前世が勇者でしたが、現世では魔王やります。

堕天使ピエロ

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国王様との対面

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手錠を付けた俺は無事に城へ入ることが出来、アレックスに連れられて王室へ向かう。

いやー懐かしいな。この趣味の悪い絵画、まだ飾ってたのかーーお!俺が落として割りそうになった花瓶もあるな。昔とちっとも変わってない。

「なあ、ユークリッド。そんなに懐かしそうな顔されると、捕われた感ゼロなんだけど...」

「ごめん、もう少しシュンとしてるわ」

「そうしてくれると助かるよ」

そんな話をしているうちに、王室の前へ辿り着く。

ーーコンコンコン
「入れ」

アレックスがドアをノックすると、野太くて圧倒的な威圧感のある聞き慣れた声が聞こえた。

「失礼致します!」

ドアを開けて中に入る。

長く伸ばした白髪、何処か深い闇を隠すような双眸、長い髭を綺麗に整え、高級な宝石が入った服や指輪を身に纏う老人が王座に座っている。

彼こそが、かつて全てを切り裂く剣術と全てを圧倒する威圧感を持ち合わせ、“剣神の申し子”と呼ばれた国王である。

歳をとろうと、国王の威圧感は衰えを知らない。

王座の前まで歩いた所でアレックスが跪いて王へ最大限の敬意を示す。

「国王様、魔王の息子を生け捕りにして参りました」

「うむ。おもてをあげよ。負傷者をひとりも出さずに魔王軍を一掃し、更には魔王の息子を生け捕りにするとは。実に大儀であった」

「ありがたきお言葉でございます。しかしながら、魔王軍を一掃したのは魔王の息子であり、魔王の息子は自らの志願で生け捕りにされ、彼はこの場に立っています」

訳が分からないと言いたげな国王が双眸を細める。

「魔王の息子よ。貴様はなんの意図を持って自ら生け捕りを志願したのだ? 捕まったふりをして、城に入ってから暴れようという魂胆ならやめておけ」

国王の言葉に、今度は俺が跪いて最大限の敬意を示す。

このタイミングで自分がユークリッドである事を明かすのだ。

「国王様、信じがたい事と重々承知した上で申し上げます。私の前世はユークリッド・アレジオです。28歳の時に魔王軍の幹部に殺されたユークリッドです」

「何を馬鹿げた事を。私は心が広い方だと自負しているが、余りにも目に余る態度を示すようであればーー」

国王の言葉を遮るように、アレックスが声を出す。

「国王様! 彼が話している事は事実です。彼は、ユークリッド・アレジオで間違い御座いません。彼の言動や、ガルドレア殿によって証明されました」

話を遮られ、少し苛立ちながらもアレックスの言葉を聞き届けた国王が口を開けた。

「そうか。では、ガルドレアが魔王軍と手を組んでいたとすればどうだ。過去の思い出話? そんなものは魔王軍の者が偵察した事を教育したと考えるのが妥当だ」

「「・・・・・・」」

国王に返す言葉が見つからない。王の言うことは筋が通っている。

「話はこれだけか? これだけならば魔王の息子を牢獄へぶち込め」

ーー王室の扉を叩くノックの音がした。
中に入ってくるのは、国王の側近にして国を代表する魔術師ロデオ・グラッツェオだ。

「国王様! お待ちくださいませ。 彼はユークリッド・アレジオに間違えございません。この私が証明致します」

「それは本当か? 」

国王は側近からの思わぬ言葉に焦りと驚きが混ざった表情を浮かばせた。

「はい、国王様。先程、遠くからこっそりと彼の調査を行いましたが、彼は間違いなくユークリッドであり、我々との友好関係...いえ、生前のような関係を強く望んでおります」

国王は、ロデオの言葉に1度瞠目する。

「そうか。お前達の気持ちはよく分かった。アレックス、ロデオ、そして魔王の息子。この3人を牢獄へぶち込め!! 」

「「は! 」」

俺達は近衛騎士団によって地下牢獄で監禁されることとなった。
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