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推し作家さま、待ってください!
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お先に失礼します、と声をかけて、定時とともにタイムカードを切る。地上へ降りるエレベーターの到着が待ち遠しくて、つい小さく足踏みした。帰宅ラッシュの満員電車に揺られるのも、扉に挟まれるのも、なんの苦でもない。予定通りにきっちり家に帰れればそれでいい。
最寄り駅にたどり着くと、小走りで俺の城、すなわちアパートへと向かう。玄関扉を乱暴に開き、手洗いうがいをばっちり済ませた後、スーツを着替えるのもじれったいと言わんばかりに、そのままスマートフォンを手に取る。
夜の七時を時計の針が指した。お待ちかねの“投稿時間”なのだ。
「き、来た……! 最新話更新されたっ……」
創作小説投稿サイト。そこで毎週金曜日の七時に投稿される小説。最新話のタイトル文字が目次に追加され、はやる気持ちを押さえてタイトルをタップし、縦にスクロールする。確か前回は、ようやく意中の相手と結ばれた主人公が玄関前で相手といちゃついているところに、主人公の兄が突然やってきて……という不穏な終わり方をしていたはずだ。両者結ばれてハッピーエンドでひと段落つくのかと思いきや、急な展開に「どうしてここで終わるんだ」と思わず自宅で声を上げてしまったのが一週間前。それから今日に至るまで、じれったい思いを内に抱えながら過ごしてきたのだ。
ソファに横たわりながら、一文一文字を丁寧に読み進めていく。緻密な心理描写、衝撃の事実の発覚。呼吸する時間ももったいないと思うほどに緊張しながら読み進め、そしてスクロールバーが最下層までたどり着いた。
「うっわ……」
本日もいいところで話が終わってしまった。まさか初期から綿密に張られていた伏線が、怒涛の回収を迎えると思っていなかった。長い間片思いをこじらせ、ようやく幸せになれたのに、こんな試練を与えるなんて。
だがそれがいい。そもそもこの話を読み始めた時から、王道な展開に見えてこのカップルは一筋縄ではいかないだろうことは目に見えていた。思いを告げ合って「はい、ハッピーエンドです」だなんて似合わない。書き手のそんな強い思いが、ありありと伝わってくる。
濃厚な「萌え」を摂取し尽くし、しばらく呆然としていた。頭の中がふわっふわで、とろけているみたいだ。だが数分ののち、ハッと飛び起きる。急いでSNSを立ち上げ、目当てのアカウントへ一直線だ。
アカウント名は「エクレア花吹雪」。最新話投稿しました、の一言投稿とURL。投稿して間もないにも関わらず、反応が多い。それはすなわち、同士の多さを物語っている。興奮冷めやらぬまま指を叩き、誤字が無いかどうかを再三確認して、花吹雪さんへの返信を送った。
『最新話読みました。これまで気になっていた描写の真意が一気に紐解かれて、さっすが花吹雪さんですね! ますます今後が楽しみです』
「はぁ~、堪らん。ボーイズラブ最高っ……」
吾妻礼央。27歳。社会人5年目。
ボーイズラブをひたすら読み漁るのが大好物の、年季の入った腐リーマンだ。
――腐ってしまったきっかけは、十年近く経った今でも鮮明に覚えている。
当時高校生だった俺は、小説や漫画や映画……とにかく“物語”が大好きで仕方がなかった。若さとは恐ろしいもので、時には徹夜してまでも、数多くの物語を読み込んだ。嫌なことがあっても、没頭先がある。自分の違う世界がある。異なる世界に飛び込める。それは、すごく幸せな逃げ道だった。
そんな俺は次第に、ただ作品を楽しむだけでは物足りなくなった。感想を語り合いたくなったし、新しい作品を発掘するための情報源が欲しくなった。ついには作品を語り合う同士が集まるWebサイトで、考察や感想を読む書き込むことが、新たな生活ルーティンの一環となった。趣味に没頭することに意義を見出していたある日、いつものように訪れたサイトで何気なく見つけたとある書き込みが、間違いなく人生の分岐点だった。
有名な映画の男主人公と、その相棒役である男の名前が連呼されている。だが、添えられている単語がよく分からない。スパダリって、なに。抱擁攻めって何。受けが狙ってるようにしか見えない……何を?
興味を惹かれ、なんの疑いもなく綴られた書き込みを読み進めた。これだけの人が集まっているんだ。さぞ面白い話題に違いない。分からないものは調べるに限る。極めてピュアで純粋な気持ちで、検索バーに分からない単語を打ち込んでいき……。
(それがまさかの、非公式なBLカップリング語らい、だったんだよなー)
昨晩の残り物を適当にレンジで温め、箸でつまみながら当時のことを思い返す。
なんで、男同士が。
当時の俺は雷を受けたようにビリビリと衝撃を受けた。けれど、気がついたらどんどんとそっちの世界を深掘りし続けてしまった。怖いもの見たさでずるずると、そのまま二次創作のBLを漁り、立派に腐った俺は、以降ひっそりとBLを愛で続けている。昔は二次創作ばかり読み込んでいたが、ここ数年はもっぱら一次創作ばかりだ。そんな中、ダントツお気に入りの作家となったのが、毎週金曜日の更新を楽しみにしてならない「エクレア花吹雪」さんなのだ。
箸を置いてスマートフォンを手に取った。再びSNSを開いてみれば、花吹雪さんのアカウントは、数分前とは比べ物にならないくらいの大反響だった。概ね、俺と同じような感想を抱いている同士が多いらしい。うれしい悲鳴やら、耐えられない興奮を綴る仲間たちの感想に、うんうんと頷きながら同意を示すスタンプを送った。
そうしている間に、気がつけば俺のアカウントにコメントがあった旨を伝える通知が来ていた。はやる気持ちを抑えて確認すると、やはり花吹雪さんだ。先ほど自分が送ったコメントに、「ありがとうございます」と一言返信を送ってくれたようだ。そっけないようにも思えるが、毎回まめにコメントを返してくれるSNS上の同士を、憧れの存在でありながら、同時に好ましく思っていた。
◆
「しまった……」
本日の日替わり定食をプラスチックトレイの上に乗せたまま、うっかりしていた自分を責めるような残念な言葉が、思わず口からこぼれ落ちた。
