していて、ここに人質がいるなんて、傍目には全くわからなかったが。劉丁殿は、どうやってこうまで確実性の高い情報を仕入れているんだか。俺は、あの人の情報網の方が恐ろしいと思うんだが。やれやれ。情報通りだとここだな。声を変えてと」
鷂は、子供に警戒感を抱かせなような声色で、英雄を演じたのである。
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