旅人ケンギ

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第九章

第三十四話 作戦

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 「おーいケンギ、いるかー?」

早朝、ケンギの家の扉をノックする者が現れた。ケンギが扉を開けると、そこにはエージが立っていた。

「キンテイのことか?」
「察しがいいな。最近の四天王ラッシュでわかったのか?」
「いや、昨日リーゼさんから聞いたんだ。トールさんはソキにいるって。」
「とりあえず、大酒場に来てくれ。今回の依頼で呼ばれてる妖精が一人いるんだ。そいつと一緒にソキへ向かってもらう。」
「妖精って、戦いが苦手なんじゃないのか?」

妖精は大きさがヒトの手くらいしかなく、本来戦闘には向かない。戦いに呼ばれる妖精とは、どのような者なのか。ケンギは不思議に思った。

「まあ、その妖精が戦えるかどうかは来てみればわかるさ。
とにかく、ケンギもロウコも早く来いよ!」

エージは話を終えると、大酒場へと走っていった。

「ケンギ君、私はもう準備できてるわ。さあ、大酒場へ行きましょ?」
ケンギはロウコが全ての荷物を準備しているのを確認した。
「よし、準備万端だな。大酒場へ向かおう。」

二人は大酒場へと向かった。
 この日の朝も、旅人たちがほとんどいなかった。静寂に包まれた空間の中、二人はエージに話しかけられた。

「二人とも来たか。じゃあ、今からあっちにいる妖精と話をして、共にソキへと向かえ。」
「エージはキンテイとの戦いに呼ばれてるのか?」

ケンギの問いに、エージは首を横に振って答えた。

「いいや、呼ばれてない。あれから何度か金ランクが苦戦してるところを助けてるんだがなー。トールじいさんにとって俺はまだまだなんだろうな。じゃ、またなー。」

ケンギたちはエージを見送ると、妖精のいる場所へ移動した。
 その妖精はヒトと並べても違和感がないほどに大きい。ケンギは予想外の姿に驚いていたがロウコは平然としていた。

「貴方が今回の戦いに呼ばれた妖精さんですか?」
「ん? あんたたちがカテイとスイテイを倒したとかいう奴かい?」
「はい。俺はケンギで、こっちがロウコです。」
「うん、どうやらあんたたちで間違いないようだね。私は妖精の【ダイミ】。これから協力することになるからよろしくね。」
「「よろしくお願いします。」」
「ダイミさんって、妖精なのに凄くでかいんですね。」
「私は、世にも珍しい【戦闘タイプ】の妖精なの。もっとも、先天的じゃなくて後天的になるものだから、努力すればどの妖精の子でも戦闘タイプになれるのだけれどね。」
「なるほどー。妖精にも色々なタイプがあるんですね。」
ケンギたちが会話をしているところへトールがやってきた。

「すまない。少し遅れてしもうた。」

そこら中が傷だらけになっている。

「と、トールおじさん、大丈夫ですか!? 今すぐラウンラかけます!」
「おぉ、これは癒される……ありがたやありがたや。」

無事回復したトールにケンギが尋ねる。

「さっきの傷、キンテイにつけられたものですか?」
「その通りじゃ。ケンギ、ロウコ、お前たちはやっぱりこの依頼受けなくても良い。」

トールはそう言うが、ケンギたちは納得がいかない。

「トールさんが勝てない程強いからやめておくべきだってことですか?」
「違う。奴は今こそ地の利を得ているが、何もあそこしか戦える場所がないわけではない。つまり、簡単に倒せるところに誘導してしまえばいいんじゃ。誘導はわしや妖精たちがするから、君たちにはそこで奴を倒すポジションについて欲しいんじゃ。」
「ソキの森は広いですがどこまで誘導するんですか?」
「ソキの戦場という場所じゃ。ほれ、ここじゃよ。」

広げられた地図に、トールが指を差した。ほとんどが木に包まれているソキだが、この場所だけは木が生えていないようだ。

「ここなら木がないから、火の呪文が使えますね。」
「火さえ使えてしまえば一網打尽じゃ。……そろそろ戻らねばな。よいか! ソキの戦場に来るんじゃぞ!」

トールはそう言い残すと、急いでソキの森へ飛んでいった。

「ダイミさん、俺らをソキの戦場に連れてってください。」
「いいわよ。必ずあの暴食野郎を成敗してやりましょう。」

三人はソキの戦場へ急いだ。
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