数日前から始動した全部署規模で横断する新規プロジェクト。俺と言えば課長の指示のもと、手持ちの業務を洗い出し、俺個人から引き剥がせそうな業務を仕分け、別のメンバーに振り分けるための指示書を作成していた。これがなかなか手こずる作業であり、何気なく日々の定例と化している業務なんてリストにあげ忘れがちで、忘れている業務の数々を後輩に突っ込まれたりしていた。恐らくは自分にも幾つかの業務が降りかかることが想定される後輩は、俺の振り分け作業が他人事ではないのだろう。
細々とそんな作業を行いながらも、プロジェクトの事前準備や、もちろん通常業務もこなしていかなくてはならない。緩やかな繁忙を迎えつつあるこの頃、昼明けからの打ち合わせを控えていた俺は、合間を縫ってそそくさと社内食堂へ駆け込んだわけだったのだが。
社食はいつもよりも大賑わいだった。よくよく見渡せば、スペースの半分が立ち入り禁止区間になっている。そういえば総務からお知らせメールを受信していたような。確か突発的な機器の不調による修理工事により、社食の一部区間を数週間封鎖する旨。だからここ最近は、外回りのついでに外で食べるか、コンビニ弁当をデスクで食べるように気をつけていたというのに。今日は忙しいからパッと食堂で、と何も考えずにふらふらと足を運び、いつものように購入してから席を取ろうとしたのが悪かった。見渡す限りの人、人。全席満員御礼だ。
忙しさに負けて細かいことが頭からすっぱ抜けていた。時すでに遅し。俺の両手には日替わり焼き魚定食がある。ということは、なんとかして空いている席を探さなくてはならない。あたりを見渡し、丁度よく空席があるかと思えば、注文前にきちんと席を確保している社員の手帳やハンカチで予約されていて、思わずため息が漏れた。知り合いがいれば相席してもらうなり交渉もできるのに、今日に限って顔見知りが一人として見当たらない。
仕方ないから二人席を使用している、同年代くらいの人に話しかけて交渉してみるか。初対面の相手に尻込みしない性分なのは自慢でもある。キョロキョロと辺りを見渡すと、目の端に一際目立つ人影が入りこんだ。窓際のテーブル席。常々話してみたいと思っていた男が一人。断られたとしてもその時だし、これから仕事で関わることも多くなるのだから、とそちらへと足を進めた。
相手の目の前に立ち、声をかける。
「こんにちは、伊勢原さん。相席いいですか?」
「……」
できるだけ腰の低い態度で。それでいて過度に畏まらずに。
伊勢原洋一。この間、新規プロジェクトのキックオフミーティングで見かけたぶりだ。
この男、部署のフロアが異なることもあり、会話する機会はほとんどない。そもそも俺とは違い、彼は中途入社で半年前にやってきた男だ。噂ではかなり仕事ができる、寡黙でまじめな奴、という評価らしい。けれど顔は広くないため、あまり知り合いもいないようだ。俺としては恐らく年齢の近い同僚だし、これからプロジェクトで密に関わっていくだろうから、会話くらいはしておきたいと思っていたのだが。
(……なんだ、無反応?)
伊勢原は俺の声かけに、過度なほどビクッ、と両肩を震わせた。数秒の硬直の後、のろのろと顔をあげた伊勢原は俺と視線を合わせると、大きく目を見開いて再び固まった。箸で摘んだブロッコリーがポロリと皿の上に転げ落ちた。
「あの、伊勢原? さん?」
「っ、あ、ああ……どうぞ」
二度目の呼びかけに、今度は小さく肩を揺らした伊勢原は、机の上のトレイを自身側に寄せ、俺のスペースを作ってくれた。そりゃあ関わりのない男にいきなり話しかけられたら戸惑うし、多少はフリーズもするだろう。伊勢原のぎこちない動きは気に留めないことにした。
「すみません。見ての通り席が空いてなくて、思わず話しかけちゃって」
「いや……俺のこと知ってんすか」
「こないだ会議室に居ましたよね?」
両手を合わせていそいそと定食に箸をつけながら答えると、伊勢原は凛々しい顔を曇らせ、きゅっと真一文字に唇を結んだ。
(あっからさまな態度……)
顔に浮かべた笑顔を絶やさないように気をつけながらも、これは“やった”かな、と内心ほんの少しの後悔を積もらせていた。伊勢原は明らかにこちらを歓迎していないように見える。
個人的に伊勢原に興味があったから、仲良くとまでは行かなくとも、仕事について話を聞いてみたかったんだが。これは無駄話はせず、さっさと退散した方が良さそうだ。社内で無駄な敵は作らないに限る。これは俺のモットーでもあり、営業部の隠れスローガンでもある。せっせと箸を動かし、いつもより早いペースで目の前の飯をかきこんだ。
だが予想に反して、焼き魚を半分ほど食べ進めたところで、伊勢原の方から俺に声をかけてきた。
「……敬語、じゃなくて良いっすよ」
ボソボソとした低音。ざわついた食堂の中で、気をつけていなければ聞きこぼしてしまいそうな声。呟きのような、独り言のようなそれは、けれども確かに俺に向かって投げかけられたものだ。
「ん?」
「俺の方が新参モノなんで。吾妻サンに敬語を使われる必要、ないんで」
思わず手に持っていた茶碗を置いた。伊勢原は言葉を詰まらせながら、俺の顔を決して見ることなく、俯いて白米を口に詰め込んでいる。まじまじと見つめても、これだけの強い視線で見つめられれば根負けしそうなものなのに、視線を逸らし続けているのは故意であることは明確で。
(ああ……なるほど)
なんだ。嫌われてるわけではないのか。それに気づくと、途端に緊張の糸がほぐれた。どっと、体の中から変に力んでいた力が抜け落ちていく感覚に、なんだかんだでこいつの態度を結構気にしていた俺自身に気付かされた。
「びっくりした。変にぶっきら棒だから嫌われてるのかと思った。それが言いたくて緊張してただけ?」
「き、緊張」
「してただろ? あぁびっくりした。これから仕事でたくさん関わりがあるのに、好感度最低だったら仕事しづらいところだった」
なんだか安心したら、ご飯がさらに美味しく思えてきた。相手の返事は気にせずに、とっとと口を動かしては飲み込みを繰り返していると、目の前の伊勢原は対照的に、ぴくりとも手を動かさない。
そこまで緊張することか? と首を傾げ、伊勢原の皿を指差す。
「早く食べないと、それ冷めるぞ」
「……はい」
「そっちだって敬語じゃなくて良いよ。伊勢原って何歳?」
「今年27です」
