沖縄夜話

ミムラ

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沖縄夜話

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「リョウくんはもう待ってるかな…。」

私、今野美穂、旧姓中山美穂は、待ち合わせをしている夫のもとに向かうべくレンタカーを走らせる。私の夫、リョウクンは日系のカナダ人で、私がバンクーバーに仕事で駐在した時に知り合った。あまり大きな声では言えないけれど、当時私はしっかり社会人だったが、彼はまだ大学生だった。内心これは遊ばれて終わるのかなと不安に思ってもいたけれど、何と彼はプロのアイスホッケー選手になれると分かった直後にプロポーズしてくれた。

「そんなに選手として期待されてる訳じゃないんだけど…。これでプロポーズできると思った。」とちょっと恥ずかしそうに付け加えた彼に、ボロボロ涙を流しながら「宜しくお願いします。」と私は答えた、同時に「リョウくんが選手として大成しなくても、頑張って支えよう。」と決意を固めたものだった。

それから2年経ち、リョウくんが25歳、私が30歳になる去年、早くもその決意が試されることになる。リョウくんは練習中のミニゲームで、相手選手のラフプレーにより大怪我を負い、選手生命をたたれた。

一時はまともに歩けなくなるかもしれないと、チームドクターから告げられるほど深刻な足首の怪我。同じチームの選手が原因であること、プロになって2年しか経っていないこと、リハビリを重ねなければ普通の生活にも支障が出ることも加味され、「お情けで」去年のシーズンの終わりまで、チームに在籍させてもらった後、目出度く今年の三月で私の夫は失業者になってしまった。

アイスホッケー選手を引退した後どうするか、私達は怪我をしてから引退まで時間をかけて話あった。結果、日本に生活の場を移すことにした。正直カナダの生活費は高い、子育てするのも無理がある。リョウくんも案外抵抗なく、日本への移住に賛成してくれた。プロの選手として頑張っていた2年間、辛いことも多かったんだと思う、夫婦の時間も上手に取れなかった。それを考えると環境を変えることは悪くないのかもしれない。

私は当初、私がバンクーバーに赴任する前の通り東京の会社で働きながら、リョウくんに今後の事を考えて貰えればと思っていた。それに対してリョウくんは別の提案をする。私も仕事をやめて、私の故郷で暮らそうというのだ。これには私は驚いた。私の故郷は東北地方にあり、それなりに大きな都市のはずれにあるが、職の探し易さは東京と比べ物にならない。

そういう私にリョウくんは契約金と年棒でまとまった貯金があり、それをカナダとアメリカで運用しているので、それなりの収入はある事、それなら生活費の高い東京で無理に暮らすより、私の故郷で慎ましく暮らした方が良いと説明してくれた。実際の書類を見ながら受けた彼の説明には説得力があったし、正直私も東京で頑張るよりは故郷での節約生活の方が性に合っている。それに子供が出来たとしてもずっと育てやすい。

私はリョウくんの提案に賛成を伝えると、リョウくんは嬉しそうに頷いた。

そして今、私とリョウくんはカナダを離れ、私の故郷に帰るその合間、沖縄に滞在している。これはリョウくんの足首の最後の治療のためで、チームドクターから紹介してもらった先生にリハビリをみて貰いながら、暖かい沖縄の地で身心をゆっくり休め、新しい生活への準備を進めるためである。

そんなこんなで私は、自動車学校で授業を終えたリョウくんを迎えに、車を走らせている訳である。自動車学校の駐車場に車をとめ、通信アプリで連絡を入れると、程なくリョウくんが出てきた。ドアを開けて「ありがとっ」と乗り込んで来ただけなのに私はその姿に見惚れてしまう。

日本全国どこにでもある例の量販店で買った、カットソーとチノパンツ、それからシンプルなトートバックを持っているだけなのに、悔しいくらい様になる。柔らかくて軽くカールしている彼の髪の毛に陽光がさす様子を、チラチラと盗み見ながら、30分ほど運転し、ウィークリーマンションへと到着する。

ちなみに沖縄滞在は四月途中から五月一杯の約2ヶ月間の予定である。気になる滞在費は、リョウくんが所属していたホッケーチームが、「最後の」治療費として支給してくれた。このウィークリーマンションは、二人で滞在するには十分すぎるほど豪華で、私は彼のチームに足を向けて寝られないと思っている。

家に帰って昼食を食べ、片付けをしてから、シャワーで汗を流した。このウィークリーマンションは水道代も込みなので気兼ねなくお風呂に入れる。リョウくんも交代でシャワーに入ったので、Tシャツと某有名衣料品チェーンのリラックス専用膝下ハーフパンツでテレビをみていると、リョウくんもシャワーから出てきた。

「ミホサン、何見てるの?」
「ゲーム・オブ・ストーンズ、再放送してたから…。」

私はリョウくんのために音声を日本語字幕に切り替える。リョウくんは祖父母のうち母方のお婆さま以外は日本からの移民というカナダ人なので、日本語を話したり、聞いたりするのに何の問題もない。でも読み書きには結構苦労しているみたいで、最近よく日本語の子供向けの本を読んだり、洋画を日本語字幕で見たりして勉強している。

でも今はそんな気分ではなかったようで、スマホを見ながら私のそばに座った。

「自動車学校はどう?」
「うーん、運転は問題ないけどお勉強がね…。」

それはそうだろうと思う。カナダに住んでた時運転は基本リョウくんがやってくれていて、車庫入れも縦列駐車も苦労をしてるところを見たことがない。

リョウくんはスマホを操作しながら、浅く腰掛ける私の腰に手を回す。私はお風呂上がりのリョウくんの匂いを、気がつかれないように気をつけて堪能する。

「すごいね、あれ…。」

夫婦なのにちょっとドギマギしながらリョウくんに身を寄せていると、突然リョウくんに話しかけかれる。テレビでは結構露骨なラブシーンが流れている。この海外ドラマは国家間の駆け引きがよく描かれていて、とっても面白いのだけれど、どうしてたが登場人物の男女関係がドロドロで、そういうシーンが過激なことでも定評がある。テレビでは金髪の女優さんの大きなお胸がバインバインしている。リョウくんはスマホをテーブルに置いて、私の耳元に口を寄せて呟く。私は苦笑いを浮かべていると、リョウくんはそのままぺろっと私の耳の付け根を舐める。

「リョウくんっ!?」

私が驚いて、声を上げると、リョウくんが笑って位置を変え、後ろからのハグをする。

「だって、返事をしてくれないから。」

リョウくんの両足の間に座らされ、抱っこされたような私の耳元で、リョウくんが囁く。それから私の首筋に顔を埋める。

「ミホサンは、何時もいい匂いがする…。」

リョウくんの両腕は私を引き寄せて離さず、薄いTシャツの上からサワサワと私を撫でる。テレビでは女優さんのバインバインは終わって、髭面のおじさんの真剣な罵り合いが写ってる。私は上手く返せずにいると、今度は肩口を軽く噛まれる。

「りょうくんっ……」

これはまずいやつだ、と思いながらも私のたしなめる声に力がこもらない。

「んんーっ?」

リョウくんは真面目に返事をしない。付き合い始めた時、大学生だったリョウくんも今は20代半ば、こんな良くない意地悪を覚えている。年上の私が戸惑っているその間もリョウくんは片手で私を抱きながら、もう片方の手で私の髪を撫でる。

「ミホサン、こっちのシャンプーの方が合ってるのかな?髪の毛ツヤツヤだよ?」

リョウくん、それは日本が軟水だからだよと、生真面目に答えようとすると、耳たぶをハムっとされた。

「リョウくん…。」

私が呼びかけても、リョウくんは耳を舌でなぶったり、甘噛みしたりをやめてくれない。

「こーらーっ…。お行儀が悪いですよ…。」

私の声も甘くなってきて、これでは嗜めているのか、誘っているのかわからない。ついにリョウくんはサワサワと私の胸の辺りを弄り始める。

今はまだ3時前、部屋は日差しが差し込んで明る過ぎるくらい明るい。そんなシュチエーションも手伝って私もいけないスイッチが入ってしまう。

リョウくんはそんな私を直接見ずに、片手でしっかり抱きしめながら、もう一方で今度はふとものの内側を撫で始める。

さっきまで私の耳たぶに戯れていた唇は、ゆっくりとうなじにおりてきて、キスをしたり、軽く舐めたりしてる。

「リョウくん?」

リョウくんは返事をせずに、カットソーの裾から手を入れ、直接私に触れ始める。彼の手が私の乳房をかすめ思わずビクッと反応してしまう。

リョウくんはそんな私をしっかりと抱きしめ、身を捩ることを許してくれないばかりか、器用に足を使って私の太ももを開かせようとする。リョウくんの硬いのを背中に感じながら、身をくねらせていると、服の中に入っていない方の手が下に降りてくる。

彼の手がサワサワと太ものの付け根を撫で、私の敏感な部分を、触れるか触れないか、そっと刺激する。私はぐったりとリョウくんに身を任せながら、淫らな快感に浸る。

リョウくんはもう遠慮なく、私の首筋に舌を這わせる。私はリョウくんの唇がほしくて、何とか振り向こうとするけれど彼がそれを許してくれない。

ゆっくりと時間をかけてから、今度は服の中の彼の手がシンプルなブラごと優しく私を包み、人差し指でそっと、頂を刺激する。私はさらに甘がゆい刺激に焦らされ身悶えする。

すると彼が器用にブラのホックを外し、できた隙間から直接私に触れる。私は思わず漏れそうになる声を口に手をやり何とか堪える。なのに彼は今度は私のルームウェアのズボンに手を入れ、下着の上から私自身を刺激する。

私はもどかしい快感と、下着をつけたまま濡れてることを彼に悟られるのではという羞恥で顔が赤くなる。

なのに彼は知らんふりをして、愛撫を続ける。テレビでドラマは既に終わり、エンドロールの音楽と、私の淫らな吐息が部屋に静かに響く。

ついに私は耐えきれなくなりリョウくんに尋ねる。

「リョウくん、お願い、ベッドに行こう?」

「んー?」

リョウくんはまともに返事をせず、愛撫を続ける。

「お願い、リョウくん、もう我慢できない…。ちゃんと…、して?」

私がお願いすると、一瞬ポカンとしたように私の顔をリョウくんが見つめる。でもすぐに嬉しそうに体勢を入れ替え、私を抱き抱える。日本に帰ってきてさらにちょっぴりぽっちゃりしたような気もしないでもない私を、去年までプロのスポーツ選手だったリョウくんは軽々を抱きあげる。

そのまま、ベットにそっと私を下ろすと、リョウくんが覆いかぶさってくる。リョウくんは私の顔に手を添え、頭を軽く撫でてから、チュッとキスをくれる。太ももの薄い布ごしにリョウくんの硬い欲情を感じる。私もやわやわとした快感で十分に欲情していて、口づけはすぐに深いものに変わる。

リョウくんが膝で私の太ももに割る。それから私のカットソーに手をかけ、バンザイさせるように服を脱がせる。上半身をリョウくんの前に晒すことになった私は思わず身を捩るけど、リョウくんはそれを許さず、私の左手を掴んで上にあげ、乳房と脇の間のあたりを味わい始める。夫婦だけが知ってる私の良いところを責められて思わず声が漏れる。リョウくんは器用に左手で触れるか触れないか、優しく私の右の乳房を愛撫する。

私は空いた右手で必死に声を抑える。リョウくんは舌先で乳輪をなぞり始めるが、また強い愛撫をくれない。

ソファーの上で十分焦らされてるのに、直接的な快感をなかなかくれないリョウくんに、私が悶えていると、ちょうど私の下半身の良いところがリョウくんの太ももに擦られ、勝手にさらに高まってしまう。下半身の快感に気を取られていると突然リョウくんの舌が私の胸の頂を愛撫し始め、左手もよりはっきりと刺激をくれるようになる。

