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5章 天下統一
突撃、隣りの奥様!(後編)
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陳祗は憂いていた。
出生率の低下、結婚観の相違、同性愛の跋扈、あぁ、人間は何故、男と女に別れてしまったのだろう。
劉丁様から聞いた話では、海の生物のクマノミ?やブルーヘッド?とやらは、同性同士でも性別を変えることができ、子孫も残せるそうだ。
人間も男同士や女同士でも子孫を残せさえすれば、この世から人がいなくなることは無いのだが。
兎にも角にも人が多く死ぬ世界において、出生率の低下は、懸念すべき問題だ。
かといって、結婚を義務付けることは、やめておいた方がいい。
ハァ。
だから、少しでも結婚に興味を持ってもらおうと記事を書くことにしたのだが。
董白様は、前半こそ劉丁様の良いところを語ってくれたが後半は愚痴を聞いている感じであった。
夏侯月姫様は、案の定、張飛様の酒癖の悪さについてかと思ったら水でも酔うと聞かされた。
劉琮様なんぞ、ずっと文聘殿とのシモの話ばかりで、とても記事にできたものでは無い。
まぁ、一応書くには書いたのだが、案の定官能記事となってしまった。
今日来てくれるのは、張郃様か。
張郃「結婚についての記事を書いてるのは、ここかしら?」
陳祗「はい。張郃将軍でしょうか?」
張郃「えぇ。1回目から3回目まで、読んだわよ」
陳祗「参考までにどう思われましたか?」
張郃「皆、少なからず旦那に不満があるんだなと思って、安心した。かな」
陳祗「安心ですか?」
張郃「えぇ。董白様の記事は、あれ別居や家出してたってことよね。辛かったら逃げてもいいんだって思ったもの。夏侯月姫様の記事は、酒癖が悪くても張飛将軍のことを愛してるんだなぁって、伝わってきたし。まぁ、劉琮様のは、あれはあれで、夜の営みについて赤裸々過ぎて、へぇそんな方法もあるんだって、勉強になったわ」
陳祗「・・・。」
ん?
結婚率を上げて出生率を上げようと考えていたが結婚している女性を励ます記事になっていたということか?
張郃「もしもーし、陳祗殿?」
陳祗「はっ!?す、すみません。少し考え事を」
張郃「結婚生活の良い点と悪い点について、お答えすれば良いのよね?」
陳祗「はい」
張郃「私の場合は、ずっと男として育てられていたこともあって、幼馴染として側に居てくれた高覧のことをいつの間にか好きになってた」
陳祗「あの。それは惚気でしょうか?」
張郃「えぇ。でも、過程って凄く大事だと思わない。あの時は男だと思ってたし、高覧に平然と身体見せびらかしてたもの。今、考えると凄く恥ずかしいわ。でも、それも高覧で良かったって思ってるもの」
陳祗「やはり、惚気ですか?」
張郃「ふふっ。でも好きになるってそういうことでしょ。だから悩まずに心の赴くまま、今隣にいる人を大事にしていけば良いと思うの」
陳祗「ん?」
張郃「私が言いたいのは、結婚するってことは、良いところも悪いところもひっくるめて、相手を好きになるってこと。でもね。これだけは教えたい。好きな人との間の赤ちゃんってすごく可愛いんだから。もうね。うちの子、1番なんだから」
陳祗「な、成程」
良いところも悪いところもひっくるめて、相手を好きになるか。
盲点だった。
だが、これが霊帝様と劉丁様が恋愛結婚を重視している所以かもしれん。
張郃「こんな感じだけど、どうかしら?」
陳祗「貴重なお話をありがとうございました」
張郃「良い記事は書けそうかしら?」
陳祗「はい」
張郃「それなら良かった。あっ!ごめんなさいね。そろそろ、1番下の子の授乳の時間だから失礼するわね。1番上の子が面倒見が良くて助かってるのよ」
陳祗「どうぞ」
張郃がその場を去っていく。
陳祗「かつて、田豊殿や沮授殿から聞いた男女などと呼ばれていた方とは思えぬ程、女らしさに磨きがかかり、母親の顔をしておられたな」
