心霊少女

幸運

　私の友達、真子は「私って運が良くてさー」とよく言う。
　曰く、乗り逃した電車で人身事故が起こった。
　曰く、教室で流血するような事故が起こったが、偶然手洗いに行っていたため席を外していた。
　曰く、ぼーっとしてて信号が青になったのに気づかず歩道に立っていたら、信号無視の車が目の前を通って電柱にぶつかった。

　などなど。
　いつも運良く助かっている、と自慢げに言われる。
　その数はもう数えきれないほどあり、大体月に一回程度、そういう『幸運』が起こるのだという。

　私は月一のペースで周りの人間が怪我したり死んだりする真子が恐ろしいと思うし。
　本人に自覚はないようであるし、私も指摘する気はないが、まるで、真子に行くはずだった不運が周りに撒き散らかされているようであると、まるで真子が不幸をまき散らしているようだと思う。
　余計なことを言って怪我したくないから、絶対に言わないが。

　ちなみにそんな彼女の家はお寺さんだ。
　ある意味天職。