28 / 73
第七章
第二十七話 因縁
しおりを挟む
霧の平原まで来たケンギたちは、前に来た道を思い出しながら歩いていた。
「凄いわね。あれもこれも全部シグマさんの幻惑呪文の効果なんでしょ?」
「うん。ちょっとおちゃらけるときもあるけど、実力はきっと最強クラスだと思ってる。」
二人のシグマ賛美にヒイデはイライラした。
「ケッ、そんなに俺の仇を褒めやがって。強くて当然なんだよ、あいつは。」
「当然? どうしてだ?」
「……それが何故だか言えないんだ。漠然とめちゃくちゃ強いことだけは覚えてる。でも、俺は必ずあいつを倒してみせる。カテイ様もその方が喜ばれるはずだからな。」
その後、三人はシグマの家にたどり着いた。
「さあ、着いたよ。ここがシグマさんの家だ。」
「この中にシグマがいるのだな? それじゃあ、さっさと扉を開けねばな。」
「私は初対面だから礼儀正しくしなくちゃね。」
「じゃあ、開けるよ……。」
扉がギシギシと音を出しながら開かれる。部屋の真ん中に正座で待つシグマがいた。
「ケンギ、聞いたぞ。今日はたくさん人が来るらしいな。」
「はい、俺と一緒に旅人をやってるロウコと、あと、こいつ。ヒイデって奴。」
「ロウコです。初めまして、シグマさん。」
「フン。こんな間抜けな顔をしてる奴がお前の師匠かよ。」
「おいヒイデ! 魔物だからって口悪くていい決まりなんてないぞ!」
「うーんと、ハーピーの子がロウコちゃんで、そこの魔物がヒイデ君か。それで、魔物である君が俺になんの用があるんだ?」
「お前を殺しにきた。カテイ様の仇だ。」
「あ、殺し合い? いいよ、少し待っててな。」
なにやらタンスを漁り始めたシグマ。
「ハハハ! 敵の前で背中を見せるとは、バカだな!」
背後から攻撃を狙い突撃したヒイデ。小刀がシグマの背中に突き刺さった。
「……それで、攻撃はおしまいか?」
「な、こんなに深く突き刺してるのに、出血すらしてない……。」
確かに小刀は突き刺さっているはず。しかし、シグマは全く痛がる素振りを見せない。
「不意打ちをされたのだから、反撃させてもらう。はぁ!」
「グァァ!」
シグマの斬撃が、ヒイデの体を真っ二つに引き裂いた。
「い、いってぇ……どうする、殺すつもりか?」
死ぬのが怖いのか、泣き声で尋ねるヒイデ。しかし、シグマは予想外な返事をした。
「殺しはしない。今の君はイマイチ本気を出せてないように見えるから、もっと本気でできるときに来なさい。」
ヒイデの上下にわかれた体をくっつけるシグマ。ヒイデは混乱していた。
「なんで俺を殺さないんだ! 俺はお前の弟子を殺しちまう可能性があるんだぞ!」
「こんなところまでのこのこ案内されてる時点でもう君に殺気はないようなものだよ。ここに来る途中で何か食べたでしょ?」
「……あいつが作った焼きリンゴを食べた。食欲には勝てずに。」
「うんうん。光由来の食いもんを食えばこうなるのは自然だ。」
「光由来の食い物だと?」
「本来魔物であるなら絶対食べない物をお前は食べた。そうするとお前は魔物ではいられなくなっちまうんだ。」
「じゃあ、俺は何者で、何をすべきなんだ? 魔物でも人でもないなんて……。」
「とりあえず大酒場で仲間探しだな。いくらか人の食いもん食って旅人になった奴らがいるはずだからな。」
「……わかった。とりあえず探してみる。今度こそは必ず倒してやるからな。」
「おう、次はこっちも本気でいくからなー。」
ヒイデは一足先に大酒場へと戻っていった。
「凄いわね。あれもこれも全部シグマさんの幻惑呪文の効果なんでしょ?」
「うん。ちょっとおちゃらけるときもあるけど、実力はきっと最強クラスだと思ってる。」
二人のシグマ賛美にヒイデはイライラした。
「ケッ、そんなに俺の仇を褒めやがって。強くて当然なんだよ、あいつは。」
「当然? どうしてだ?」
「……それが何故だか言えないんだ。漠然とめちゃくちゃ強いことだけは覚えてる。でも、俺は必ずあいつを倒してみせる。カテイ様もその方が喜ばれるはずだからな。」
その後、三人はシグマの家にたどり着いた。
「さあ、着いたよ。ここがシグマさんの家だ。」
「この中にシグマがいるのだな? それじゃあ、さっさと扉を開けねばな。」
「私は初対面だから礼儀正しくしなくちゃね。」
「じゃあ、開けるよ……。」
扉がギシギシと音を出しながら開かれる。部屋の真ん中に正座で待つシグマがいた。
「ケンギ、聞いたぞ。今日はたくさん人が来るらしいな。」
「はい、俺と一緒に旅人をやってるロウコと、あと、こいつ。ヒイデって奴。」
「ロウコです。初めまして、シグマさん。」
「フン。こんな間抜けな顔をしてる奴がお前の師匠かよ。」
「おいヒイデ! 魔物だからって口悪くていい決まりなんてないぞ!」
「うーんと、ハーピーの子がロウコちゃんで、そこの魔物がヒイデ君か。それで、魔物である君が俺になんの用があるんだ?」
「お前を殺しにきた。カテイ様の仇だ。」
「あ、殺し合い? いいよ、少し待っててな。」
なにやらタンスを漁り始めたシグマ。
「ハハハ! 敵の前で背中を見せるとは、バカだな!」
背後から攻撃を狙い突撃したヒイデ。小刀がシグマの背中に突き刺さった。
「……それで、攻撃はおしまいか?」
「な、こんなに深く突き刺してるのに、出血すらしてない……。」
確かに小刀は突き刺さっているはず。しかし、シグマは全く痛がる素振りを見せない。
「不意打ちをされたのだから、反撃させてもらう。はぁ!」
「グァァ!」
シグマの斬撃が、ヒイデの体を真っ二つに引き裂いた。
「い、いってぇ……どうする、殺すつもりか?」
死ぬのが怖いのか、泣き声で尋ねるヒイデ。しかし、シグマは予想外な返事をした。
「殺しはしない。今の君はイマイチ本気を出せてないように見えるから、もっと本気でできるときに来なさい。」
ヒイデの上下にわかれた体をくっつけるシグマ。ヒイデは混乱していた。
「なんで俺を殺さないんだ! 俺はお前の弟子を殺しちまう可能性があるんだぞ!」
「こんなところまでのこのこ案内されてる時点でもう君に殺気はないようなものだよ。ここに来る途中で何か食べたでしょ?」
「……あいつが作った焼きリンゴを食べた。食欲には勝てずに。」
「うんうん。光由来の食いもんを食えばこうなるのは自然だ。」
「光由来の食い物だと?」
「本来魔物であるなら絶対食べない物をお前は食べた。そうするとお前は魔物ではいられなくなっちまうんだ。」
「じゃあ、俺は何者で、何をすべきなんだ? 魔物でも人でもないなんて……。」
「とりあえず大酒場で仲間探しだな。いくらか人の食いもん食って旅人になった奴らがいるはずだからな。」
「……わかった。とりあえず探してみる。今度こそは必ず倒してやるからな。」
「おう、次はこっちも本気でいくからなー。」
ヒイデは一足先に大酒場へと戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる