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5章 天下統一
鍾繇、兗州北部の惨状を聞く
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ここは兗州にある陳留。
司馬懿に見捨てられた鍾繇が守る地だ。
ここに兗州北部のことを一部始終見ていた兵士から報告が来たのは、先程のことである。
伝令「鍾繇様に御報告!」
鍾繇「どうした?そんなに傷だらけで、何があったのだ!」
伝令「兗州北部の泰山郡・済北国・東郡の兵らと民が立て篭もった濮陽にて、華北の兵による大量虐殺が行われた模様!」
鍾繇「その話は真か!?」
伝令「信じたくないのは、この目で見ていた私も同様です」
鍾繇「濮陽を任せていた王累はどうした?」
伝令「民100万人を守るために最後まで抵抗したものの奮戦虚しく、敵軍の少年兵に討ち取られました」
鍾繇「そうか王累が逝ったか。彼奴には申し訳ないことをした。司馬懿様の策のためとはいえ。いや、これはまだ話せぬ話であった。それにしても少年兵とはな。華北は、人材に乏しいわけではないはず。本当に子供だったのか?」
伝令「はっ!年端もいかない子供でした。ですがその武勇は凄まじく。まるで戦場を楽しむかのようにニタニタと笑みを浮かべながら兵らを切り刻んでいました」
鍾繇「善悪の判断がつかぬ子供を戦場に持ち出すなど何を考えているのやら。年端もいかない国を担う子供すら戦場に出すなど曹操を迎えるために敵もなりふり構ってられなくなったということか。しかし、年端もいかない子供ですらその武勇とは。して、被害の規模は?」
伝令「民100万人が惨殺されました」
鍾繇「馬鹿な!?何を考えているのだ!この戦が終わった後、虎視眈々と魏国を狙っている輩が居るというのに。罪なき民を虐殺するなど許せん」
伝令「お怒りはごもっともです。その惨状に兵らも奮起し、最後は己の体をも爆弾とし、特攻を仕掛けることで敵の兵の3分の1に甚大な被害を与えることに成功しました。それを見て、私もと思いましたが。しかし、鍾繇様に報告するものが居なくなると考え、こうして、ここに」
鍾繇「そんな傷だらけの中、大義だった。しかし、士徽の開発した人間爆弾を兵らが進んで行うとは。そのようなことをせずとも良いように己の体を爆弾にせぬ地雷を編み出したというのに、民を虐殺されれば、兵らも鬼となるか。その中に家族が居たものもいよう。なんたる愚かな行為をしたのだ。これが人質を取ることを非難していた奴らのやることか。これが貴様らのやり方か!」
伝令「私も鍾繇様と同じ気持ちです。奴らが許せません。守るべき民を虐殺し、ニタニタと笑みを浮かべるあの少年兵の姿が」
鍾繇「子供は純粋だ。それゆえ、その行為が愚かなことだと判断ができない。賈詡のことだ。罪悪感を抱かない無邪気な子供に惨殺を命じたのだろう。陰険な奴が考えそうな策だ」
伝令「その賈詡も脚に甚大な被害を受け、杖無くして歩くことは」
鍾繇「そうか」
鍾繇は一瞬目を閉じた後、他に気になったことを尋ねる。
鍾繇「して、他の郡はどうだ?」
伝令「東平国・任城国・山陽郡・済陰郡も濮陽の惨状を聞き、奮起しています。民を容赦なく虐殺する輩に屈することはないと。皆、死ぬその時まで敵に抗う所存!」
鍾繇「そうか。命は大事にしてもらいたいが相手がそう来るのなら仕方がないことやも知れんな。疲れたであろう。お前も少し休んで、次の戦に備えよ」
伝令「お心遣い、感謝致します。ですが、私は次にでも!」
