この星では人間が下等種族だったので二代目神様に任命された俺が神の奇跡で導こうと思います。けれども誰も神を信仰していないため力が出せません

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アトラスカ村

アトラスカ村

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 わいわいわい……
宴の熱気と混乱が渦巻く中、好奇と畏怖が混じった目が来訪者に向けられる。
それもそのはず。アトラスカが誕生して以来の珍客、辛酸をなめ続けさせられたであろう獣人が目の前にいるのだからな。
俺も目の前の獣人を見る。

ノアと同い年くらいだろか。顔は完全におびえきっているが、可愛い女の子だ。ぴょこぴょこと動く大きな耳を内側に折りたたみ尻尾も内側にしまわれている。丸みのある小さな顔に、ふわふわした髪が短くまとめられその顔は、白い肌によく映え、柔らかな印象を与えている。大きな瞳には猫のような愛らしい。

ケモ耳の女の子はチラチラとカインの方を見ている。それもそうか。すごい顔で睨み続けているからな。
カインがいつもより大きく見える。この世界は栄養が行き届いていないのかな? 身長はそんなに大きくない。

「えっと……、君の名前は何と言うんだ? それに何の目的でここに来た?」

初の獣人との接触を試みる。言葉は通じるのか?

「き……」

き?

「き、キサマらに名乗る名前などないの! わ、ワレは猫人族のムギなの!」

なの? ってか名前言ったよね?

「ムギ殿か、えっとムギ殿は一人かな?」

「キサマたちに話す理由がない! それより何でワレの名前を知ってるの?」

なるほど残念な子だ。

その後も何を聞いても意思の疎通が出来ない

このままでは話しが進まないな。仕方ない。あの手を使ってみるか。

そっとダンに耳打ちする。ダンがニヤリと笑いどこかへかけ出す。

「下賤な輩と話す口など持っていないなの!」

ずっとこんな調子。獣人ってそうなのか? まぁいい……

そのとき、両手にビールジョッキを抱えたダンが帰ってきた。


「まぁ、ムギちゃん、ここに来てから何も食べてないし飲んでいないだろう。キューっと飲んじゃって!」

アトラスカ名物ビールを手渡す。

「人間どもの施しなど受けないの! ん? これは何なの? 見たことのない液体なの、まさか毒?」

怪訝そうな顔をする長耳少女。

「これは毒じゃあないよ。ほら」

そう言って、ダンと一気に喉に流し込む。

ぷはー!

やはりビールは喉ごしだよな。

ごくり

唾を飲み込む音が聞こえる。

恐る恐るビールに口をつける長耳少女。

ペロっ。

「にっがーーーーーい!! なの! なんなの? ごえっ、おえっ。これは毒なの! キサマらは何を笑っているの!」

「はははっ。この飲み物はチビチビじゃなくてググッと飲むんだよ。まぁお子様の口には合わないかも知れないがな」

挑発的に笑いながらムギに話しかける。

「むぅ……、笑われたままではワレの誇りが傷つくの! いいなの、この挑戦受けて立つなの!」

そう言うやいなや立ち上がり手を腰にやるムギ。そしてそのポーズのまま勢いよくビールを飲み込む。

ぷはーーーーっ!!

満月に長い耳が映える。

「うんまいなの!! 何これなの。さっきは苦いだけだったのにこの喉を通るときのシュワシュワ。そしてその後お口に広がる何ともいえない快美感。たまらないなの!」

ここで串に刺した鳥肉、つまり焼き鳥を渡してみる。

「ささっ、ムギ殿。これを食べた後に飲んでみな。飛ぶぞ」

「なんなの、その棒きれに刺さっているものは……」

串から直接口に入れるムギ。

「ん~~!!!」

声にならない声を出しながら食べる手が止まらないムギ。

ちょろいな……

*******************************
わいわいわい……

「このヤキトリというのをあと10本持ってくるなの! あっ、ビールもおかわりー!」

尻尾をブンブン振りながら村人におかわりする長耳少女。

馴染んでいるな。

ムギが来て1時間。すっかり警戒を解いて全力で飲食を楽しんでいる。

今なら話しを聞けるかな。

「ムギ殿どうですが、私たちの村は」

ビールのおかわりを渡しながらムギの隣に座る。

「とても楽しいなのー! それにこんなに美味しいものを食べたのは初めてなの」

大満足といった様子でムギが答える。

「それはよかった。ところでムギ殿はどうしてここに来たのですか?」

「迷子なのー! 美味しそうな匂いにつられて気づいたら知らない土地に来てしまったなの。あとムギ殿はではなくムギと呼ぶなの」
簡単に話したな。

一人はぐれた感じか……

ということはやはりここら辺には集落はここ以外にないのだろうな。安心を得るためもう少し話しを聞きたいな。

「じゃあ、ムギ、ムギの村はここから遠いのか?」

「すごく遠いの。多分10回以上寝ないと戻れないの」

「それは遠いな。どうやってそんな遠いところからここを見つけたんだ?」

「それは簡単なの。私の鼻は美味しい匂いを見逃したりはしないの」

なるほど。

最初のムギの様子を見るに、獣人と人類の隔たりは相当大きいに違いない。この差別意識は根強い。だからこそ、この集落が見つかず平穏に暮らせるのであればそれもいいのかもしれない。共存は今の段階では難しそうだ。

「そうか……、他の仲間がムギを探してここに来る可能性はあるか?」

「さっきからなんなのー? 質問ばっかり。ところで名前を聞いていなかったなの。名前は何なの?」

話しをそらされた気もするが確かに質問攻めにしてしまったな。

「すまない。俺の名前は神木ハヤト。神様です」

しれっと神アピールする俺。イカス。

「神様? 変な名前なの。それってなんなの?」

ふっ。知ってたさ。俺はムギに神様の説明をしてあげた。

「なるほどなの。私たちの村のガイア様みたいなの」

「ガイア様?」

「そうなの。2年前に私たち獣人たちの村に現れたの。そういえばハヤトたちと似ていたかもなの」

どういうことだ? 

「もう少しガイア様について教えてくれ」
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