張郃様の記事を書いて数日後。
???「ここね。頼もう!」
陳祗「ヒッ!?って、呂姫様、どうされたのです?」
呂姫「もう、あんな楽しい記事書いてるなら言ってください!私の話も聞いて欲しくて、来ちゃいましたよ」
陳祗「それは、ありがたい。では、早速」
呂姫「私、元々好きな人が別にいたんです」
陳祗「いきなり、大胆な発言ですね」
呂姫「その人は、この世界に馴染みのない塾なんてものを作り出し、女であっても戦場に立つことを否定されない素敵な方でした」
陳祗「それって」
呂姫「えぇ。劉丁様のことです」
陳祗「なら、どうして。劉丁様と結婚なさらなかったので?」
呂姫「あの。逆に聞きますけど。劉丁様と董白様の間に立てる人居ると思います?」
陳祗「あっ!言われてみれば、確かに」
呂姫「あそこまでお互い信頼しあって、何でも言い合える間柄って、凄く羨ましいと思います。もう2度とそんな人に出逢えないだろうなって」
陳祗「それがどうして、袁燿様と?」
呂姫「愛するよりも愛される方が幸せだって、思ったんです。まぁ、袁燿とは、幼馴染の間柄でしたし。その、嫌いな相手とかではなかったので、まぁ良いかなって」
陳祗「成程」
呂姫「だから私、思ったんです。出会いがないなら作れば良いんじゃないって!」
陳祗「ん?」
呂姫「陳祗殿は、結婚率と出生率を上げたいんですよね?」
陳祗「はい。そのために記事を書いてありますから」
呂姫「ならいっそのこと大勢の人を集めるのはどうです?人との出会いが多ければ、趣味の合う人が見つかって、そのまま結婚する前に身体の相性を確かめるのもアリですし」
陳祗「!?」
なんということだ。
そんな方法があったとは!?
確かに、この方法なら結婚率を劇的に上げることに繋がるかもしれん。
呂姫「どうですか?私の話は、良い記事になりそうですか?」
陳祗「とても、とても為になりました。ありがとう。ありがとう」
呂姫「記事ができるのを楽しみにしています」
陳祗「はい」
この呂姫との記事を見て、この時代で初めての大規模婚活パーティーなるものが行われることになるのだが、それはまた別のお話である。
出生率の低下、結婚観の相違、同性愛の跋扈、あぁ、人間は何故、男と女に別れてしまったのだろう。
劉丁様から聞いた話では、海の生物のクマノミ?やブルーヘッド?とやらは、同性同士でも性別を変えることができ、子孫も残せるそうだ。
人間も男同士や女同士でも子孫を残せさえすれば、この世から人がいなくなることは無いのだが。
兎にも角にも人が多く死ぬ世界において、出生率の低下は、懸念すべき問題だ。
かといって、結婚を義務付けることは、やめておいた方がいい。
ハァ。
だから、少しでも結婚に興味を持ってもらおうと記事を書くことにしたのだが。
董白様は、前半こそ劉丁様の良いところを語ってくれたが後半は愚痴を聞いている感じであった。
夏侯月姫様は、案の定、張飛様の酒癖の悪さについてかと思ったら水でも酔うと聞かされた。
劉琮様なんぞ、ずっと文聘殿とのシモの話ばかりで、とても記事にできたものでは無い。
まぁ、一応書くには書いたのだが、案の定官能記事となってしまった。
今日来てくれるのは、張郃様か。
張郃「結婚についての記事を書いてるのは、ここかしら?」
陳祗「はい。張郃将軍でしょうか?」
張郃「えぇ。1回目から3回目まで、読んだわよ」
陳祗「参考までにどう思われましたか?」
張郃「皆、少なからず旦那に不満があるんだなと思って、安心した。かな」
陳祗「安心ですか?」
張郃「えぇ。董白様の記事は、あれ別居や家出してたってことよね。辛かったら逃げてもいいんだって思ったもの。夏侯月姫様の記事は、酒癖が悪くても張飛将軍のことを愛してるんだなぁって、伝わってきたし。まぁ、劉琮様のは、あれはあれで、夜の営みについて赤裸々過ぎて、へぇそんな方法もあるんだって、勉強になったわ」
陳祗「・・・。」
ん?
結婚率を上げて出生率を上げようと考えていたが結婚している女性を励ます記事になっていたということか?
張郃「もしもーし、陳祗殿?」
陳祗「はっ!?す、すみません。少し考え事を」
張郃「結婚生活の良い点と悪い点について、お答えすれば良いのよね?」
陳祗「はい」
張郃「私の場合は、ずっと男として育てられていたこともあって、幼馴染として側に居てくれた高覧のことをいつの間にか好きになってた」
陳祗「あの。それは惚気でしょうか?」
張郃「えぇ。でも、過程って凄く大事だと思わない。あの時は男だと思ってたし、高覧に平然と身体見せびらかしてたもの。今、考えると凄く恥ずかしいわ。でも、それも高覧で良かったって思ってるもの」
陳祗「やはり、惚気ですか?」
張郃「ふふっ。でも好きになるってそういうことでしょ。だから悩まずに心の赴くまま、今隣にいる人を大事にしていけば良いと思うの」
陳祗「ん?」
張郃「私が言いたいのは、結婚するってことは、良いところも悪いところもひっくるめて、相手を好きになるってこと。でもね。これだけは教えたい。好きな人との間の赤ちゃんってすごく可愛いんだから。もうね。うちの子、1番なんだから」
陳祗「な、成程」
良いところも悪いところもひっくるめて、相手を好きになるか。
盲点だった。
だが、これが霊帝様と劉丁様が恋愛結婚を重視している所以かもしれん。
張郃「こんな感じだけど、どうかしら?」
陳祗「貴重なお話をありがとうございました」
張郃「良い記事は書けそうかしら?」
陳祗「はい」
張郃「それなら良かった。あっ!ごめんなさいね。そろそろ、1番下の子の授乳の時間だから失礼するわね。1番上の子が面倒見が良くて助かってるのよ」
陳祗「どうぞ」
張郃がその場を去っていく。
陳祗「かつて、田豊殿や沮授殿から聞いた男女などと呼ばれていた方とは思えぬ程、女らしさに磨きがかかり、母親の顔をしておられたな」
張郃様の記事を書いて数日後。
???「ここね。頼もう!」
陳祗「ヒッ!?って、呂姫様、どうされたのです?」
呂姫「もう、あんな楽しい記事書いてるなら言ってください!私の話も聞いて欲しくて、来ちゃいましたよ」
陳祗「それは、ありがたい。では、早速」
呂姫「私、元々好きな人が別にいたんです」
陳祗「いきなり、大胆な発言ですね」
呂姫「その人は、この世界に馴染みのない塾なんてものを作り出し、女であっても戦場に立つことを否定されない素敵な方でした」
陳祗「それって」
呂姫「えぇ。劉丁様のことです」
陳祗「なら、どうして。劉丁様と結婚なさらなかったので?」
呂姫「あの。逆に聞きますけど。劉丁様と董白様の間に立てる人居ると思います?」
陳祗「あっ!言われてみれば、確かに」
呂姫「あそこまでお互い信頼しあって、何でも言い合える間柄って、凄く羨ましいと思います。もう2度とそんな人に出逢えないだろうなって」
陳祗「それがどうして、袁燿様と?」
呂姫「愛するよりも愛される方が幸せだって、思ったんです。まぁ、袁燿とは、幼馴染の間柄でしたし。その、嫌いな相手とかではなかったので、まぁ良いかなって」
陳祗「成程」
呂姫「だから私、思ったんです。出会いがないなら作れば良いんじゃないって!」
陳祗「ん?」
呂姫「陳祗殿は、結婚率と出生率を上げたいんですよね?」
陳祗「はい。そのために記事を書いてありますから」
呂姫「ならいっそのこと大勢の人を集めるのはどうです?人との出会いが多ければ、趣味の合う人が見つかって、そのまま結婚する前に身体の相性を確かめるのもアリですし」
陳祗「!?」
なんということだ。
そんな方法があったとは!?
確かに、この方法なら結婚率を劇的に上げることに繋がるかもしれん。
呂姫「どうですか?私の話は、良い記事になりそうですか?」
陳祗「とても、とても為になりました。ありがとう。ありがとう」
呂姫「記事ができるのを楽しみにしています」
陳祗「はい」
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