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5章 天下統一
停戦明け(蜀漢)
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寒い冬が過ぎ、植物たちも芽吹き始めた頃、蜀漢と魏軍は再び開戦した。
洛陽を喰らい、長安へと進軍を開始する魏軍を迎え撃つ長安では趙雲が集まった諸侯たちと作戦会議をしていた。
趙雲「曹操は豫州と陳留を失いながらも継戦を選んだか」
黄忠「それだけ曹操とやらの想いも強いということじゃろうて」
甘寧「いや、それは違うんじゃねえのか黄忠の爺さん。曹操のことだ引くに引けなくなったんだろ。それをこの長安で止めてやらねぇとな」
張郃「しかし、相手は曹孟徳要する100万を超える大軍。かつての徐州での虐殺を鑑みこちらは各所に防衛を散りばめて、ここにいるのは、せいぜい相手の半分を超えるか超えないかよ。どう守るつもりなの?」
諸葛亮「策はありますよ。劉義賢からこちらに30万の援軍を送ると返書をいただきましたから」
ザワザワザワザワと騒ぐ面々の中から馬超が進み出る。
馬超「そんな兵が一体どこにいる!それだけの兵を出せば包囲されている青州は到底守りきれないだろう!」
荀彧「馬超将軍の御言葉は最もですが劉義賢には最初から青州を守るつもりなんてありませんでした。頃合いを見てこちらに合流する手筈でした。それができないのはそれだけ包囲している鮑信という人物が優秀だった。生死のわからない今。劉義賢はこちらには動けないでしょう。ですが援軍は送ると。そしてその30万の大軍を率いるのは、劉備様と義兄弟お二人の御子息と袁尚将軍だと聞いています」
再びザワザワと騒ぎ始める面々。
兵の1人が心許ない言葉をぶつける。
蜀漢兵士A「北から逃げてきただけのお飾り将軍に何ができるっていうんだ!青州を守る気が無かったのならその馬鹿に青州を守らせて劉丁様がこちらに来れば良いんだ!」
この言葉に兵士たちは同調する。
蜀漢兵士B「そうだそうだ!助けを求めるだけの男がいつの間にか将軍に収まり、支えている俺たちがずっとこの待遇なのはどうなんだ!」
大軍に迫られているというかつてない緊迫感が兵士たちの心を蔑ませていた。
その喧騒を打ち砕いたのは田豊だった。
田豊「お前たちはあの時、我が軍がどれほど袁家の者たちに助けられたか何もわかっていないようだな!そんな奴らが待遇改善を求めるのか?馬鹿も休み休み言ったらどうだ!」
蜀漢兵士A「ジジイがしゃしゃり出てくるんじゃねぇ!」
沮授「やれやれ今の若い兵士には、蜀漢という国の成り立ちが全く理解できていない馬鹿しかおらぬのか。劉備様が当主だと勘違いしているのではないか?我らの君主は帝であらせられる献帝様であり、それを守護するのが劉備様である」
蜀漢兵士B「それは体裁が悪いからだろ。あんな飾りな帝、とっとと廃位させて、劉備様が上に立てば良いんだ!」
龐統「その言葉は聞き捨てならないねぇ。要はアンタらはこう考えてるわけかい?この国の主は劉備様で献帝様ではないと。それは劉備様の想いを蔑ろにしてるんじゃないかねぇ。考えて物を言ったらどうだい?」
蜀漢兵士A「そ、それは」
徐庶「まぁまぁ。お互い言いたいことがあるのはわかるよ。でもね一つ言えることは皆劉備様が好きってことさ。その劉備様が献帝様をお支えすると決めたんだ。その想いを汲むのが推しのためなんじゃないかな」
蜀漢兵士B「た、確かにそ、そうだな」