鍾繇「良いから休め。その傷だらけの身体で無理をするな。良いな?」
伝令「はい」
そう、ここで簡単に何故食い違っているのかの説明をするならば、呪術を知らない彼らから見た濮陽での惨状は、伝令が話した通りだ。
噛み砕いて説明すると王累と戦っていた哪吒が少年兵であり、骨だったものが民である。
それを笑みを浮かべながら戦を楽しむように壊していたのだから、伝来がこのように判断してもおかしくはない。
即ち、彼らから見れば、虐殺を行ったのは華北の兵ということになる。
そんな呪術の存在を知らない彼らの元に怪しげな男が現れたのは伝令から報告を受けた数日後のことであった。
怪しげな男「ヒッヒッヒ。大変苦戦なさっているようですなぁ」
鍾繇「いったい、何処から入り込んだのだ。まさか、刺客か!誰か。うぐぐ」
怪しげな男「ヒッヒッヒ。そう騒ぎなさんなや。そうですなぁ。こんな見てくれだが刺客でも無ければ、怪しい男でもない。どちらかというと貴殿に勝ちをもたらしに来た幸運の天使と名乗ろうか。おっと。おっと。口を塞がれていては、話せぬな」
鍾繇「誰か来てくれ!この男を。うぐぐ」
怪しげな男「だから怪しいもんじゃねえって言ってんだろうが!話は最後まで聞くもんだぜ。ここにある薬を使えば、たちまち無敵の力が手に入る。おーっと。嘘じゃねぇぜ。なんたって、俺の身体がそうだからな。ほら、心臓の音が全く聞こえないだろ?なのに俺はなんともない。ククク。凄いであろう。おっと」
鍾繇「ハァ。ハァ。ハァ。死ぬかと思った。心臓の音を数秒止めたぐらいで、無敵などとのたうち回る男が怪しくないわけがなかろう」
怪しげな男「なりふり構わぬ相手になりふり構って居られないのでは?」
鍾繇「!?わかった。話だけ伺おう」
こうして、鍾繇は怪しげな男との会談を受け入れるのだった。
曹操を迎え入れるためになりふり構わない華北の兵を止めるために、鍾繇の未来はどうなる?
どうする鍾繇?
司馬懿に見捨てられた鍾繇が守る地だ。
ここに兗州北部のことを一部始終見ていた兵士から報告が来たのは、先程のことである。
伝令「鍾繇様に御報告!」
鍾繇「どうした?そんなに傷だらけで、何があったのだ!」
伝令「兗州北部の泰山郡・済北国・東郡の兵らと民が立て篭もった濮陽にて、華北の兵による大量虐殺が行われた模様!」
鍾繇「その話は真か!?」
伝令「信じたくないのは、この目で見ていた私も同様です」
鍾繇「濮陽を任せていた王累はどうした?」
伝令「民100万人を守るために最後まで抵抗したものの奮戦虚しく、敵軍の少年兵に討ち取られました」
鍾繇「そうか王累が逝ったか。彼奴には申し訳ないことをした。司馬懿様の策のためとはいえ。いや、これはまだ話せぬ話であった。それにしても少年兵とはな。華北は、人材に乏しいわけではないはず。本当に子供だったのか?」
伝令「はっ!年端もいかない子供でした。ですがその武勇は凄まじく。まるで戦場を楽しむかのようにニタニタと笑みを浮かべながら兵らを切り刻んでいました」
鍾繇「善悪の判断がつかぬ子供を戦場に持ち出すなど何を考えているのやら。年端もいかない国を担う子供すら戦場に出すなど曹操を迎えるために敵もなりふり構ってられなくなったということか。しかし、年端もいかない子供ですらその武勇とは。して、被害の規模は?」
伝令「民100万人が惨殺されました」
鍾繇「馬鹿な!?何を考えているのだ!この戦が終わった後、虎視眈々と魏国を狙っている輩が居るというのに。罪なき民を虐殺するなど許せん」