「同い年。じゃあなおさらだ。これから敬語無しで」
「……はあ」
衝撃から帰ってきたのだろうか、ようやくのろのろと動き始めた伊勢原は、だがどこかぎこちなくて、無表情さも相まってロボットのようだった。電池切れかけの、ぷすぷすと音を立てて煙を細く吐き出しているような、限界を迎えつつあるロボット。
勝手にロボ伊勢原を脳内で思い浮かべた俺は、心の中でこっそり笑った。
「吾妻って」
「ん?」
「……結構、食うんだな」
「ああ、これ?」
様子を伺っていた伊勢原が、不器用に会話を振ってきてくれた。危ない危ない、と頭の中のロボ伊勢原を追い払う。どうやら伊勢原が食いついたのは、俺のトレイの上らしい。今日は定番の焼き魚定食に加え、小鉢の副菜を三個も頂いている。唐揚げ三個、海藻サラダ、コロッケ。
「今日は昼過ぎたら来客対応があるからな。結構気合い入れなきゃいけない顧客対応だから、バテないように食っておこうってわけ」
「意外だな」
「見た目の割に食うんだーって?」
図星だったのだろう。伊勢原は素直にひとつ、頷いた。
確かになぜだか、俺は線の細い美丈夫のようなイメージを持たれることが多い。だからだろうか、パクパクと量のあるものを食べ進めたり、濃い味付けのガッツリしたものをペロリと平らげると、物珍しげな視線を送られることは少なくない。
「俺だって、普通に二十代成人男性の食欲くらいあるって。それにここの定食、一品一品の量が少なくないか?」
「まあ……三時くらいになると小腹が減る」
「それに、今日は焼き魚の気分だったけど、揚げ物でパンチも欲しかったというか」
「あー……コロッケ、美味いもんな」
「伊勢原、わかる人か! ここのコロッケ、妙にうまいよなっ。俺はもっと評価されていいと思ってる」
サクッ、と小皿のコロッケを真っ二つに割ると、ホクホクと湯気が立った。完全にペースト状になっておらず、イモ自体のごろごろした食感が口の中で踊る。俺がコロッケひとつでテンションを上げると、伊勢原はやっぱり意外そうに、何回かゆっくりと瞬いた。
その後、少しだけ心の距離が近づいたような俺たちは、以降はぽつりぽつりと互いの仕事についていくつか質問を重ねて、あっさりと解散となった。
俺は、特に社内の交流関係について深く広く掘り下げていきたい方なので、今日こうやって伊勢原と交流したことも、何気ない仕事上の交流に過ぎなかった。
――しかし。
伊勢原にとっては、何気ない食事ではなかったのだ。
◆
「あれ……珍しいな。日常呟きしてる」
少しの疲労を体に蓄えて帰宅した俺は、すぐさまスーツを脱ぎ捨て、風呂場に直行した。今日は初夏にしては湿度が高く、帰りの電車内も外気に引きずられてどんよりとした空気だ。密閉空間による息苦しさと人混みも相まって、俺の体力はすこぶる削られた。とにかく汗を一刻も早く流さずにはいられない。さっさとシャワーを浴び、濡れた髪をタオルで拭き取りながら、冷蔵庫からビールを一本取り出す。昼食後の顧客との打ち合わせは、この上なく好調であった。
苦い炭酸を喉に流し込み、いつもの習慣でSNSを立ち上げると、見慣れたアイコンが何事か呟いていた。
『今日は、びっくりするくらい嬉しいことがありました。こうしている今も、手が震えてうまく文字が打てません。けど、筆はノリに乗っています。次回の更新、楽しみにしててください』
エクレア花吹雪さんは、告知以外の呟きをほとんど行わないストイックスタイルのSNS運営をしている。SNSの使い方は人によって様々で、例えば私生活を(特定されない程度に)赤裸々に語る者もいれば、フォロワーの地雷に配慮して、好きと公言しているカップリング萌え語りしかしない者もいる。俺はフォローしてる人がどんな呟きをしていようが特に気にならないタチなので、その辺りは細かく気にしたことはない。ただ、エクレア花吹雪さんは、呟きの履歴を遡ってもほとんどが告知で、私生活についてなんて両手で数えられる程度にしか呟いたことがないタイプの創作者だった。
そんな花吹雪さんのSNSが、自我を出している。なんともまあ、珍しいことがあったものだ。すぐさま返信コメントを送った。
『花吹雪さんが呟くなんて、よっぽどのことですね。これ以上筆が乗ったらどうなっちゃうのか、こっちもワクワクしてきました。楽しみにしてます。執筆、頑張ってください』
独特のSNSのコメント送信音と共に、無事にコメントが送信できたことを確認すると、スマートフォンを机の上に置いた。
◆
「た……ただいま」
今日は待ちに待った金曜日。平日の業務をこなした俺へのご褒美が待ち受けている、至福の週末。けれど俺の心は、ずん、と重しが乗っかったようだった。ノロノロと鍵を突っ込んでドアノブを回し、もつれた足で玄関に倒れ込んだ。このまま風呂も入らず、食事も取らず、眠ってしまいたい。うっすらと微睡の中に消えていきそうな意識を、現実へ引き止めたのは「エクレア花吹雪」さんの存在だった。
まさか顧客が話をひっくり返してくるとは思ってもみなかった。しかも前回の打ち合わせ内容をすっとぼけようとする極悪っぷり。相手の意見を丸ごと飲み込んで、ひたすら頭を下げるだけが営業ではない。けれど断固として決定事項だけを伝え、要望を突っぱねることもできない。ギリギリの心理戦とバランスの中、なんとか長丁場の打ち合わせを終え、社に戻り書類を片付けていたら終電間際だった。
眠いしだるい。指先ひとつ動かすのも辛い。でも花吹雪さんの作品の続きを見るまでは、今日という日は終われない。仕事中は一切SNSなんて開けなかったし、帰宅時もそんな気力は湧き上がらず、電車の座席に力なく腰掛けていただけだった。疲れ切ってぐにゃぐにゃした思考回路では、文章を読むのも一苦労だ。
それでもBLは、仕事に疲れた俺への格別なご褒美だよな、と内ポケットからスマートフォンを取り出す。まずはSNSから確認、とアプリを開くと、何やらいつもと様子が異なっていた。そしてそれは、花吹雪さんのアカウントを見れば明らかだった。
『今週から新作の連載を始めようと思います。金曜日には従来の作品と、今週からの作品。二作品上がることになります。引き続き応援、よろしくお願いします』
「なっ!!」
飛び起きた。腹筋に力を入れ、バネの如く跳ね上がった。その文面を何度も何度も確認する。
(神の……神の作品が週に二話も楽しめるだと!?)
