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5章 天下統一
黄元の異変
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牢屋の中で独り言をずっと呟く黄元。
黄元「俺は悪く無い。悪く無い。あの女は、あの御方を危険に晒す存在。危険に晒す存在。あの御方のために排除しただけ。排除しただけ。あの御方って、誰だ?うぅ。何も何も思い出せん。あの難民に屈辱を味合わされたことまでは覚えているのだが。その後の記憶がごっそりと。どうして、俺はここに?」
牢屋の兵「さっきからブツブツと煩いぞ!この国家転覆罪の極悪人が!」
黄元「国家転覆罪?俺が?一体、何の話をしてるんだ?うぐぐ。まただ。また。頭の中で何者かの声が」
???『解放せよ。内に眠る劉備への猜疑心を。真の皇帝への信仰心を示せ。真の皇帝とは、始皇帝なるぞ』
黄元「ククク。そうであった。我が主は、あの御方のみ。この瓶を飲み干せば。はぅ。しまった。瓶を」
カシャンと割れて、中から飛び出す火鼠。
火鼠『やっと出られたよぉぉぉぉ。暗いところ怖かったよぉぉぉぉ。左慈様、何処に居るのぉぉぉぉ?』
牢屋の兵士「瓶から鼠?コイツ、これを飲もうとしていた?しかし、いったい何処から短剣が?」
梟「騒がしてすまなかった。劉備様より、此奴の監視を密かにするように命じられていた。梟と申す」
牢屋の兵士「ふ、梟様!?劉備様の表の親衛隊が陳到様なら裏の親衛隊と称される影に潜む男!?お会いできて、大変嬉しいです。どうぞどうぞ。何処までも監視を。勿論、今あった事なんて何も見てませんよ」
梟「心遣いに感謝しよう。して、黄元よ。落とした物の説明をしてもらおうか?」
黄元「うっ。はっ。俺はいったい何を?落とした物?うわぁぁぁぁぁ。何だこの鼠、あっちいけ!俺は鼠が大嫌いなんだ!」
梟「ん?先程の様子と何やら違うか?」
牢屋の兵士「コイツはここに入って、もうすぐ5日になりますがあの調子でコロコロと性格が豹変するんです。精神を病んでいるのかと」
梟「ふむ。鼠を見て取り乱す男が鼠を丸呑みしようとするであろうか?」
牢屋の兵士「あの様子からしたらあり得ないかと」
そこに入ってくる1人の男。
???「全く、左慈方士様も俺を何だと思ってるんだ。昔の誼って、怖い体験ばっかさせられただけってんだ。俺はこれでもこの国の首相を務める劉玄徳の義理の弟だってんだ。それをこき使いやがって。まだ劉丁の奴は良い。それなりに愛のある弄りもしてくれる。だけど、あのジジイときたら。ブツクサ。ブツクサ」
梟「誰かと思えば麋芳殿では無いか?」
麋芳「ヒィィィィィィィ。突然話しかけてくるんじゃねぇよ!いや、まぁ良いや。変なこと聞くけどよ。この辺りで鼠を見なかったか?」
梟「鼠ならそこの牢屋の中で、今踏みつけられているが?」
火鼠『イタイよぉ。イタイよぉ。どうして、踏みつけられるのぉぉぉぉ?僕、何も悪いことしてないのにぃぃぃぃ』
麋芳「何やってくれてんじゃお前!その鼠様は、左慈方士様の大事な愛玩動物やぞ!いなくなって困ってるっちゅうて。昔の誼かなんか知らんけど探してくれって頼まれとったんじゃ!きさん、何してくれとんねん!」
黄元「ハァ。ハァ。ハァ。ハァ。そんなことは知らん。大嫌いな鼠を俺の前で見せるから悪いんだ。これに懲りたら。はっ?俺の足が燃えてる。アツイ。アツイ。アツイ」
麋芳「言わんこっちゃない。こりゃアカンわ。もうお前さんの足は使い物にならん」
黄元「ふざけんな。ふざけんな。何で、俺がこんな目に。こんな目に」
火鼠「左慈方士様、何処?」
