おきつねさまと私。

koma

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 こくり、息を呑む。眼前の、昏い瞳が怖かった。村を悪鬼から守った神、或いは妖狐、稲荷様。様々な名を持つ彼は気まぐれに人を化かし、人を助く。先立、村を脅かした悪鬼を払ったのも、彼がそんな気分だっただけなのだろう。それでも、『稲荷に仮を作るわけにはいかない』と。村長むらおさは身寄りのない少女に目をつけ、供物として彼に捧げた。果たして森に巣食う彼は、不思議そうに首を傾げた。
「ほんとうに食べていいの?」
 少女は思わず、かぶりを振っていた。
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