あんぐりと開けた口が、閉じられそうにない。喜びは二倍。週末の楽しみも二倍どころか、十倍になりそうだ。同じく喜びを露わにしている同士たちの声や、花吹雪さんの執筆速度に驚く声、無理はしないでくださいねと心配する声など、さまざまな声が花吹雪さんのアカウントに届けられていた。
花吹雪さんが二作並行連載などしたことは一度もない。これは花吹雪さんの作品を一つ残らず追っている俺だからこそ言える事実だ。一つの作品を長期間、じっくり書き綴ることをポリシーのようにしていたのに、それを覆してまで描きたい作品だということか。
既存の作品は後回しにして、先に新作から読んでみよう。リンクから投稿された作品のページへと飛ぶ。
「へえ、異世界ファンタジーか」
主人公は、とある異世界の王宮に務める文官のようだ。これが一話目だからだろう。背景や世界観の説明が多く、主人公であるエリオの人となりは、序盤ではあまり見えづらい。だが、高位な身分であるにも関わらず、周囲の人々に高慢に振る舞うことなく、常に笑顔を絶やさない人格者であろうことが、徐々に明らかになる。ハードな仕事にも弱音を一つも吐かず、キャリアを積み上げていく主人公には好感が持てた。
そんなある日、王宮勤めの彼は、併設されている食堂に向かっていく。食堂は身分を問わず王宮で働く者たちに開かれており、慌ただしい食堂は、お昼時が故に混雑していた。
(まあそうだろうな。食堂の席の確保はかなり難しいし……)
そこで主人公は空いている席を見つけられず、見覚えのある顔をした、武官であるもう一人の主人公に声をかけた。
『珍しいですね、エリオ様がこのような時間に』
『少し手こずる案件があったんだ。それよりも、私に敬語を使わないでくれないか。ロルフ』
王宮での立場は、武官ロルフの方が上のようだが、貴族という身分上は文官エリオの方が位が上……というややこしい関係性から、武官ロルフは文官エリオに敬語を使っていた。それを咎めるエリオに、ロルフは戸惑いながらも対応する。困惑しながらも、どこか嬉しそうなロルフが描写されていた。
『エリオは、よく食べるんだな』
『はは。武官の君からしたら、文官など貧弱に見えるかもしれないが、これでも広い王宮をかけ回っているんだ。それなりに体力はいるんだよ』
『意外だ。見た目からして、そんなに食べないのかと』
『よく、花の蜜でも吸っていらっしゃるんですか、なんて令嬢に言われることもあるよ。そんなわけないさ。それにここの食堂、種類は豊富で味も抜群だが、単品の量が少ない。結果として、たくさん注文してしまうのさ』
「……ん?」
新たなBLの世界に没入し、集中して読み進めてきたものの、俺の画面を滑る指は一旦止まった。なんだか、妙なデジャブに襲われた。これは紛れもなく花吹雪さんの完全新作だ。当然、今までどこにでもお披露目なんてされていないはずである。けれどなぜか、身に覚えがある。そうだ、どこかの小説で読んだ覚えがあるわけでも、映画やドラマでワンシーンを見た覚えがあるわけでもない。なぜか自分が体験したような、そんな覚えがある。
いやいや、まさか。首を何度か横に振ると、気を取り直して新作文章を再び読み進めることにした。
『わかるよ。鍛錬の合間に小腹が空きそうになる』
『ロルフの“小腹が空く”は、俺とは段違いに空いてそうだな。そうだ、この雀芋のフリッターは食べたことあるか? 俺のおすすめだ。西方原産の芋だが、これがまた揚げるとうまい。味付けも最高だ』
『嗚呼、エリオ。貴方も同士か。実は私も、それは好物なんだ』
『ロルフ……! この広い王宮で、雀芋の良さがわかる同士がいるとは!』
そして二人は、まるで旧くからの友であったかのように、和気藹々と話を進め、穏やかに食事を終えるシーンで一話が終了した。
なるほど。一話はなるべく不穏さや障害を描かずに、二話目から怒涛の展開が始まりそうな予感を演出しているんだな。冷静な考察が俺の頭を駆け巡った。けれどいつものように、読了後に感想をSNSに綴るはずの指先は、ぴくりとも動かなかった。
放心状態のまま、無言でスマートフォンを見つめていた俺は、数分後、再び投稿された小説を開いた。もう一度最初から、今度は注意深く、一文字一文字を丁寧に読んだ。読み終わって、ひとつ深呼吸。
それからようやくSNSを立ち上げると、花吹雪さんのアカウントへ飛んだ。
それは、いつものように花吹雪さんへコメントを投稿するためじゃない。俺は花吹雪さんの過去の投稿コメントを遡った。幸い、投稿数の少なさから、すぐに目当てのものは見つかった。珍しく小説告知以外をコメントしていた、あの投稿。どこか楽しそうに、執筆意欲を沸かせていた花吹雪さん。
投稿された日付を見た。今から二日前の、水曜日だ。
その日、俺は間違いなく食堂にいた。
ぽろっとスマートフォンを手から滑らせた。
頭の中で点と点が結ばれていくと、辿り着きたくない真実が、実線として浮かび上がってきた。
「……え゛!?」
待て待て、ありえない。偶然に違いない。別にこんなのよくある光景じゃないか。たまたまシチュエーションも会話内容も、重なった可能性だってあるじゃないか。なのに、砂漠の中の一粒の砂のような可能性を口にしてしまう。
「伊勢原が『エクレア花吹雪』本人……」
いやいやいや。
それは絶対あり得ないだろ!
そうだよ。ありえない。うんうん。納得した俺は、再びSNSに目を落とした。あまりに神がかり的な偶然の重なりに、動揺して、ありえないことを考えてしまった。そもそもだ。百歩譲って伊勢原が俺とのやりとりを題材にしたとして……したとして、なんなんだ?
そもそも花吹雪さんは「偶然食堂のシチュエーションが合致した水曜日」を「嬉しかった」とつぶやいていた。なにが嬉しかったんだ? BLの題材になりそうな同僚と、仲が深められそうだって? いやいや、待ってくれ。だとして、なんでエリオはこんなに美化して描かれているんだ。俺はそこまで顔立ちは整っていないし、品のある王子様のようなタイプじゃない。だから、気のせいだと自分に言い聞かせる俺の掌で、スマートフォンが震えた。自分がフォローしているアカウントが、何かをつぶやいた時の通知だ。恐る恐る、画面の中を覗き込む。
『実は、今回の新作…ずっと気になってて、片思いしてた人をイメージして書いてるんです。水曜日に呟きましたが、その人と会話できた嬉しさで舞い上がって、気づいたら一話を書き終えていました』
頭の中で、完成してほしくないパズルのピースがひとつひとつ当てはまっていく。
いいや、嘘だ。エクレア花吹雪さんは日常のことをほとんど呟かない。どうして、こんなことをつぶやくんだ。まさか乗っ取りにあったんじゃないか。その可能性が高い。
『こんなこというの、恥ずかしいですけれど、これから私生活でも頑張ってみようかなって』
「頑張るって、なにを!?」
画面に向かって叫んだ。
健気な花吹雪さんの呟きに、ファンたちが感激して応援のメッセージを次々と送っている。「執筆の糧になるといいですね」なんてコメントには、俺も思わずスタンプで同意を示しそうになった。
待て待て。これじゃあ俺がアプローチされることを望んでいるみたいじゃないか。もしかして俺は、満更じゃないのか。違う。俺は「執筆の糧になるといい」という部分に同意したいだけなんだ。それなのに。
――どんな顔して、推し作家からのアプローチを受け止めればいいんだよ!