麋芳『おい、聞こえるか火鼠?暫く鼠のフリして死んだフリしとけ。俺が左慈方士様のところに運んだるさかい』
火鼠『麋芳ちゃんの声が聞こえるよぉぉぉぉ。兎に角、身体がイタイよぉぉぉぉ』
この火鼠も左慈の使う式の一つで、普段は南方の山にある決して燃えない木の中に生息しているとても珍しい火を纏った鼠である。
よく左慈に戦闘目的ではなく暖炉代わりに呼び出される愛玩動物である。
だが、この火鼠も妖怪に属する怪物の一頭であり、その炎を一度受ければ、その部分だけ、黄元の足のように炭と化してしまう。
扱い方を間違えたら最後、人間の身体なんて、燃やし尽くしてしまう。
少し前から左慈の呼びかけに応えず動向も不明だったため昔の誼から麋芳に捜索依頼を出していたというのが事の経緯である。
黄元「俺の右足が。右足が」
火鼠にすごい勢いで燃やされ、それと共に止血まで完了させていたので、片足だけが綺麗に無くなった黄元はバランスを失いその場に倒れ込むしかできなかった。
梟「麋芳殿、その瓶について詳しく聞きたいのだが構わないか?」
麋芳「瓶のことは全く知らないから左慈方士様から聞いた推測って話しかできねぇけどよ。最近、こういう事案が増えてるらしくてな。温厚だった人間が突如豹変して女を攫って犯して猿の子を孕ませるとか。飲み水が突如として毒に変わって、村一つ滅んだとかな。まぁ、あり得ないことが起こってんだわ。それに関係しているのが何れもその場に残されていた瓶の容器らしい」
梟「では、やはり黄元が?」
麋芳「いや、コイツも何も知らされてねぇだろうな。まぁ、予想の話になるがよ。瓶の中身を飲んで、炎でここを燃やし尽くすのが目的だったんじゃねぇか。まぁ、何にしても気絶したコイツが目を覚ましたら話を聞くしかねぇよ。俺は左慈方士様に報告もしなきゃならねぇからその後こっちに戻ってくるよ」
梟「承知した」
こうして、梟の危険探知能力と左慈に使いパシリにされていた麋芳によって、水面下でとんでもないことを阻止していたのだった。
黄元「俺は悪く無い。悪く無い。あの女は、あの御方を危険に晒す存在。危険に晒す存在。あの御方のために排除しただけ。排除しただけ。あの御方って、誰だ?うぅ。何も何も思い出せん。あの難民に屈辱を味合わされたことまでは覚えているのだが。その後の記憶がごっそりと。どうして、俺はここに?」
牢屋の兵「さっきからブツブツと煩いぞ!この国家転覆罪の極悪人が!」
黄元「国家転覆罪?俺が?一体、何の話をしてるんだ?うぐぐ。まただ。また。頭の中で何者かの声が」
???『解放せよ。内に眠る劉備への猜疑心を。真の皇帝への信仰心を示せ。真の皇帝とは、始皇帝なるぞ』
黄元「ククク。そうであった。我が主は、あの御方のみ。この瓶を飲み干せば。はぅ。しまった。瓶を」
カシャンと割れて、中から飛び出す火鼠。
火鼠『やっと出られたよぉぉぉぉ。暗いところ怖かったよぉぉぉぉ。左慈様、何処に居るのぉぉぉぉ?』
牢屋の兵士「瓶から鼠?コイツ、これを飲もうとしていた?しかし、いったい何処から短剣が?」
梟「騒がしてすまなかった。劉備様より、此奴の監視を密かにするように命じられていた。梟と申す」
牢屋の兵士「ふ、梟様!?劉備様の表の親衛隊が陳到様なら裏の親衛隊と称される影に潜む男!?お会いできて、大変嬉しいです。どうぞどうぞ。何処までも監視を。勿論、今あった事なんて何も見てませんよ」
梟「心遣いに感謝しよう。して、黄元よ。落とした物の説明をしてもらおうか?」
黄元「うっ。はっ。俺はいったい何を?落とした物?うわぁぁぁぁぁ。何だこの鼠、あっちいけ!俺は鼠が大嫌いなんだ!」
梟「ん?先程の様子と何やら違うか?」