伝令「お怒りはごもっともです。その惨状に兵らも奮起し、最後は己の体をも爆弾とし、特攻を仕掛けることで敵の兵の3分の1に甚大な被害を与えることに成功しました。それを見て、私もと思いましたが。しかし、鍾繇様に報告するものが居なくなると考え、こうして、ここに」
鍾繇「そんな傷だらけの中、大義だった。しかし、士徽の開発した人間爆弾を兵らが進んで行うとは。そのようなことをせずとも良いように己の体を爆弾にせぬ地雷を編み出したというのに、民を虐殺されれば、兵らも鬼となるか。その中に家族が居たものもいよう。なんたる愚かな行為をしたのだ。これが人質を取ることを非難していた奴らのやることか。これが貴様らのやり方か!」
伝令「私も鍾繇様と同じ気持ちです。奴らが許せません。守るべき民を虐殺し、ニタニタと笑みを浮かべるあの少年兵の姿が」
鍾繇「子供は純粋だ。それゆえ、その行為が愚かなことだと判断ができない。賈詡のことだ。罪悪感を抱かない無邪気な子供に惨殺を命じたのだろう。陰険な奴が考えそうな策だ」
伝令「その賈詡も脚に甚大な被害を受け、杖無くして歩くことは」
鍾繇「そうか」
鍾繇は一瞬目を閉じた後、他に気になったことを尋ねる。
鍾繇「して、他の郡はどうだ?」
伝令「東平国・任城国・山陽郡・済陰郡も濮陽の惨状を聞き、奮起しています。民を容赦なく虐殺する輩に屈することはないと。皆、死ぬその時まで敵に抗う所存!」
鍾繇「そうか。命は大事にしてもらいたいが相手がそう来るのなら仕方がないことやも知れんな。疲れたであろう。お前も少し休んで、次の戦に備えよ」
伝令「お心遣い、感謝致します。ですが、私は次にでも!」
鍾繇「良いから休め。その傷だらけの身体で無理をするな。良いな?」
伝令「はい」
そう、ここで簡単に何故食い違っているのかの説明をするならば、呪術を知らない彼らから見た濮陽での惨状は、伝令が話した通りだ。
噛み砕いて説明すると王累と戦っていた哪吒が少年兵であり、骨だったものが民である。
それを笑みを浮かべながら戦を楽しむように壊していたのだから、伝来がこのように判断してもおかしくはない。
即ち、彼らから見れば、虐殺を行ったのは華北の兵ということになる。
そんな呪術の存在を知らない彼らの元に怪しげな男が現れたのは伝令から報告を受けた数日後のことであった。
怪しげな男「ヒッヒッヒ。大変苦戦なさっているようですなぁ」
鍾繇「いったい、何処から入り込んだのだ。まさか、刺客か!誰か。うぐぐ」
怪しげな男「ヒッヒッヒ。そう騒ぎなさんなや。そうですなぁ。こんな見てくれだが刺客でも無ければ、怪しい男でもない。どちらかというと貴殿に勝ちをもたらしに来た幸運の天使と名乗ろうか。おっと。おっと。口を塞がれていては、話せぬな」
鍾繇「誰か来てくれ!この男を。うぐぐ」
怪しげな男「だから怪しいもんじゃねえって言ってんだろうが!話は最後まで聞くもんだぜ。ここにある薬を使えば、たちまち無敵の力が手に入る。おーっと。嘘じゃねぇぜ。なんたって、俺の身体がそうだからな。ほら、心臓の音が全く聞こえないだろ?なのに俺はなんともない。ククク。凄いであろう。おっと」
鍾繇「ハァ。ハァ。ハァ。死ぬかと思った。心臓の音を数秒止めたぐらいで、無敵などとのたうち回る男が怪しくないわけがなかろう」
怪しげな男「なりふり構わぬ相手になりふり構って居られないのでは?」
鍾繇「!?わかった。話だけ伺おう」
こうして、鍾繇は怪しげな男との会談を受け入れるのだった。
曹操を迎え入れるためになりふり構わない華北の兵を止めるために、鍾繇の未来はどうなる?
どうする鍾繇?
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