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第一話
顔が好きなだけだったのに13
ちゅ、くちゅ、とはしたない音を立てて舌を吸われる。
その合間に秘丘をくすぐるように指先で引っかかれる。
甘痒い感触に腰を引くと、やはり強く抱き寄せられる。
傍に感じる自分より大きい、自分をしまってしまえるほどの存在の所在にさえ、じわりと胃の奥が熱くなって、どろりと内側から熱が零れるのがわかる。自分がこんなに女であるということに思考の端で恥ずかしくなった。男の指が膨れた秘豆を圧し潰すみたいにして押し潰す。びりっと電流が走る。それが快感だということはすぐわかった。
「んんっ、あっ……ひぅ……」
どろどろと欲が溢れてくるのが自分でもわかる。
はっと荒い呼吸でキスが止まる。
甘い刺激がなくなったことに思わず目を開いてしまう。
落合恭哉はやはり、こちらを見ていた。
熱を孕んだ視線が私に真っ直ぐ伸びている。ばくんと今までより大きく心臓が高鳴った。
――…この美しい男に抱かれるのか。
急に現実みを帯びてくる光景に、ばくんばくんとものすごいスピードで早鐘を打つ。
コントロールできない。
視線が釘付けになる。
「ひな……」
甘く舌足らずな声で、名前を呼ばれる。呼ばれたことのないあだ名を、落合恭哉だけが使う。そんな背徳感さえ覚える。熱を上げるのには充分すぎた。
「やっ、ぁ……っやだ……っ」
「何が?」
「なまえ……はずかしい……っ」
「そこ?」
視線を真正面から受けながら、俯いてそう伝えると、彼はくすくすと楽しげに笑った。
ちゅっと音を立てて唇が触れる。
恋人のような応酬に胸がときめかないわけがない。
「もっと呼んでいい?」
「……だめ」
「うーん」
到底人には見せられない状態で、到底人には聞かせられない会話をする。
これは勘違いする。まるで愛されているかのような錯覚に陥る。そんなはずあるわけないのに。
恐ろしいからここでやめてほしい。
これ以上進んだら本格的に勘違いする痛い女の出来上がりだ。
「ひな」
「あ……ッ」
顔が離れて、耳朶を軽く食まれる。直接鼓膜に飛び込んでくる甘い声に、腰が砕けそうになる。あの顔が今、自分だけに囁いているのだ。こんな甘美な時間があっていいのだろうか。
私の熱が上がったことを理解しているのか、緩く触れるだけだった秘部への愛撫がぐっと力を増す。
しとどに濡れたそこを、掻き分けるようにして指が中心に近付いていく。
短い嬌声を上げながら、割れ目に指が押し入る。つぷ、と彼の指を素直に呑み込む己は今の私そのものだった。
愛液をすくいながら、指が奥へと進む。ぎちりと軋みを生みながらも、私の身体は男の武骨な指を吞み込んでいく。
「あぁ……はっ……あんっ……」
「きっつ」
苦しそうな声に、あの涼しげにしている落合恭哉が苦しんでる、とまた嫌な興奮に襲われる。それだけで身体が弛緩するのがわかった。
「あ、ふっ……うっん……あぁ……っ」
自分の息もおのずと上がっていく。
少しずつ緩んでいくなかに、指が増やされる。
ばらばらと内側で蠢く指に翻弄される。蕩けてしまいそうになる。
落合恭哉が首筋に顔を埋めて、どくどくと脈打つ箇所に舌が這う。
はぁと熱い吐息が漏れる。甘ったるい時間。
なんだかこのままおかしくなってしまいそう……。
はじめてだというのに、身体全体がこの男を求めているような錯覚。
目に入るだけで充分満足だと思っていた日々が終わってしまう。
それはそれでいいかもしれない。蕩ける感覚と思考の渦さえ気持ちがいい。
目を閉じている間は幸せだった。
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