私は快感に思わず腰を浮かしてしまう。すると、リョウくんの舌が、乳房からお腹に下がってくる。私が淫らな期待に身を浸らせると、リョウくんが私の薄いハーフパンツと下着をまとめて取り去っていく。

全てを晒し出した私は、羞恥で自分の顔を覆ってしまう。リョウくんは躊躇も焦らしもせず、私の股間に顔を埋め、とろけた私を味わい始める。私は快感に脳を蕩かせながら、ほんの少し安心する。

リョウくんのはおそらく平均よりも大きい。大丈夫だとは思うけど、しっかりと愛撫を貰えてからじゃないとちょっとだけ不安になる。

リョウくんが私の突起に軽く舌を触れる。私はいろんな考えが吹き飛んで、一瞬頭が白くなる。でもリョウくんは優しく、短い時間だけ刺激して、それ以上私を追い込むことをせず、自分も下着を脱いで、私に入ってこようとする。

リョウくんと私は沖縄に来てから避妊具を使うのをやめた。もちろん夫婦だったのだから使わなくても良いのだけれどカナダにいた頃は、異国の地で子供を育てることに覚悟を決めきれてなかったように思う。そんな私を感じ取ってリョウくんが気をつけてくれていたのだろう。

何もつけてないリョウくん自身が私の入り口にあてがわれる。

避妊具を付けなくなってから、私は、やっとリョウくんの全部を受け入れられたような感じがする。正直快感も深くなっていて、今もあてがわれてるだけなのに、下半身に熱く、重い快感が溜まっていく。

リョウくんが少し入り口を探るようにする、彼の先端が私に潜り込む。生身の彼を感じ取って、私は快感が抑えられず、手の甲を噛む。

リョウくんが奥まで入ってくると、私は彼をしっかりと抱きしめ鈍く重い快感に耐える。彼の体温を直に体の奥に感じる。彼はすぐには動かず、私の体がなれる時間をくれる。私は幸せに泣きそうになって、目の前のリョウくんの頭に手を回し、唇を求める。彼はすぐに応じてくれて、舌が入ってくる。そうしていると私の体はリョウくんに馴染んで、彼は動き初めてもいないのに、二人の微妙な体の動きを感じとり、快感が高まる。口づけの合間に声が漏れてしまう。

リョウくんがゆっくりを動き始める。彼のは隙間なく私を埋めていて、私は全身で彼を受け入れる。彼が優しく、でも規則的に動くようになると、私は快感で訳がわからなくなる。入り口近くを擦られる感覚も、奥を優しく突かれる感覚も全てが気持ち良い。小さく、何度か上り詰めようとしているとリョウくんが動くのを止める。

「リョウくん?」

私がはしたなく腰が動きそうになるのを我慢してリョウくんに尋ねる。

「美穂さん、後ろから…、いい?」

リョウくんが私の髪を撫でながら尋ねる。

「ええ…、でも…、恥ずかしいよ…。」

私は口ではそう言いながら、リョウくんに協力して体位を変える。枕を抱きながら、うつ伏せになって、ほとんどお尻をあげず、リョウくんにしてもらうこの体位は二人のお気に入りだ。良いところに当たるということもあるけど、枕で声を抑えられるし、感じてる顔を見られないので安心できる。

正直、最近のリョウくんとするときは、良すぎて怖い。油断すると自分でもびっくりするような声が出るし、淫らに歪んだ顔をリョウくんに見られるのは抵抗がある。

リョウくんが後ろから入ってきて、動き始める。硬い彼が敏感になってる私を擦り上げる。私はすぐに短く飛び始めて、枕に顔を押し当てながら声を上げる。リョウくんも焦らせる時間が長かったせいか、いつもより抑えが効かないみたいだ。後ろから私の肩に手を回し、奥に奥にと入ってくる。そうなると余計に私は訳がわからなくなり、呻き声が止まらなくなる。小さな爆発が連続して起こるようになり、枕の効果も怪しくなる。

