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第二恋

転校生

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「ねぇねぇ光希、新しくこのクラスに転校生が来るって知ってる?」
「知らなかった。どんな人?」
私がそのように尋ねると、友人は少し渋った顔をして…
「見た感じ不良らしいよ。光希にとっては最悪だよねー。」
私はそれを聞いて大きなため息をついてしまいました。
「はあぁぁぁ………一番嫌な転校生ね。」
「トラウマだものね。」
「あんまりその話は蒸し返さないで。」
「あ、ごめんね………。」 
「うん、大丈夫だよ。」
その時に私のクラスの担任が入ってきました。
「おーい、席につけー!」
「皆の中には知ってる人もいるだろうが、転校生を紹介するぞ。ついでに一時間目を歓迎会にする。」
クラスのみんなが「オォーーっ!」と湧きました。
「さ、入って来なさい!」
転校生が入ってきました。私はとても驚きました、彼は腕や足に傷を負っていました。しかし、私が驚いたのは傷ではなく転校生の顔に見覚えがあったからです。
「自己紹介をしてくれ。」
楸 拓海(ひさぎ たくみ)って言います、宜しくお願いします。」
「拓海って言うんだ………」
その転校生とは、昨日私が介抱してあげていた彼だったんです。
「あ……」
一瞬でしたが彼が私の方を見て小さく頷きにも近い動作で頭を下げてくれました。
「ねぇ、彼さこっちに向かって頭下げなかった?」
「………………」
「光希?」
「あ、うん、そうだね。」
そんな私達の会話をよそに淡々と歓迎会は勧められていきました。そして、席を決めることになりました。
「拓海はどこがいいんだ?」
「どこでも構いません。」
「じゃあ、光希の隣りだ。あいつなら頭も良いし面倒見も良いから大丈夫だろう。」
「解りました。あそこですね。」
「なんでわかったんだ?」
「ちょっと前に助けてもらったことがあって……………」
「そうか、じゃあ丁度いいな。」
彼が私の隣に来ました。
「宜しくお願いします……」
彼は律儀に挨拶をしてくれました。何だか昨日の彼とは違ってしおらしく、ちょっと可愛いなと思ってしまいました。しかしそれもつかの間の戯言のような考えだった事をおもい知らされる事件が起きることになります……



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