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第十一章
第四十五話 弱点
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日が傾き、全体にオレンジ色が塗られたような草原を歩くキンテイ。その後ろを三人が追っている。
「ん? 君たち、俺についてくるのかい? 悪いけど家は貧乏だから来ても何も無いからね。」
「キンテイさんの家はどこにあるんですか?」
「カシの国にある。まあ、オークだから当然っちゃ当然だがな。」
「話を聞かせてくれるだけでいいです。きっと、何かの役に立ちますから。」
「うーん、君たちはまだ俺を疑ってる感じかな? まぁ、俺の本性なんざ酷いもんだし……疑われてもしょうがないか。」
「本性?」
キンテイはあまり話したくなさそうな顔をしたが、ケンギたちの目を見て話し始めた。
「俺はな、昔、魔物を助けてやったときがあったんだが、その魔物が人を襲ったときがあったんだ。それ以来のけものにされてる。食事は毎回闇由来の魔物肉とそこら辺の雑草。こんな生き様なのに旅人にもさせてもらえない。」
「……キンテイさんはそんなに辛い生き方をされていたのですね。」
しばらく沈黙が続く。これ以上は話したくないというキンテイの気持ちが、三人にも強く影響を与えていた。
しばらく歩き太陽がすっかり沈んでしまった頃、漸くキンテイの家にたどり着いた。
「ごめんね、ちょっと遠回りになっちゃったけど、大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でした。」
「それじゃあ、色々と話そうか……。」
キンテイの家に上がったケンギたちは、早速話し合いを始めた。まずはヒイデが尋ねる。
「単刀直入に聞きます。キンテイさんはもし今よりも素晴らしい生活が与えられるなら、それを提供してるのが魔物でも受け取りますか?」
キンテイは貯めた雨水を飲みながら答える。
「……しちゃうかもしれないな。こんな生活から脱却できるのなら、魔物でもなんにでもなってやる。」
「それじゃあ、俺たちの知ってるキンテイは、恐らくあなたの未来の姿です。」
キンテイは顔をしかめる。
「……未来の俺は一体どうなっているんだ?」
「未来のあなたは、たくさんの人に迷惑をかける恐ろしい魔物になっています。」
それを聞いたキンテイの目に涙が浮かぶ。
「……本当なんだな? それ。」
「はい、本当です。そのために、キンテイさんの弱点を聞かせていただきたいです。私たちの時代に戻ったら、必ず止めます!」
涙を流すキンテイは、少し考えた後に弱点を暴露した。
「……金目のものと美味い飯には目がないな。魔物になってもそれだけは変わらないだろう。」
キンテイがそう言うと、ケンギたちの体が輝き始めた。
「こ、これは一体……?」
「多分時間切れだ。キンテイさん! 必ず未来のあなたを倒します!」
「あぁ。頼んだぞ。」
三人が完全に光に包まれると、そこには何も無くなっていた。
「ん? 君たち、俺についてくるのかい? 悪いけど家は貧乏だから来ても何も無いからね。」
「キンテイさんの家はどこにあるんですか?」
「カシの国にある。まあ、オークだから当然っちゃ当然だがな。」
「話を聞かせてくれるだけでいいです。きっと、何かの役に立ちますから。」
「うーん、君たちはまだ俺を疑ってる感じかな? まぁ、俺の本性なんざ酷いもんだし……疑われてもしょうがないか。」
「本性?」
キンテイはあまり話したくなさそうな顔をしたが、ケンギたちの目を見て話し始めた。
「俺はな、昔、魔物を助けてやったときがあったんだが、その魔物が人を襲ったときがあったんだ。それ以来のけものにされてる。食事は毎回闇由来の魔物肉とそこら辺の雑草。こんな生き様なのに旅人にもさせてもらえない。」
「……キンテイさんはそんなに辛い生き方をされていたのですね。」
しばらく沈黙が続く。これ以上は話したくないというキンテイの気持ちが、三人にも強く影響を与えていた。
しばらく歩き太陽がすっかり沈んでしまった頃、漸くキンテイの家にたどり着いた。
「ごめんね、ちょっと遠回りになっちゃったけど、大丈夫だった?」
「はい、大丈夫でした。」
「それじゃあ、色々と話そうか……。」
キンテイの家に上がったケンギたちは、早速話し合いを始めた。まずはヒイデが尋ねる。
「単刀直入に聞きます。キンテイさんはもし今よりも素晴らしい生活が与えられるなら、それを提供してるのが魔物でも受け取りますか?」
キンテイは貯めた雨水を飲みながら答える。
「……しちゃうかもしれないな。こんな生活から脱却できるのなら、魔物でもなんにでもなってやる。」
「それじゃあ、俺たちの知ってるキンテイは、恐らくあなたの未来の姿です。」
キンテイは顔をしかめる。
「……未来の俺は一体どうなっているんだ?」
「未来のあなたは、たくさんの人に迷惑をかける恐ろしい魔物になっています。」
それを聞いたキンテイの目に涙が浮かぶ。
「……本当なんだな? それ。」
「はい、本当です。そのために、キンテイさんの弱点を聞かせていただきたいです。私たちの時代に戻ったら、必ず止めます!」
涙を流すキンテイは、少し考えた後に弱点を暴露した。
「……金目のものと美味い飯には目がないな。魔物になってもそれだけは変わらないだろう。」
キンテイがそう言うと、ケンギたちの体が輝き始めた。
「こ、これは一体……?」
「多分時間切れだ。キンテイさん! 必ず未来のあなたを倒します!」
「あぁ。頼んだぞ。」
三人が完全に光に包まれると、そこには何も無くなっていた。
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