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第2章
鐘の音Ⅱ
しおりを挟む艶鐘は咲恵を見ると僅かであるが停まった。
が、すぐにニヤリと笑う。
「もしかして、あなたが噂の?」
「噂…?」
「あらあら、ごめんね?こちらの話しよ。いたのね…あなた」
笑いを混じえながら艶鐘が独り言のように話す。
「どいつもこいつも小娘ね、人間の女は」
「質問に答えろ艶鐘!!!」
いてもたってもいられなくなった礼々が叫ぶ。
「あら、礼々ちゃん?急かす男はモテないわよ?」
「きさま……!!!!」
「つうちゃん…!!!」
友愛も我慢できずに叫ぶ。
だが目を合わせられず下を向いた。
「あらあら友愛ちゃんまで…いつもはノッてきてくれるのにね。久しぶりに会うのだからゆっくり話をしてもいい…」
「いい加減にしろてめぇ!!!!」
遂には炎心まで吼え始める。
「…んもぅ!!どいつもこいつも急かす男ばっかり!!!ん~~~良いのは身体だけね…」
ふぅと溜息をつきながらも炎心を上から下まで見る。
炎心は何故か寒気を感じた。
「そ、春を起こす者 春が君は我が主、冬が君が討ち取ったわ」
自信満々に答える。
分かってはいたが突きつけられた現実に春組は顔を青ざめ、夏組は顔を顰めた。
沈黙が流れる。
「(こいつらが…春幸を…)」
咲恵の足元からフツフツと怒りが湧いてきた。
「しばらくはあなた達の主も頑張っていたのだけど。最後はもう華麗に我が主が【心】を討ち取ったの。あの光景。お互い負けられない者同士がぶつかり合う。はぁ…思い出すだけでもゾクゾクするわ」
息を漏らしながら自分自身を抱きしめ話をする。
「おのれ…おのれよくも…」
礼々の震えた声が響く。
「どうして春が君を…冬が君は…どうして?」
友愛の今にも泣きそうな声。
「どうして…?ふふ…」
その質問を受けて艶鐘は一笑した。
そして、湧き出る怒りに身動きがとれない咲恵をチラリと見た。
「どうしてって…この小娘に聞けば分かるんじゃなくて??」
皆の視線が一気に咲恵に集まる。
「どういう…こと…?」
咲恵の怒りに混乱が交わる。
「私は…あんた達知らない…!!!」
「なぁに、冗談よ冗談♡…知らないでしょうね、あんたは」
艶鐘は咲恵に冷ややかな目線を送った。
「とまぁ、楽しいお話はここまでにしましょ!」
艶鐘の手からするりと何かが垂れ落ち、地面へと着地した。
わ
「わたくしにも時間がないの、ここでおしまいにしましょ?」
よく見ればそれは鞭のようなもので、艶鐘が腕をひらりとさせると勢いの良い乾いた音が響いた。
「なに…それ…」
友愛が怯えたようにそれを見つめる。
「ほほう…」
夏が君は一言だけ言葉を発した。
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