その後、どきまぎしながら土日を過ごした俺は、月曜の朝、出勤途中の伊勢原にぎこちなく話しかけられてしまった。あまりの挙動不審さと、いかにも緊張している強張った顔に、「エクレア花吹雪=伊勢原疑惑」はますます深まってしまい。
けれどもしも事実を確認しようもんなら、俺が腐男子であることがバレ、さらに推し作家の新作が読めなくなる可能性が有るため、どうにもできずに流れに身を任せ続けてしまい。
結局疑惑はぬぐえないのに、伊勢原と話は合うもんだからずるずると仲良くなり、夜には飲みに行く仲となり。
挙句の果てにうっかり恋に落ちたり、落ちなかったりするのだが、それはまた別の話だ。
最寄り駅にたどり着くと、小走りで俺の城、すなわちアパートへと向かう。玄関扉を乱暴に開き、手洗いうがいをばっちり済ませた後、スーツを着替えるのもじれったいと言わんばかりに、そのままスマートフォンを手に取る。
夜の七時を時計の針が指した。お待ちかねの“投稿時間”なのだ。
「き、来た……! 最新話更新されたっ……」
創作小説投稿サイト。そこで毎週金曜日の七時に投稿される小説。最新話のタイトル文字が目次に追加され、はやる気持ちを押さえてタイトルをタップし、縦にスクロールする。確か前回は、ようやく意中の相手と結ばれた主人公が玄関前で相手といちゃついているところに、主人公の兄が突然やってきて……という不穏な終わり方をしていたはずだ。両者結ばれてハッピーエンドでひと段落つくのかと思いきや、急な展開に「どうしてここで終わるんだ」と思わず自宅で声を上げてしまったのが一週間前。それから今日に至るまで、じれったい思いを内に抱えながら過ごしてきたのだ。
ソファに横たわりながら、一文一文字を丁寧に読み進めていく。緻密な心理描写、衝撃の事実の発覚。呼吸する時間ももったいないと思うほどに緊張しながら読み進め、そしてスクロールバーが最下層までたどり着いた。
「うっわ……」
本日もいいところで話が終わってしまった。まさか初期から綿密に張られていた伏線が、怒涛の回収を迎えると思っていなかった。長い間片思いをこじらせ、ようやく幸せになれたのに、こんな試練を与えるなんて。
だがそれがいい。そもそもこの話を読み始めた時から、王道な展開に見えてこのカップルは一筋縄ではいかないだろうことは目に見えていた。思いを告げ合って「はい、ハッピーエンドです」だなんて似合わない。書き手のそんな強い思いが、ありありと伝わってくる。
濃厚な「萌え」を摂取し尽くし、しばらく呆然としていた。頭の中がふわっふわで、とろけているみたいだ。だが数分ののち、ハッと飛び起きる。急いでSNSを立ち上げ、目当てのアカウントへ一直線だ。
アカウント名は「エクレア花吹雪」。最新話投稿しました、の一言投稿とURL。投稿して間もないにも関わらず、反応が多い。それはすなわち、同士の多さを物語っている。興奮冷めやらぬまま指を叩き、誤字が無いかどうかを再三確認して、花吹雪さんへの返信を送った。
『最新話読みました。これまで気になっていた描写の真意が一気に紐解かれて、さっすが花吹雪さんですね! ますます今後が楽しみです』
「はぁ~、堪らん。ボーイズラブ最高っ……」
吾妻礼央。27歳。社会人5年目。
ボーイズラブをひたすら読み漁るのが大好物の、年季の入った腐リーマンだ。
――腐ってしまったきっかけは、十年近く経った今でも鮮明に覚えている。
当時高校生だった俺は、小説や漫画や映画……とにかく“物語”が大好きで仕方がなかった。若さとは恐ろしいもので、時には徹夜してまでも、数多くの物語を読み込んだ。嫌なことがあっても、没頭先がある。自分の違う世界がある。異なる世界に飛び込める。それは、すごく幸せな逃げ道だった。
そんな俺は次第に、ただ作品を楽しむだけでは物足りなくなった。感想を語り合いたくなったし、新しい作品を発掘するための情報源が欲しくなった。ついには作品を語り合う同士が集まるWebサイトで、考察や感想を読む書き込むことが、新たな生活ルーティンの一環となった。趣味に没頭することに意義を見出していたある日、いつものように訪れたサイトで何気なく見つけたとある書き込みが、間違いなく人生の分岐点だった。
有名な映画の男主人公と、その相棒役である男の名前が連呼されている。だが、添えられている単語がよく分からない。スパダリって、なに。抱擁攻めって何。受けが狙ってるようにしか見えない……何を?
興味を惹かれ、なんの疑いもなく綴られた書き込みを読み進めた。これだけの人が集まっているんだ。さぞ面白い話題に違いない。分からないものは調べるに限る。極めてピュアで純粋な気持ちで、検索バーに分からない単語を打ち込んでいき……。
(それがまさかの、非公式なBLカップリング語らい、だったんだよなー)
昨晩の残り物を適当にレンジで温め、箸でつまみながら当時のことを思い返す。
なんで、男同士が。
当時の俺は雷を受けたようにビリビリと衝撃を受けた。けれど、気がついたらどんどんとそっちの世界を深掘りし続けてしまった。怖いもの見たさでずるずると、そのまま二次創作のBLを漁り、立派に腐った俺は、以降ひっそりとBLを愛で続けている。昔は二次創作ばかり読み込んでいたが、ここ数年はもっぱら一次創作ばかりだ。そんな中、ダントツお気に入りの作家となったのが、毎週金曜日の更新を楽しみにしてならない「エクレア花吹雪」さんなのだ。
箸を置いてスマートフォンを手に取った。再びSNSを開いてみれば、花吹雪さんのアカウントは、数分前とは比べ物にならないくらいの大反響だった。概ね、俺と同じような感想を抱いている同士が多いらしい。うれしい悲鳴やら、耐えられない興奮を綴る仲間たちの感想に、うんうんと頷きながら同意を示すスタンプを送った。
そうしている間に、気がつけば俺のアカウントにコメントがあった旨を伝える通知が来ていた。はやる気持ちを抑えて確認すると、やはり花吹雪さんだ。先ほど自分が送ったコメントに、「ありがとうございます」と一言返信を送ってくれたようだ。そっけないようにも思えるが、毎回まめにコメントを返してくれるSNS上の同士を、憧れの存在でありながら、同時に好ましく思っていた。
◆
「しまった……」
本日の日替わり定食をプラスチックトレイの上に乗せたまま、うっかりしていた自分を責めるような残念な言葉が、思わず口からこぼれ落ちた。
