この星では人間が下等種族だったので二代目神様に任命された俺が神の奇跡で導こうと思います。けれども誰も神を信仰していないため力が出せません

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事後報告

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 ワイワイワイ……

 普段なら太陽が沈むと同時に寝静まるところだが今日は特別。

 ハヤトもやるわね。まさか川を流しちゃうなんて。地形を変えるほどの力をいっぺんに放出するとなると今のハヤトでは気絶するのも当然ね。

 みんなは思い思いに踊ったり笑ったりしている。手拍子や、口笛だけの簡素なハーモニーだが、楽しみに溢れた音。お酒などはもちろんないので水で乾杯している。それでもみんな幸せそう。

(いやー。これからは水には困らないな)

(まさかこんなことが起こるなんて! これがキセキっちゅうやつみたいだぞ)

(ハヤトさんはどこにいるんだ?)

 みな興奮した口振りで話し合っている。ふふふっ。

「アスカ嬉しそうだな」

 澄んだ水を片手に持ち、ノアが話しかけてくる。

「そうね。とても楽しい宴ね。そういえば、ハヤトはどうなってるよ。まだ気絶してるの?」

「さっき見に行ったときはまだ寝ている感じだったな」

「みんなハヤトと話したいって言っているのよねー」

「そうなのか。もう一度私はハヤトのところに行ってみようかな」

 そう言って小走りで家へと向かうノア。

 ノアとハヤトはちょっと怪しいと思っているのよね……

「おーアスカさん、そこにいましたか! いやー今日も本当に美しい格好ですな」

「あら、ダンくんのお父さん。こんばんは」

 ダンくんはこの村で一番オシャレを分かっている子。お父さんもダンくんに似てファンキーな感じ。見た目もすごく若い。立派な髭を口周りに蓄えて長い髪を後ろで一つに束ねている。

「アスカさんが来てから、本当に毎日が楽しいんですわ。ところでハヤトさんはどこにいらっしゃる感じですかな?」

「あー、ハヤトは今ノアの家で寝ています。まったくだらしないんだから」

「あっはっはっは。そんなことを言ったらハヤトさんがかわいそうじゃないですか。話しは変わりますが、アスカさんとハヤトさんは子どもはいないのですか?」

「どういうこと?」

「え!? だってお二人はつがいじゃないのですか?」

 つがい??

「!?」

「私とハヤトはそんなんじゃないですよ!」

 何言っているの、このダンディーおじさん。私とハヤトはそんなんじゃ……ないよね?

 「そりゃあ失礼。お似合いでしたので。ではお二人はどういう関係なのですか?」

 豪快に笑うダンのお父さん。

 お似合い……? 私とハヤトが!? 

 そもそも私たちの関係ってなんなんだろう?

「えーっと……弟子と師匠かな?」

「なんと!? ではアスカさんがお師匠さんなのですか!?」

 やらかしちゃったかも……

「おいっ、みんな! 聞いてくれ」

 (なんだなんだ……?)

 村人がみんな集まってくる。

「アスカさんはなんとハヤトさんのお師匠さんだそうだ。」

 (えー!?)

 羨望の眼差しで私を見る。

 や、やばい、ど、ど、どうしよう。みんなが見てる。

「そ、そうね。私がハヤトを育てたって言っても過言じゃないわ」

(おおおおおおおおおおおお!!!!!)

「そ、それじゃあ川を作ったのも?」

 ……もういくしかない!

「ええ。私の指示よ」

(うおおおおおおおおお!!!!)

