『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
11 / 659
番外編 動き出す

魔境との戦い

しおりを挟む
「中央区と北、西の中心地は真っ黒だからね。

まともな人も周りの陰にやられて、

死亡者も増えてるでしょ。

今までは多少なりとも光はあったのよ。

でも今はそれすら灯。

牧野には可哀想だけど、

その光の灯の地だけ、

悪霊退治してもらってるの」

「人食いビルに近いアーケードやその近辺にも、

点々とだけど光はあるの。

それもなくなったら本当の魔境になっちゃうでしょ」

トリアと弥生が説明した。

「このあと神様が結界を強化してくれるので、

俺達も捨て地の人が希望を捨てないでくれれば、

それに答えてお手伝いします。

牧野君もヘロヘロになっても働いてもらいます」

向井が平然と言って笑う様子に、

「なんか笑いながら恐ろしいこと言ってんだけど」

黒谷の顔が引きつる笑顔になった。

「まあしょうがないのよ。打つ手がないんだもん。

黒谷君も死んだ後は特例になってもらうよ」

「へっ? 」

素っ頓狂な声を出すとトリアを見た。

「その魂だもん。当然でしょう。

冥王だってそのつもりでいるよ」

「よかったじゃないですか。

死んだ後の就職先も決まって」

向井の言葉にトリアと弥生が笑った。

「みんなは若いからいいけど、

年取ってそんなきつい仕事ヤダよ」

「大丈夫よ。源じいは八十代だけど、

お仕事してるもの」

弥生が笑顔で言うと、

「そういえばちびちゃん連れて、

よくここに来てるもんな」

「でしょ。霊銃も訓練してるから、

ここに来るたび、

小さな負は片づけて綺麗にしてるのよ」

とトリアが黒谷を見た。

「それに、弥生ちゃんとお仕事できますよ。

田所さんと同じで、

特例もそのまま継続で働かされてますからね」

「!! 」

向井の言葉に黒谷が笑顔になる。

弥生は苦笑しながらカップに口を付けた。

「でもやっぱヤダよ。弥生ちゃんは若いけど、

俺おじいちゃんじゃん」

黒谷はむくれて珈琲を飲んだ。

向井達が笑うと、

「まあ、黒谷君が特例になる頃は、

私が消えてるかもしれないしね」

とトリアが言い、黒谷が驚いた。

「えっ? いなくなっちゃうの? 」

「死神にだって寿命はあるからね。

人間みたいに短命じゃないだけ」

口をすぼめる黒谷を見て、

「大丈夫だと思いますよ。

ニットンさんの話では、

ハンマーで叩いても、

トリアさんの核は壊せないそうですから」

「えっ? そうなの? ヤダ~

やっぱりあの汚らしい前冥王の核だから? 」

トリアが向井を見て悲鳴を上げた。

「よかったじゃないですか。

黒谷君が特例になってもトリアさんはいますよ」

「なんか複雑………」

ため息をつく黒谷に向井達は笑った。



次の日――――――――

向井と牧野、エナトとシェデム、エハがアーケードにいた。

式神課の仕事も忙しいのと、

今日は黒谷のキッチンカーに、

ディッセとアートンが一緒に出掛けて行った。

少しだけキャラクターのグッズ販売もするので、

その調査も兼ねているようだ。

アーケードでは未だ開発反対の看板があるが、

中に足を踏み入れると、

かなりの個人営業のお店が消えていた。

「ここはレギュラーチェーンは残ってるけど、

大臣が脅しをかけるような法案を通してるから、

個人の店舗は出られるうちにと、

それぞれ捨て地に移って行ったから、

今やこんな状態」

シェデムがため息まじりに話した。

「ポップアップストアの店舗はまだやっているの? 」

エハが聞いた。

「一応、予約があるうちはって言ってた。

せっかく軌道に乗ってきたのにね」

「ここはそれほど酷くないから、

俺とシェデムで除去して結界張るよ。

向井さん達は人食いビルをお願い」

エナトが言った。

「わかりました」

向井は返事をすると牧野とエハと歩き出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

処理中です...