蜀漢兵士A「そ、それが劉備様のためって言うなら」
喧騒が落ち着きを取り戻していく。
諸葛亮「元直。助かりました。こういうまとめるのはやはり貴方が適任です」
龐統「元直。推しってのはアレかい?最近巷で話題のあいどぅるとかいう」
徐庶「士元。あいどぅるじゃなくてアイドルだ。僕はね。センターを務めている張玉蘭のファンなんだ。戦が落ち着いたら一緒に観に行こう」
龐統「いや、そのアッシは。そういうのは。孔明。なんか言ってくれないかい?」
諸葛亮「元直。私は、簡麗美のファンです。今度はセンターを取ってくれると信じていますよ」
龐統「孔明ーーーーお前もかーーーーー」
徐庶「孔明、お互い推しのために頑張ろう」
諸葛亮「えぇ。ということで士元には今度あの娘たちの可愛さについて、じっくりと教えてあげましょう」
龐統「だ、誰か助けてくれる人はいないのかい?」
荀彧「確かに張玉蘭も簡麗美も良いのですが私は、翠《ミドリ》推しです。あの胸元が開かれた攻めてる大胆な衣装とあのチラリと見える脚元、それでいて口元を覆っているのにあのハスキーな歌声。どれも良いです」
龐統「荀彧ーーーーお前もかーーーー」
諸葛亮「まさか荀彧殿が素顔を隠した戦闘娘の翠推しだったとは」
荀彧「まぁ、毎日顔を合わせていますから当然推しにもなります」
徐庶「ハハッ。翠は闇夜団所属ですもんね」
荀彧「えぇ。普段と違うというのも堪りません。劉丁殿は本当に良いものを作ってくださいました」
諸葛亮・徐庶「えぇ、本当に」
龐統「誰か。誰でもいいからこのあいどぅる談義をとめてくれぇぇぇぇぇ。そしてアッシをたすけてくれぇぇぇぇぇ」
這ってでも逃げようとする龐統だったが取り囲まれる。
諸葛亮・徐庶・荀彧「どちらに行こうと言うのですか?さぁ、戦が終わったら一緒に観に行きましょう。ね?」
龐統「は、はぃ。わかったから離してくれないかい?」
この後、龐統もめでたくアイドル仲間となり、推しグッズを大量に買うことになるのはまた別の話である。
洛陽を喰らい、長安へと進軍を開始する魏軍を迎え撃つ長安では趙雲が集まった諸侯たちと作戦会議をしていた。
趙雲「曹操は豫州と陳留を失いながらも継戦を選んだか」
黄忠「それだけ曹操とやらの想いも強いということじゃろうて」
甘寧「いや、それは違うんじゃねえのか黄忠の爺さん。曹操のことだ引くに引けなくなったんだろ。それをこの長安で止めてやらねぇとな」
張郃「しかし、相手は曹孟徳要する100万を超える大軍。かつての徐州での虐殺を鑑みこちらは各所に防衛を散りばめて、ここにいるのは、せいぜい相手の半分を超えるか超えないかよ。どう守るつもりなの?」
諸葛亮「策はありますよ。劉義賢からこちらに30万の援軍を送ると返書をいただきましたから」
ザワザワザワザワと騒ぐ面々の中から馬超が進み出る。
馬超「そんな兵が一体どこにいる!それだけの兵を出せば包囲されている青州は到底守りきれないだろう!」
荀彧「馬超将軍の御言葉は最もですが劉義賢には最初から青州を守るつもりなんてありませんでした。頃合いを見てこちらに合流する手筈でした。それができないのはそれだけ包囲している鮑信という人物が優秀だった。生死のわからない今。劉義賢はこちらには動けないでしょう。ですが援軍は送ると。そしてその30万の大軍を率いるのは、劉備様と義兄弟お二人の御子息と袁尚将軍だと聞いています」
再びザワザワと騒ぎ始める面々。
兵の1人が心許ない言葉をぶつける。
蜀漢兵士A「北から逃げてきただけのお飾り将軍に何ができるっていうんだ!青州を守る気が無かったのならその馬鹿に青州を守らせて劉丁様がこちらに来れば良いんだ!」