「ミホサン、気持ちいい、もうっ…。」

「いいよっ、いいよっ、いってえ、いってえ、私何度もっもっお、あっあっあっンンンー!!!!」

「ミホサンっ!!???、ミホサンっ!!!!、あああっ!!」

リョウくんに答えようとした時、不意に大きな波が押し寄せ私を吹き飛ばす。波は耐えられないほど長く続く。真っ白になり痙攣してる私のなかに、どくどくとリョウくんが脈動する。リョウくんの脈動を感じて、私は声にならない声をあげ、崩れ落ちる。

リョウくんも力を抜き、それでも重くないように体を支えながら私を抱きしめ、首筋に唇を落とす。

「すっごく良かった…。」

リョウくんが私に囁きかける。

「嫌だ…、あんなの…、恥ずかし過ぎる…。」

私が顔を真っ赤にしながら答えると、リョウくんが優しく笑いながら出て行こうとする。

「待ってっ、やだっ。まだ抜かないでっ。」

私は思わずでた自分の声にびっくりして、目を背ける。目の端にとらえたリョウくんはちょっとびっくりしたようだったけど、嬉しそうに上手に体を入れ替えて、私の中に入ったまま、向かい合う体勢になる。私は照れ隠しもあって、ぎゅっと全身でリョウくんにしがみつく。

「あんなに変な声が出て…。もうっ、リョウくんが上手すぎてびっくりだよう…。」

リョウくんが、少し目を開くと、嬉しそうに口づけを始める。私もそれに応えていると。だんだん口づけが深くなる。私の中のリョウくんもまた硬くなり、微妙に私を刺激し始める。リョウくんが私の胸を手で愛撫し始める。

「待って、リョウくんっ? 待ってっ、ちょっと、休ませてっ。」

「だめだよ、ミホサンが悪いんだよ、僕を煽るから…。」

リョウくんは、もう一度チュッと口づけすると、体を起こしてぐっと奥まで押し入ってくる。

「ああっ…。待って、待ってえ、リョウくんっ、まだ敏感なのっっ。」

リョウくんは私のお願いには答えず、ゆっくりと動きながら、掠めるように体を撫でたり、ぐっと抱きしめて深いキスを始めたりする。まだ、敏感な私の体はそれだけで小さな爆発を始めて、私は左右に身をよじるけど、リョウくんはそれを許してくれない。

必死に息をつぎながら、リョウくんの規則的な動きに耐えてると、リョウくんが私の足を抱き抱えて、より深く入ってくる。完全に出来上がった私の体はリョウくんを受け入れ、奥にリョウくんの先端がキスすると、私の脳は許容量を超え火花を上げる。私は沖縄に来るまで知らなかった快感に、身を捩り、必死にリョウくんにしがみついて受け流そうとする。なのにリョウくんは私に無理をさせない一番奥のギリギリを、硬いリョウくん自身ですり始め、さらに追い込み始める。

私はもう完全に飛んでしまい、恥ずかしいけれど快感を受け止めるだけでいっぱいになる。あらわな声をあげ身悶えし
必死にリョウくんにしがみつく。何度も小さく痙攣し、リョウくんに一緒にいくよう嘆願する。リョウくんは2回目ということもあって、なかなか終わらない。それでも最後の最後、押し込むようにリョウくんが深いキスをしながら欲望を解き放った時、私は声にならない悲鳴をあげて、啜り泣きながら彼の全てを受け入れたのだった。

2時間近くたっぷりと気絶したように眠った私は、夕方に目を覚ますと、一通りリョウくんに苦情を申し立てた。それからさっきの私の痴態を記憶から抹消するように要求すると、生まれたての子鹿のような足取りでリョウくんが準備してくれたお風呂に浸かる。シーツを洗濯乾燥機にかけておくようお願いすることも忘れない。

彼は私より1時間ほど早く目が覚めていたようで、私が目を開けたときにはシャワーを浴び終え何やら勉強をしていた。

お風呂に浸かりながら、自然と自分の下腹部を撫でる。不安がない訳ではない。でもリョウくんがアイスホッケーの選手だった時の不安のように、漠然としたものではない。私は具体的になった不安と目の前の幸せを噛みし締めがなら、学生の夏休みのような沖縄の夜を過ごしていた。
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