 ごめん……ハヤト……

************************
「ハヤト大丈夫?」

 朝からずっと目を覚まさない。

 もう夕方なのに……

 最初の頃に比べると呼吸は落ち着いている。

 倒れた時は本当に焦った。呼吸が荒くて、なんかこのまま消えてしまいそうな感じ。なんなら少し体が透けていたような気がする。

 ハヤトはいつかこの村からいなくなるのかな。

「ちょっと、さみしいな……」

 ハヤトのぬくもりを感じてみたい。

 ……

 ハヤトって意外と大きい。それに固い。

 アスカとつがいじゃないんだよね……

 外の騒がしさとは対照的に心臓以外何の音もしない。

 「……」

 これは私だけの秘密

******************************
 チュンチュン……

「朝か……」

 全身が重い。それに頭も痛い。かすかに残っている記憶では地形を変えて川を作ったはず。みんなの家は無事だっただろうか。

 体のだるさで気づかなかったが、なんかのっている? 膝に温かみを感じる。

「うおっ」

 ノアが俺をベットにして寝ている。

 起きるまで一緒にいてくれたんだな。

「ありがとな。ノア」
 
 無意識に、頭を撫でてしまっていた。花の香りがする。何かこれはあれだな。

 ネコを撫でているみたいだな。

 眉がピクピクがしてる。あっ、目が合った……

「あっ、ハヤト、おはよー」

 寝ぼけている感じのノアもかわいい。

「おはよう、ノア」

 どうしたのだろう? みるみる顔が赤くなっていくな。

「!?」

 勢いよく起き上がるノア。何か周りを確認している。

「ハヤトー!! 大丈夫―!?」

 アスカの声が近づいて来る。

「じゃ、じゃあ私はいくね。またね」

 そそくさと出て行くノア。

 入れ違いに入ってくるアスカ。なんか不思議な顔をしている。

「ハヤト。あんたいきなりやり過ぎよ!」

「開口一番にどうした? 俺はもう元気だぞ」

「神は確かに何でも出来るわ。それこそイメージできる能力は全部実現可能よ。ただ、いろいろ制約などがあるのよね」

 そう言うとアスカはいろいろと説明してくれた。

 神にも格があって、信者の数に応じて格が上がっていくらしい。そして格によってためられるパワーにも上限があること。そして起こせる奇跡によって消費エネルギーが変わってくることも教えてくれた。

 いろいろな説明をしている時もアスカの顔が気がかりでなかなか頭に入ってこない。ずっとバツが悪そうな顔をしている。

 なんだろう。

 嫌な予感がする。

「ちょっと、ハヤト聞いてる?」

「あ、ああ、聞いてるぞ。力の使いすぎには気をつけろということだろ?」

「そうよ! そしてもしも限界を超えて使った場合は……」

 急に声色を変え、表情も真剣な顔になるアスカ。

「ど、どうなるんだ?」

「消えてしまうのよ」

「……そ、それは死んでしまうということか?」

「そうではないわ。強制的に天界に召されてしまうのよ。それに次、下界に降りれるのは多分100年以上先になるわ」

「なるほど。強制離脱するともうこの時代の世界には戻ってこれないんだな」

「そういうことよ。だから自分で制御できる範囲でしっかり考えて力は使いなさいよ」

「わかった、わかった。さてと、じゃあ」

 軽く伸びをして立ち上がる。

「ちょ、ちょっとハヤト。どこへ行くの?」

「川の様子を見てくるよ」

「そ、そ、それはまた今度でいいんじゃない? ほら、昨日倒れたでしょ。 今日はゆっくり家で休みなよ」

 アスカの声が上擦っている気がする。

 やはり何か隠しているな。

「いや、もう大丈夫だ。ちょっと行ってくる」

「ちょ、ちょっとハヤト……」

 足を掴んでいるアスカを振り切って外へ出る。まぶしい。

「おおーハヤトさん。お体の調子はもう大丈夫で?」

 今までと変わらず村人たちは接してくれている。そして表情は明るい。

「昨日できた川を見に行きたいのだが……」

「ああ! アスカ川ですか。それならそこから村を出てすぐ見えてきますよ!」

 ん? 聞き間違いか?

「アスカ川……ですか?」

「そうです! 昨日みんなで決めたんですよ。ハヤトさんはアスカ様のお弟子さんだったんですね」

 ほう……

 やってくれたみたいだな。

「そうですね。素晴らしいお師匠様ですよ」

 挨拶もそこそこに部屋へと舞い戻る。

「アスカ様はいらっしゃいますかー?」

 いた。部屋の隅で子犬のように震えている。

「あのね、ハヤト、本当にごめんね。なんかいろいろあったのよ」

 目を泳がせながら講釈を垂れながすアスカ。

「ほー」

「私も最初は否定しようと思っていたのよ。でもね、みんなの目があってパニックになっちゃって……」

「ほー」

「ねえ、そんな般若みたいな顔で近づくのはやめた方がいいわよ。あの、なんで拳をにぎっているの? やだ、助けて。ギャー! カミサマ―!!」



「まぁ、自分の名前を付けたいわけではないからな」

「じゃあ、あんなに強くげんこつしなくてもいいじゃない!」

 頭を押さえたままアスカが答える。

「だとしてもアスカは調子に乗りすぎだ」

 まぁ、みんなで決めた名前を変えるような無粋なことはしたくない。それにしてもさっきの村人たちの顔はみんな希望に満ちあふれていたな。明日に期待している目。

 この顔が見たかったんだ。

 俺もつい顔がほころぶ。

 川も出来て、ジャガイモもある。また力が溢れてきているから、まだまだ奇跡を起こせる。

 この村はもっとよくなるぞ。

 俺は再びつぶやく。

「さあ、奇跡をみせてやろう」
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