数日前から始動した全部署規模で横断する新規プロジェクト。俺と言えば課長の指示のもと、手持ちの業務を洗い出し、俺個人から引き剥がせそうな業務を仕分け、別のメンバーに振り分けるための指示書を作成していた。これがなかなか手こずる作業であり、何気なく日々の定例と化している業務なんてリストにあげ忘れがちで、忘れている業務の数々を後輩に突っ込まれたりしていた。恐らくは自分にも幾つかの業務が降りかかることが想定される後輩は、俺の振り分け作業が他人事ではないのだろう。
細々とそんな作業を行いながらも、プロジェクトの事前準備や、もちろん通常業務もこなしていかなくてはならない。緩やかな繁忙を迎えつつあるこの頃、昼明けからの打ち合わせを控えていた俺は、合間を縫ってそそくさと社内食堂へ駆け込んだわけだったのだが。
社食はいつもよりも大賑わいだった。よくよく見渡せば、スペースの半分が立ち入り禁止区間になっている。そういえば総務からお知らせメールを受信していたような。確か突発的な機器の不調による修理工事により、社食の一部区間を数週間封鎖する旨。だからここ最近は、外回りのついでに外で食べるか、コンビニ弁当をデスクで食べるように気をつけていたというのに。今日は忙しいからパッと食堂で、と何も考えずにふらふらと足を運び、いつものように購入してから席を取ろうとしたのが悪かった。見渡す限りの人、人。全席満員御礼だ。
忙しさに負けて細かいことが頭からすっぱ抜けていた。時すでに遅し。俺の両手には日替わり焼き魚定食がある。ということは、なんとかして空いている席を探さなくてはならない。あたりを見渡し、丁度よく空席があるかと思えば、注文前にきちんと席を確保している社員の手帳やハンカチで予約されていて、思わずため息が漏れた。知り合いがいれば相席してもらうなり交渉もできるのに、今日に限って顔見知りが一人として見当たらない。
仕方ないから二人席を使用している、同年代くらいの人に話しかけて交渉してみるか。初対面の相手に尻込みしない性分なのは自慢でもある。キョロキョロと辺りを見渡すと、目の端に一際目立つ人影が入りこんだ。窓際のテーブル席。常々話してみたいと思っていた男が一人。断られたとしてもその時だし、これから仕事で関わることも多くなるのだから、とそちらへと足を進めた。
相手の目の前に立ち、声をかける。
「こんにちは、伊勢原さん。相席いいですか?」
「……」
できるだけ腰の低い態度で。それでいて過度に畏まらずに。
伊勢原洋一。この間、新規プロジェクトのキックオフミーティングで見かけたぶりだ。
この男、部署のフロアが異なることもあり、会話する機会はほとんどない。そもそも俺とは違い、彼は中途入社で半年前にやってきた男だ。噂ではかなり仕事ができる、寡黙でまじめな奴、という評価らしい。けれど顔は広くないため、あまり知り合いもいないようだ。俺としては恐らく年齢の近い同僚だし、これからプロジェクトで密に関わっていくだろうから、会話くらいはしておきたいと思っていたのだが。
(……なんだ、無反応?)
伊勢原は俺の声かけに、過度なほどビクッ、と両肩を震わせた。数秒の硬直の後、のろのろと顔をあげた伊勢原は俺と視線を合わせると、大きく目を見開いて再び固まった。箸で摘んだブロッコリーがポロリと皿の上に転げ落ちた。
「あの、伊勢原? さん?」
「っ、あ、ああ……どうぞ」
二度目の呼びかけに、今度は小さく肩を揺らした伊勢原は、机の上のトレイを自身側に寄せ、俺のスペースを作ってくれた。そりゃあ関わりのない男にいきなり話しかけられたら戸惑うし、多少はフリーズもするだろう。伊勢原のぎこちない動きは気に留めないことにした。
「すみません。見ての通り席が空いてなくて、思わず話しかけちゃって」
「いや……俺のこと知ってんすか」
「こないだ会議室に居ましたよね?」
両手を合わせていそいそと定食に箸をつけながら答えると、伊勢原は凛々しい顔を曇らせ、きゅっと真一文字に唇を結んだ。
(あっからさまな態度……)
顔に浮かべた笑顔を絶やさないように気をつけながらも、これは“やった”かな、と内心ほんの少しの後悔を積もらせていた。伊勢原は明らかにこちらを歓迎していないように見える。
個人的に伊勢原に興味があったから、仲良くとまでは行かなくとも、仕事について話を聞いてみたかったんだが。これは無駄話はせず、さっさと退散した方が良さそうだ。社内で無駄な敵は作らないに限る。これは俺のモットーでもあり、営業部の隠れスローガンでもある。せっせと箸を動かし、いつもより早いペースで目の前の飯をかきこんだ。
だが予想に反して、焼き魚を半分ほど食べ進めたところで、伊勢原の方から俺に声をかけてきた。
「……敬語、じゃなくて良いっすよ」
ボソボソとした低音。ざわついた食堂の中で、気をつけていなければ聞きこぼしてしまいそうな声。呟きのような、独り言のようなそれは、けれども確かに俺に向かって投げかけられたものだ。
「ん?」
「俺の方が新参モノなんで。吾妻サンに敬語を使われる必要、ないんで」
思わず手に持っていた茶碗を置いた。伊勢原は言葉を詰まらせながら、俺の顔を決して見ることなく、俯いて白米を口に詰め込んでいる。まじまじと見つめても、これだけの強い視線で見つめられれば根負けしそうなものなのに、視線を逸らし続けているのは故意であることは明確で。
(ああ……なるほど)
なんだ。嫌われてるわけではないのか。それに気づくと、途端に緊張の糸がほぐれた。どっと、体の中から変に力んでいた力が抜け落ちていく感覚に、なんだかんだでこいつの態度を結構気にしていた俺自身に気付かされた。
「びっくりした。変にぶっきら棒だから嫌われてるのかと思った。それが言いたくて緊張してただけ?」
「き、緊張」
「してただろ? あぁびっくりした。これから仕事でたくさん関わりがあるのに、好感度最低だったら仕事しづらいところだった」
なんだか安心したら、ご飯がさらに美味しく思えてきた。相手の返事は気にせずに、とっとと口を動かしては飲み込みを繰り返していると、目の前の伊勢原は対照的に、ぴくりとも手を動かさない。
そこまで緊張することか? と首を傾げ、伊勢原の皿を指差す。
「早く食べないと、それ冷めるぞ」
「……はい」
「そっちだって敬語じゃなくて良いよ。伊勢原って何歳?」
「今年27です」
