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おまけ
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「それで、どうするのよ?」
私こと、山﨑莉子は大学の先輩でもあり、会社の先輩でもある、前田龍興に尋ねる。
「…、何が…?」
龍興が答える。
私と龍興の付き合いは長い。私が大学に入学した時、参加したサークルのOBが龍興で、最初は前田さんって可愛く呼んでいた記憶がある。その後すったもんだがあって、私は龍興からタメ口をきく権利を獲得した。
「何が?ですって?」
私が龍興に再度問い返す。
「…、どっち?」
龍興が返事を変える。
「どっちも。」
私が答える。
「とりあえず、一回日本に帰る。その後のことは落ち着いてから考えるつもり。チームに残るか、会社に残るか、それ以外っていうのも考えている…。」
「そうっ、それで?」
私がさらに質問を重ねると、龍興は耳たぶを触る。相変わらずわかりやすいなこの人は。
「フレディは本気だと思うけど、中村には多分伝わってない…。」
私の質問に渋々龍興が答える。本来、恋愛云々は苦手なのだ、この人は。
「そう。」
私は満足する。
「どうする気だ?」
龍興が尋ねる。
「フレディと話をするつもりだけど?」
私は答える。ヨーロッパの国にはそもそも「告白する」という習慣がない国も多い。フレディは真剣に付き合っているつもりでも、順子ちゃんには伝わっていないのだろう。それならばきちんと伝えれば問題は解決するだろう。順子ちゃんは良い子だ、幸せになってもらいたい…
「やめとけ…。」
「何でよ?」
「時期が悪い、拗れたら、お前の居場所がなくなるぞ?会社にも、チームにも。」
好きなんだろ、今の仕事。と龍興が続ける。
「じゃ、どうしろって言うのよ?」
私が少し声を荒げる。
「…、俺が話をしておくよ…。なんだかんだでフレディとは馬も合うしな…。」
龍興が答える。
「…、拗れたらどうするのよ?」
私が尋ねる…
「…、別に何も?、その時はその時さ…。」
特に今の仕事に未練もないしな…。と龍興は続ける。
「………。」
私の沈黙に、意志を感じ取ったのだろう。龍興はこっちを見ようとしない。
「変わんないのよね、あなたって。」
そう、この人は他人にさせられないような仕事でも、必要とあれば自分でするのだ。そして言い訳をしないし、自分が損をしていても気にしない。いや実際は、すごく気にしているし、傷ついてもいる。それでも黙って耐える。そう言う人なのだ、この人は。
過去のすったもんだもそうだった。どう考えてもこの人が悪いってわけではなかったのに…。
私は、ちょっとイライラして席を立とうとする。その私に向かって龍興は声をかける。
「どうする気だ?」
「何が?」
何のことかわからず私は答える。
「お前だよ、会社に残るのか?」
ちょっと意外な質問の気がして、私は答えに窮する。
「気にしてくれてたの?」
私の質問に龍興は答えない。その様子に私のいじめっ子心とちっぽけな優越感が疼き出す。
「ねえ、龍興。いつも四人で食事をしてるけど、今夜はサシでご飯を食べない?」
私の誘いに、龍興はいたずらの証拠を突きつけられた、小学生の様子で首を縦に振るのだった。
私こと、山﨑莉子は大学の先輩でもあり、会社の先輩でもある、前田龍興に尋ねる。
「…、何が…?」
龍興が答える。
私と龍興の付き合いは長い。私が大学に入学した時、参加したサークルのOBが龍興で、最初は前田さんって可愛く呼んでいた記憶がある。その後すったもんだがあって、私は龍興からタメ口をきく権利を獲得した。
「何が?ですって?」
私が龍興に再度問い返す。
「…、どっち?」
龍興が返事を変える。
「どっちも。」
私が答える。
「とりあえず、一回日本に帰る。その後のことは落ち着いてから考えるつもり。チームに残るか、会社に残るか、それ以外っていうのも考えている…。」
「そうっ、それで?」
私がさらに質問を重ねると、龍興は耳たぶを触る。相変わらずわかりやすいなこの人は。
「フレディは本気だと思うけど、中村には多分伝わってない…。」
私の質問に渋々龍興が答える。本来、恋愛云々は苦手なのだ、この人は。
「そう。」
私は満足する。
「どうする気だ?」
龍興が尋ねる。
「フレディと話をするつもりだけど?」
私は答える。ヨーロッパの国にはそもそも「告白する」という習慣がない国も多い。フレディは真剣に付き合っているつもりでも、順子ちゃんには伝わっていないのだろう。それならばきちんと伝えれば問題は解決するだろう。順子ちゃんは良い子だ、幸せになってもらいたい…
「やめとけ…。」
「何でよ?」
「時期が悪い、拗れたら、お前の居場所がなくなるぞ?会社にも、チームにも。」
好きなんだろ、今の仕事。と龍興が続ける。
「じゃ、どうしろって言うのよ?」
私が少し声を荒げる。
「…、俺が話をしておくよ…。なんだかんだでフレディとは馬も合うしな…。」
龍興が答える。
「…、拗れたらどうするのよ?」
私が尋ねる…
「…、別に何も?、その時はその時さ…。」
特に今の仕事に未練もないしな…。と龍興は続ける。
「………。」
私の沈黙に、意志を感じ取ったのだろう。龍興はこっちを見ようとしない。
「変わんないのよね、あなたって。」
そう、この人は他人にさせられないような仕事でも、必要とあれば自分でするのだ。そして言い訳をしないし、自分が損をしていても気にしない。いや実際は、すごく気にしているし、傷ついてもいる。それでも黙って耐える。そう言う人なのだ、この人は。
過去のすったもんだもそうだった。どう考えてもこの人が悪いってわけではなかったのに…。
私は、ちょっとイライラして席を立とうとする。その私に向かって龍興は声をかける。
「どうする気だ?」
「何が?」
何のことかわからず私は答える。
「お前だよ、会社に残るのか?」
ちょっと意外な質問の気がして、私は答えに窮する。
「気にしてくれてたの?」
私の質問に龍興は答えない。その様子に私のいじめっ子心とちっぽけな優越感が疼き出す。
「ねえ、龍興。いつも四人で食事をしてるけど、今夜はサシでご飯を食べない?」
私の誘いに、龍興はいたずらの証拠を突きつけられた、小学生の様子で首を縦に振るのだった。
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