牢屋の兵士「コイツはここに入って、もうすぐ5日になりますがあの調子でコロコロと性格が豹変するんです。精神を病んでいるのかと」
梟「ふむ。鼠を見て取り乱す男が鼠を丸呑みしようとするであろうか?」
牢屋の兵士「あの様子からしたらあり得ないかと」
そこに入ってくる1人の男。
???「全く、左慈方士様も俺を何だと思ってるんだ。昔の誼って、怖い体験ばっかさせられただけってんだ。俺はこれでもこの国の首相を務める劉玄徳の義理の弟だってんだ。それをこき使いやがって。まだ劉丁の奴は良い。それなりに愛のある弄りもしてくれる。だけど、あのジジイときたら。ブツクサ。ブツクサ」
梟「誰かと思えば麋芳殿では無いか?」
麋芳「ヒィィィィィィィ。突然話しかけてくるんじゃねぇよ!いや、まぁ良いや。変なこと聞くけどよ。この辺りで鼠を見なかったか?」
梟「鼠ならそこの牢屋の中で、今踏みつけられているが?」
火鼠『イタイよぉ。イタイよぉ。どうして、踏みつけられるのぉぉぉぉ?僕、何も悪いことしてないのにぃぃぃぃ』
麋芳「何やってくれてんじゃお前!その鼠様は、左慈方士様の大事な愛玩動物やぞ!いなくなって困ってるっちゅうて。昔の誼かなんか知らんけど探してくれって頼まれとったんじゃ!きさん、何してくれとんねん!」
黄元「ハァ。ハァ。ハァ。ハァ。そんなことは知らん。大嫌いな鼠を俺の前で見せるから悪いんだ。これに懲りたら。はっ?俺の足が燃えてる。アツイ。アツイ。アツイ」
麋芳「言わんこっちゃない。こりゃアカンわ。もうお前さんの足は使い物にならん」
黄元「ふざけんな。ふざけんな。何で、俺がこんな目に。こんな目に」
火鼠「左慈方士様、何処?」
麋芳『おい、聞こえるか火鼠?暫く鼠のフリして死んだフリしとけ。俺が左慈方士様のところに運んだるさかい』
火鼠『麋芳ちゃんの声が聞こえるよぉぉぉぉ。兎に角、身体がイタイよぉぉぉぉ』
この火鼠も左慈の使う式の一つで、普段は南方の山にある決して燃えない木の中に生息しているとても珍しい火を纏った鼠である。
よく左慈に戦闘目的ではなく暖炉代わりに呼び出される愛玩動物である。
だが、この火鼠も妖怪に属する怪物の一頭であり、その炎を一度受ければ、その部分だけ、黄元の足のように炭と化してしまう。
扱い方を間違えたら最後、人間の身体なんて、燃やし尽くしてしまう。
少し前から左慈の呼びかけに応えず動向も不明だったため昔の誼から麋芳に捜索依頼を出していたというのが事の経緯である。
黄元「俺の右足が。右足が」
火鼠にすごい勢いで燃やされ、それと共に止血まで完了させていたので、片足だけが綺麗に無くなった黄元はバランスを失いその場に倒れ込むしかできなかった。
梟「麋芳殿、その瓶について詳しく聞きたいのだが構わないか?」
麋芳「瓶のことは全く知らないから左慈方士様から聞いた推測って話しかできねぇけどよ。最近、こういう事案が増えてるらしくてな。温厚だった人間が突如豹変して女を攫って犯して猿の子を孕ませるとか。飲み水が突如として毒に変わって、村一つ滅んだとかな。まぁ、あり得ないことが起こってんだわ。それに関係しているのが何れもその場に残されていた瓶の容器らしい」
梟「では、やはり黄元が?」
麋芳「いや、コイツも何も知らされてねぇだろうな。まぁ、予想の話になるがよ。瓶の中身を飲んで、炎でここを燃やし尽くすのが目的だったんじゃねぇか。まぁ、何にしても気絶したコイツが目を覚ましたら話を聞くしかねぇよ。俺は左慈方士様に報告もしなきゃならねぇからその後こっちに戻ってくるよ」
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