この言葉に兵士たちは同調する。
蜀漢兵士B「そうだそうだ!助けを求めるだけの男がいつの間にか将軍に収まり、支えている俺たちがずっとこの待遇なのはどうなんだ!」
大軍に迫られているというかつてない緊迫感が兵士たちの心を蔑ませていた。
その喧騒を打ち砕いたのは田豊だった。
田豊「お前たちはあの時、我が軍がどれほど袁家の者たちに助けられたか何もわかっていないようだな!そんな奴らが待遇改善を求めるのか?馬鹿も休み休み言ったらどうだ!」
蜀漢兵士A「ジジイがしゃしゃり出てくるんじゃねぇ!」
沮授「やれやれ今の若い兵士には、蜀漢という国の成り立ちが全く理解できていない馬鹿しかおらぬのか。劉備様が当主だと勘違いしているのではないか?我らの君主は帝であらせられる献帝様であり、それを守護するのが劉備様である」
蜀漢兵士B「それは体裁が悪いからだろ。あんな飾りな帝、とっとと廃位させて、劉備様が上に立てば良いんだ!」
龐統「その言葉は聞き捨てならないねぇ。要はアンタらはこう考えてるわけかい?この国の主は劉備様で献帝様ではないと。それは劉備様の想いを蔑ろにしてるんじゃないかねぇ。考えて物を言ったらどうだい?」
蜀漢兵士A「そ、それは」
徐庶「まぁまぁ。お互い言いたいことがあるのはわかるよ。でもね一つ言えることは皆劉備様が好きってことさ。その劉備様が献帝様をお支えすると決めたんだ。その想いを汲むのが推しのためなんじゃないかな」
蜀漢兵士B「た、確かにそ、そうだな」
蜀漢兵士A「そ、それが劉備様のためって言うなら」
喧騒が落ち着きを取り戻していく。
諸葛亮「元直。助かりました。こういうまとめるのはやはり貴方が適任です」
龐統「元直。推しってのはアレかい?最近巷で話題のあいどぅるとかいう」
徐庶「士元。あいどぅるじゃなくてアイドルだ。僕はね。センターを務めている張玉蘭のファンなんだ。戦が落ち着いたら一緒に観に行こう」
龐統「いや、そのアッシは。そういうのは。孔明。なんか言ってくれないかい?」
諸葛亮「元直。私は、簡麗美のファンです。今度はセンターを取ってくれると信じていますよ」
龐統「孔明ーーーーお前もかーーーーー」
徐庶「孔明、お互い推しのために頑張ろう」
諸葛亮「えぇ。ということで士元には今度あの娘たちの可愛さについて、じっくりと教えてあげましょう」
龐統「だ、誰か助けてくれる人はいないのかい?」
荀彧「確かに張玉蘭も簡麗美も良いのですが私は、翠《ミドリ》推しです。あの胸元が開かれた攻めてる大胆な衣装とあのチラリと見える脚元、それでいて口元を覆っているのにあのハスキーな歌声。どれも良いです」
龐統「荀彧ーーーーお前もかーーーー」
諸葛亮「まさか荀彧殿が素顔を隠した戦闘娘の翠推しだったとは」
荀彧「まぁ、毎日顔を合わせていますから当然推しにもなります」
徐庶「ハハッ。翠は闇夜団所属ですもんね」
荀彧「えぇ。普段と違うというのも堪りません。劉丁殿は本当に良いものを作ってくださいました」
諸葛亮・徐庶「えぇ、本当に」
龐統「誰か。誰でもいいからこのあいどぅる談義をとめてくれぇぇぇぇぇ。そしてアッシをたすけてくれぇぇぇぇぇ」
這ってでも逃げようとする龐統だったが取り囲まれる。
諸葛亮・徐庶・荀彧「どちらに行こうと言うのですか?さぁ、戦が終わったら一緒に観に行きましょう。ね?」
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