「同い年。じゃあなおさらだ。これから敬語無しで」
「……はあ」
衝撃から帰ってきたのだろうか、ようやくのろのろと動き始めた伊勢原は、だがどこかぎこちなくて、無表情さも相まってロボットのようだった。電池切れかけの、ぷすぷすと音を立てて煙を細く吐き出しているような、限界を迎えつつあるロボット。
勝手にロボ伊勢原を脳内で思い浮かべた俺は、心の中でこっそり笑った。
「吾妻って」
「ん?」
「……結構、食うんだな」
「ああ、これ?」
様子を伺っていた伊勢原が、不器用に会話を振ってきてくれた。危ない危ない、と頭の中のロボ伊勢原を追い払う。どうやら伊勢原が食いついたのは、俺のトレイの上らしい。今日は定番の焼き魚定食に加え、小鉢の副菜を三個も頂いている。唐揚げ三個、海藻サラダ、コロッケ。
「今日は昼過ぎたら来客対応があるからな。結構気合い入れなきゃいけない顧客対応だから、バテないように食っておこうってわけ」
「意外だな」
「見た目の割に食うんだーって?」
図星だったのだろう。伊勢原は素直にひとつ、頷いた。
確かになぜだか、俺は線の細い美丈夫のようなイメージを持たれることが多い。だからだろうか、パクパクと量のあるものを食べ進めたり、濃い味付けのガッツリしたものをペロリと平らげると、物珍しげな視線を送られることは少なくない。
「俺だって、普通に二十代成人男性の食欲くらいあるって。それにここの定食、一品一品の量が少なくないか?」
「まあ……三時くらいになると小腹が減る」
「それに、今日は焼き魚の気分だったけど、揚げ物でパンチも欲しかったというか」
「あー……コロッケ、美味いもんな」
「伊勢原、わかる人か! ここのコロッケ、妙にうまいよなっ。俺はもっと評価されていいと思ってる」
サクッ、と小皿のコロッケを真っ二つに割ると、ホクホクと湯気が立った。完全にペースト状になっておらず、イモ自体のごろごろした食感が口の中で踊る。俺がコロッケひとつでテンションを上げると、伊勢原はやっぱり意外そうに、何回かゆっくりと瞬いた。
その後、少しだけ心の距離が近づいたような俺たちは、以降はぽつりぽつりと互いの仕事についていくつか質問を重ねて、あっさりと解散となった。
俺は、特に社内の交流関係について深く広く掘り下げていきたい方なので、今日こうやって伊勢原と交流したことも、何気ない仕事上の交流に過ぎなかった。
――しかし。
伊勢原にとっては、何気ない食事ではなかったのだ。
◆
「あれ……珍しいな。日常呟きしてる」
少しの疲労を体に蓄えて帰宅した俺は、すぐさまスーツを脱ぎ捨て、風呂場に直行した。今日は初夏にしては湿度が高く、帰りの電車内も外気に引きずられてどんよりとした空気だ。密閉空間による息苦しさと人混みも相まって、俺の体力はすこぶる削られた。とにかく汗を一刻も早く流さずにはいられない。さっさとシャワーを浴び、濡れた髪をタオルで拭き取りながら、冷蔵庫からビールを一本取り出す。昼食後の顧客との打ち合わせは、この上なく好調であった。
苦い炭酸を喉に流し込み、いつもの習慣でSNSを立ち上げると、見慣れたアイコンが何事か呟いていた。
『今日は、びっくりするくらい嬉しいことがありました。こうしている今も、手が震えてうまく文字が打てません。けど、筆はノリに乗っています。次回の更新、楽しみにしててください』
エクレア花吹雪さんは、告知以外の呟きをほとんど行わないストイックスタイルのSNS運営をしている。SNSの使い方は人によって様々で、例えば私生活を(特定されない程度に)赤裸々に語る者もいれば、フォロワーの地雷に配慮して、好きと公言しているカップリング萌え語りしかしない者もいる。俺はフォローしてる人がどんな呟きをしていようが特に気にならないタチなので、その辺りは細かく気にしたことはない。ただ、エクレア花吹雪さんは、呟きの履歴を遡ってもほとんどが告知で、私生活についてなんて両手で数えられる程度にしか呟いたことがないタイプの創作者だった。
そんな花吹雪さんのSNSが、自我を出している。なんともまあ、珍しいことがあったものだ。すぐさま返信コメントを送った。
『花吹雪さんが呟くなんて、よっぽどのことですね。これ以上筆が乗ったらどうなっちゃうのか、こっちもワクワクしてきました。楽しみにしてます。執筆、頑張ってください』
独特のSNSのコメント送信音と共に、無事にコメントが送信できたことを確認すると、スマートフォンを机の上に置いた。
◆
「た……ただいま」
今日は待ちに待った金曜日。平日の業務をこなした俺へのご褒美が待ち受けている、至福の週末。けれど俺の心は、ずん、と重しが乗っかったようだった。ノロノロと鍵を突っ込んでドアノブを回し、もつれた足で玄関に倒れ込んだ。このまま風呂も入らず、食事も取らず、眠ってしまいたい。うっすらと微睡の中に消えていきそうな意識を、現実へ引き止めたのは「エクレア花吹雪」さんの存在だった。
まさか顧客が話をひっくり返してくるとは思ってもみなかった。しかも前回の打ち合わせ内容をすっとぼけようとする極悪っぷり。相手の意見を丸ごと飲み込んで、ひたすら頭を下げるだけが営業ではない。けれど断固として決定事項だけを伝え、要望を突っぱねることもできない。ギリギリの心理戦とバランスの中、なんとか長丁場の打ち合わせを終え、社に戻り書類を片付けていたら終電間際だった。
眠いしだるい。指先ひとつ動かすのも辛い。でも花吹雪さんの作品の続きを見るまでは、今日という日は終われない。仕事中は一切SNSなんて開けなかったし、帰宅時もそんな気力は湧き上がらず、電車の座席に力なく腰掛けていただけだった。疲れ切ってぐにゃぐにゃした思考回路では、文章を読むのも一苦労だ。
それでもBLは、仕事に疲れた俺への格別なご褒美だよな、と内ポケットからスマートフォンを取り出す。まずはSNSから確認、とアプリを開くと、何やらいつもと様子が異なっていた。そしてそれは、花吹雪さんのアカウントを見れば明らかだった。
『今週から新作の連載を始めようと思います。金曜日には従来の作品と、今週からの作品。二作品上がることになります。引き続き応援、よろしくお願いします』
「なっ!!」
飛び起きた。腹筋に力を入れ、バネの如く跳ね上がった。その文面を何度も何度も確認する。
(神の……神の作品が週に二話も楽しめるだと!?)
あんぐりと開けた口が、閉じられそうにない。喜びは二倍。週末の楽しみも二倍どころか、十倍になりそうだ。同じく喜びを露わにしている同士たちの声や、花吹雪さんの執筆速度に驚く声、無理はしないでくださいねと心配する声など、さまざまな声が花吹雪さんのアカウントに届けられていた。
花吹雪さんが二作並行連載などしたことは一度もない。これは花吹雪さんの作品を一つ残らず追っている俺だからこそ言える事実だ。一つの作品を長期間、じっくり書き綴ることをポリシーのようにしていたのに、それを覆してまで描きたい作品だということか。
既存の作品は後回しにして、先に新作から読んでみよう。リンクから投稿された作品のページへと飛ぶ。
「へえ、異世界ファンタジーか」
主人公は、とある異世界の王宮に務める文官のようだ。これが一話目だからだろう。背景や世界観の説明が多く、主人公であるエリオの人となりは、序盤ではあまり見えづらい。だが、高位な身分であるにも関わらず、周囲の人々に高慢に振る舞うことなく、常に笑顔を絶やさない人格者であろうことが、徐々に明らかになる。ハードな仕事にも弱音を一つも吐かず、キャリアを積み上げていく主人公には好感が持てた。
そんなある日、王宮勤めの彼は、併設されている食堂に向かっていく。食堂は身分を問わず王宮で働く者たちに開かれており、慌ただしい食堂は、お昼時が故に混雑していた。
(まあそうだろうな。食堂の席の確保はかなり難しいし……)
そこで主人公は空いている席を見つけられず、見覚えのある顔をした、武官であるもう一人の主人公に声をかけた。
『珍しいですね、エリオ様がこのような時間に』
『少し手こずる案件があったんだ。それよりも、私に敬語を使わないでくれないか。ロルフ』
王宮での立場は、武官ロルフの方が上のようだが、貴族という身分上は文官エリオの方が位が上……というややこしい関係性から、武官ロルフは文官エリオに敬語を使っていた。それを咎めるエリオに、ロルフは戸惑いながらも対応する。困惑しながらも、どこか嬉しそうなロルフが描写されていた。
『エリオは、よく食べるんだな』
『はは。武官の君からしたら、文官など貧弱に見えるかもしれないが、これでも広い王宮をかけ回っているんだ。それなりに体力はいるんだよ』
『意外だ。見た目からして、そんなに食べないのかと』
『よく、花の蜜でも吸っていらっしゃるんですか、なんて令嬢に言われることもあるよ。そんなわけないさ。それにここの食堂、種類は豊富で味も抜群だが、単品の量が少ない。結果として、たくさん注文してしまうのさ』
「……ん?」
新たなBLの世界に没入し、集中して読み進めてきたものの、俺の画面を滑る指は一旦止まった。なんだか、妙なデジャブに襲われた。これは紛れもなく花吹雪さんの完全新作だ。当然、今までどこにでもお披露目なんてされていないはずである。けれどなぜか、身に覚えがある。そうだ、どこかの小説で読んだ覚えがあるわけでも、映画やドラマでワンシーンを見た覚えがあるわけでもない。なぜか自分が体験したような、そんな覚えがある。
いやいや、まさか。首を何度か横に振ると、気を取り直して新作文章を再び読み進めることにした。
『わかるよ。鍛錬の合間に小腹が空きそうになる』
『ロルフの“小腹が空く”は、俺とは段違いに空いてそうだな。そうだ、この雀芋のフリッターは食べたことあるか? 俺のおすすめだ。西方原産の芋だが、これがまた揚げるとうまい。味付けも最高だ』
『嗚呼、エリオ。貴方も同士か。実は私も、それは好物なんだ』
『ロルフ……! この広い王宮で、雀芋の良さがわかる同士がいるとは!』
そして二人は、まるで旧くからの友であったかのように、和気藹々と話を進め、穏やかに食事を終えるシーンで一話が終了した。
なるほど。一話はなるべく不穏さや障害を描かずに、二話目から怒涛の展開が始まりそうな予感を演出しているんだな。冷静な考察が俺の頭を駆け巡った。けれどいつものように、読了後に感想をSNSに綴るはずの指先は、ぴくりとも動かなかった。
放心状態のまま、無言でスマートフォンを見つめていた俺は、数分後、再び投稿された小説を開いた。もう一度最初から、今度は注意深く、一文字一文字を丁寧に読んだ。読み終わって、ひとつ深呼吸。
それからようやくSNSを立ち上げると、花吹雪さんのアカウントへ飛んだ。
それは、いつものように花吹雪さんへコメントを投稿するためじゃない。俺は花吹雪さんの過去の投稿コメントを遡った。幸い、投稿数の少なさから、すぐに目当てのものは見つかった。珍しく小説告知以外をコメントしていた、あの投稿。どこか楽しそうに、執筆意欲を沸かせていた花吹雪さん。
投稿された日付を見た。今から二日前の、水曜日だ。
その日、俺は間違いなく食堂にいた。
ぽろっとスマートフォンを手から滑らせた。
頭の中で点と点が結ばれていくと、辿り着きたくない真実が、実線として浮かび上がってきた。
「……え゛!?」
待て待て、ありえない。偶然に違いない。別にこんなのよくある光景じゃないか。たまたまシチュエーションも会話内容も、重なった可能性だってあるじゃないか。なのに、砂漠の中の一粒の砂のような可能性を口にしてしまう。
「伊勢原が『エクレア花吹雪』本人……」
いやいやいや。
それは絶対あり得ないだろ!
そうだよ。ありえない。うんうん。納得した俺は、再びSNSに目を落とした。あまりに神がかり的な偶然の重なりに、動揺して、ありえないことを考えてしまった。そもそもだ。百歩譲って伊勢原が俺とのやりとりを題材にしたとして……したとして、なんなんだ?
そもそも花吹雪さんは「偶然食堂のシチュエーションが合致した水曜日」を「嬉しかった」とつぶやいていた。なにが嬉しかったんだ? BLの題材になりそうな同僚と、仲が深められそうだって? いやいや、待ってくれ。だとして、なんでエリオはこんなに美化して描かれているんだ。俺はそこまで顔立ちは整っていないし、品のある王子様のようなタイプじゃない。だから、気のせいだと自分に言い聞かせる俺の掌で、スマートフォンが震えた。自分がフォローしているアカウントが、何かをつぶやいた時の通知だ。恐る恐る、画面の中を覗き込む。
『実は、今回の新作…ずっと気になってて、片思いしてた人をイメージして書いてるんです。水曜日に呟きましたが、その人と会話できた嬉しさで舞い上がって、気づいたら一話を書き終えていました』
頭の中で、完成してほしくないパズルのピースがひとつひとつ当てはまっていく。
いいや、嘘だ。エクレア花吹雪さんは日常のことをほとんど呟かない。どうして、こんなことをつぶやくんだ。まさか乗っ取りにあったんじゃないか。その可能性が高い。
『こんなこというの、恥ずかしいですけれど、これから私生活でも頑張ってみようかなって』
「頑張るって、なにを!?」
画面に向かって叫んだ。
健気な花吹雪さんの呟きに、ファンたちが感激して応援のメッセージを次々と送っている。「執筆の糧になるといいですね」なんてコメントには、俺も思わずスタンプで同意を示しそうになった。
待て待て。これじゃあ俺がアプローチされることを望んでいるみたいじゃないか。もしかして俺は、満更じゃないのか。違う。俺は「執筆の糧になるといい」という部分に同意したいだけなんだ。それなのに。
――どんな顔して、推し作家からのアプローチを受け止めればいいんだよ!
その後、どきまぎしながら土日を過ごした俺は、月曜の朝、出勤途中の伊勢原にぎこちなく話しかけられてしまった。あまりの挙動不審さと、いかにも緊張している強張った顔に、「エクレア花吹雪=伊勢原疑惑」はますます深まってしまい。
けれどもしも事実を確認しようもんなら、俺が腐男子であることがバレ、さらに推し作家の新作が読めなくなる可能性が有るため、どうにもできずに流れに身を任せ続けてしまい。
結局疑惑はぬぐえないのに、伊勢原と話は合うもんだからずるずると仲良くなり、夜には飲みに行く仲となり。
挙句の果てにうっかり恋に落ちたり、落ちなかったりするのだが、それはまた別の話だ。
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